金融・投資

天晴れ! 87歳のトレーダー・シゲルさん

日経の新聞広告に釣られて『87歳現役トレーダー シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社刊)を購読しました。「日本のバフェット」と持ち上げられるだけあって、著者の藤本茂さん(以下」「シゲルさん」)は、終身雇用制度に守られながら定年退職を迎えたそこい…

徴税強化を狙った<インボイス制度>をめぐる大混乱

「脱サラ」という言葉を耳にしなくなって久しい気がします。「脱サラ」が死語になったのは、雇用の流動化が進んだからです。終身雇用が前提だった昭和世代にとって、「定年まで勤めあげる」のが当たり前でした。従って「脱サラ」という言葉には常にマイナス…

米ドル金利が高い今こそ、「米ドル建て一時払い終身保険」

先月21日、米国の長期金利が16年ぶりとなる4.35%まで上昇し、9月に入っても低下する気配がありません。米ドル金利が高止まりするなか、対円で米ドル高が進み、ゴールドマンサックスやBoAは、2023年末のドル円予想を150円〜155円レンジに引き上げています。こ…

値がさ半導体関連銘柄の騰落に一喜一憂~AI半導体エヌビディアの一人勝ち~

米エヌビディアが8月23日に発表した2023年5月~7月(2Q)の純利益は135億10百万ドル(約1兆9500億)。前年同期比9倍に急拡大し、前期の年間純利益を3ヵ月で達成したことになります。今や、GPUチップのリーディングカンパニー・エヌビディアはアップルやアルファ…

ジャクソンホール会議(2023)直前の金現物買い|資産ポートフォリオにおける金の最適保有比率とは?

毎年8月下旬、リゾート避暑地として知られる米・ワイオミング州のジャクソンホールに各国中銀トップや経済学者が参加して経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催されます。主催はカンザスシティ連銀で今年の日程は24-26日の3日間です。パウエルFRB…

仮想通貨「NIDT」IEO~どん底からの奇跡の復活~

今年3月末、初参戦した仮想通貨「NIDT」IEOの初値は1.835円、販売単価5円の半値にも満たない散々な出足でした。生兵法は大怪我のもとを地で行く、これ以下はない最悪のスタートになりました。元々期待値は低くトントンか微益だろうという予想でしたが、それ…

現代ポートフォリオ理論の父・マーコウィッツ氏の業績とその綻び

日経本社コメンテーター・梶原誠氏の記事(23/7/25付け)を読んで、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ハリー・マーコウィッツ氏(1927-2023)の死去を知りました。投資分野で働くプロフェッショナルなら誰しもが一目置く存在でした。氏の偉大なる業績は、M…

インヴィンシブル投資法人(8963)|久しぶりのREIT大型POに応募 

日経平均は7月24日終値ベースで昨年末来25.3%上昇しています。これに対して同日の東証REIT指数は1890.99。昨年末の1894.06を下回る惨状を呈しています。本来ならJREITを全体ポートフォリオの10%~15%くらい保有しておきたいところですが、この地を這うよ…

1年で株価が倍になったエヌビディア(NVIDIA)の正体

生成AIブームに乗って、AI半導体の世界シェア8割を握るエヌビディア(ticker symbol:NVDA)の株価が急騰しています。先ずは株価チャートをご覧下さい。直近1年のリターンは100%超え、年初来の上昇率は約70%です。5月30日に時価総額が1兆ドルを超えたと報じ…

楽天グループ公募増資|受渡日の独り言

先月5月16日、楽天グループ(4755)が公募増資と第三者割当増資で約3300億円を調達すると発表しました。同社(以下、楽天G)の2022年12月期の最終連結損益は3728億円の赤字でした。赤字幅は過去最高、4期連続の最終赤字です。不振を極めるモバイル事業への投…

ispace(9348)はテンバガー銘柄の有望候補?

世界が注目したispace社のランダ―による月面着陸は失敗に終わりました。成功すれば民間企業初の月着陸となるはずでした。先月26日の深夜、ネット中継を通して、ランダ―が速度を制御しながらゆっくりと月面に近づく様子を食い入るように見つめていました。着…

激アツ初物IPO|史上初の民間月面着陸をめざすispace(9348)

4月12日、東証グロース市場にispace(9348)が上場します。「貯蓄から投資へ」の政府主導スローガンの下、近年、初値高騰が期待できるIPOに対する一般投資家の関心も強まっているように思います。しかし、ひと口にIPOといっても玉石混淆です。選球眼ならぬ選…

クレディ・スイス・ショック | AT1債無価値(全損)の衝撃

2022年2月、露・ウクライナ戦争が勃発し金融市場は大混乱に陥りました。両国の紛争が1年以上継続するなか、今年3月9日には米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻。3年を経てようやくコロナ禍収束の気配が見えてきた最中に新たな火種かと思いきや、瞬く間に…

ゆうちょ銀行超弩級POは「パンドラの箱」

2月27日にゆうちょ銀行(7182)が巨額の株式売出しを発表しました。日本郵政が売出人で、国内外で9.7億株の売出し及び最大1.1億株のオーバーアロットメントを実施します。金額にして1兆2千億円に達する途轍もない売出し規模ですから、市場の関心を一手に引き…

「ナッジ効果」あれこれ

道の駅「尾瀬かたしな」のトイレの壁に「盗まれるほど人気!?」と記したポスターを貼ったところ、トイレットペーパーの盗難が激減したという新聞記事を読んで、行動経済学の「ナッジ(nudge)効果」の一例だと思いました。行動経済学は、従来の経済学とは異…

