2021年|日米株式市場を振り返る~日米の埋め難い企業間格差~

世界上位1000社の時価総額は約8900兆。12月26日付け日経朝刊によれば、その過半53%を占めるのがGAFA+Mに代表される米国企業なのです。初の5割超だそうです。ここまでは予想どおりなのですが、時価総額比、驚く勿れ、日本企業は全体の5%を下回っているのです。上位1000社に占める日本企業の数もわずか68社で、日米間で比較すること自体、おこがましいような状況です。

2021年CYベースで日経平均の年間上昇率は+4.9%、対するNYダウは+19.7%と大きく水をあけられてしまいました。大晦日の今日、日経朝刊一面の小見出しには<海外投信7兆円純増 個人マネー、日本株選ばず>とありました。海外投資のハードルが下がり、成長性に劣る日本株に個人マネーが流入しづらい状況が継続しています。日本人の実質賃金は20年以上横這いですから、当然といえば当然の流れです。新型コロナウイルス禍の下、デジタルトラスフォーメーション(DX)が加速し、日本企業はますます米国をはじめ先進国に差を広げられる可能性大なのです。

2021年の「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」(1位は『ナラティブ経済学(ロバート・J・シラー著・東洋経済新報社)』)の2位にランクインした『バブルの経済理論(櫻川昌哉・日本経済新聞出版)』が<日本経済の長期低迷をもたらしたのは日本の金融の劣化にある>と喝破しています。高度経済成長期以来の旧いビジネスモデルに汲々としがみつき、平成以降もイノベーションに背を向けてきた日本の金融機関はとうの昔に無用の長物と化しているのです。銀行員というお仕事は今やマックジョブ以下かも知れません。事実、メガバンクの新卒採用者数は2016年をピークに激減しています。駅前から銀行店舗が姿を消すのは時間の問題でしょう。自身、この1年間、銀行の窓口を訪れたことは一度たりともありません。クレジットカードに紐づけしておけばコード決済で用が足りてしまうからです。

PayPay(旧:ジャパンネット銀行)や住信SBIネット銀行楽天銀行ソニー銀行セブン銀行のような新興勢力は手数料を引き下げサービス拡充に努めていますので、地銀はもとよりメガバンクさえもはや不要と断言しておきます。世界を見れば、古巣の仏・BNPパリバや英・HSBCは今年リテールビジネスからの撤退