楽天Gが個人向け社債2500億円発行へ

日本の家計金融資産構成比率(2021年)を見ると、現預金が54.7%を占めトップ、次いで保険・年金が23.4%。株式の構成比はわずか10.5%に過ぎません。株式以外の債券になると2.2%とカウントに値しない比率です。昨年12/20、日銀が実質的に金融政策を転換したため…

大波乱の2022年株式市場を振り返る~急激な世界的金利上昇に冷え込む株式市場~

12月30日の日経平均株価終値は26,094.50円、昨年末と比べると、-9.37%の下落になりました。7月8日に安倍元首相が凶弾に斃れ、異例の再登板でアベノミクスを牽引してきた黒田日銀総裁は2023/4/8に任期満了の予定です。任期満了まで大人していてくれれば、穏…

予測不能なドル円相場は1ドル=150円台に突入~家計の金融資産構成の見直しは急務~

投資における概念のひとつにフェアバリュー(適正価格)があります。株式投資においては、純資産額や収益性、成長性等の評価基準に照らして所謂公正価値が算出されます。企業買収や不動産取引においても、フェアバリューの算定は大前提となります。一方、為…

仕組債の終焉〜主犯格はEB債〜

証券会社が相次いで日経リンク債やEBに代表される仕組債の販売停止に踏み切っています。先行したのはメガバンク傘下のSMBC日興証券やみずほ証券。ブロックトレードで重大な法令違反をやらかしたSMBC日興証券は、早々と金融庁に白旗を上げた格好です。これま…

オリンパスの生物顕微鏡MIC型を懐かしむ~オリンパスが科学事業売却へ~

Bloombergニュースのヘッドライン<オリンパス 科学事業を4277億円でベインキャピタルに売却ー医療分野に集中>(8月29日)を見て、小学生の頃、両親にねだって買ってもらったオリンパス製生物顕微鏡MIC型のことを思い出しました。立派な木箱に収まった懐か…

"FIRE"本のエッセンス(後篇)~「複利は人類最大の発明である」~

投資の入門書には必ずといっていいほど特殊相対性理論の提唱者にして天才理論物理学者アインシュタイン博士の「複利は人類最大の発明である」という言葉が引用されています。云うまでもなく「複利」とは「元本」だけではなく「利息」が「利息」を生むことを…

”FIRE”本のエッセンス(前篇)

最近、30代から40代の知人女性(株式投資未経験者か投資歴1年前後)数名にタレントの厚切りジェイソンさんが出版した『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ・2021年11月刊)を勧めたところ、「やっぱりSP500を使ったインデックス投資なんですね」と要領を得…

引き上げが相次ぐ米長期金利の年末見通し~ゴールドマンは3.3%に引き上げ~

昨年3月から米ドル買いに着手、投資ポートフォリオの外貨建て比率を40%まで引き上げる目標を立てました。5月の連邦公開市場委員会(FOMC)において、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.75~1.00%と…

ブックレビュー:『スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件』(大下英治著・さくら舎)〜救世主・河合弘之弁護士が挑んだ白兵戦〜

書名を聞いてすぐにピンときた方は、金融や不動産関係のお仕事をされている方ではないでしょうか。この事件が発覚したとき、被害者に自分自身を重ねて、自責の念にかられた方も少なからずいることでしょう。バブル期に投資用マンションを購入して痛い目に遭…

武力によらない対ロシア経済制裁の絶大な効能

ロシアのウクライナ軍事侵攻を目の当たりにしながら、最強軍事大国・米国を率いるバイデン政権はウクライナへ派兵しないと公言しています。ピーク時に9万人もの兵士を派遣していた米国は、アフガニスタン撤退に20年の歳月を費やしました。ベトナム戦争以来、…

<実質実効為替レート>から読み解く円の実質購買力~<ビッグマック指数>は主要10か国中最低水準~

1月21日付け日経朝刊に掲載された円の実質購買力に関する記事はかなりショッキングな内容でした。<円通貨の実質購買力、50年前の水準に後退>という見出しは相当なインパクトだったと思います。日経新聞の中心的購読者であるビジネスマンでさえ、半信半疑だ…

米ドル建て劣後債投資のススメ

新年に入り、米国株式市場の雲行きが怪しくなってきました。米長期金利が1.8%台後半へ水準を切り上げてきたことに伴い、将来収益で評価して割高感の出るグロース株を中心に売りが売りを呼ぶ展開となっています。19日後場、前日のダウ平均大幅下落を受けて、…

GAFA帝国の次なる支配戦略~さらなる成長に死角はないのか?~

<GAFA>には様々な異名があります。本拠地米国メディアは"Big Four"や”Big Tech(或いは単にTech)”と呼び習わすのが通例です。一説では、仏ルモンド紙が最初に<GAFA>という新語を使ったのだそうです。売上・利用者数が桁違いの規模を誇る<GAFA>は今や…

2021年|日米株式市場を振り返る~日米の埋め難い企業間格差~

世界上位1000社の時価総額は約8900兆。12月26日付け日経朝刊によれば、その過半53%を占めるのがGAFA+Mに代表される米国企業なのです。初の5割超だそうです。ここまでは予想どおりなのですが、時価総額比、驚く勿れ、日本企業は全体の5%を下回っているのです…

自治体 X コード支払い(PayPayやau PAY等)によるポイント還元キャンペーンの謎

地域経済活性化のためと銘打って、自治体が次々とキャッシュレス決済によるポイント還元事業に乗り出しています。今年4月、港区が<VISIT MINATO応援キャンペーン>と称したポイント還元事業を行った際の還元率は決済金額の50%(ひとり上限5000円まで)と実…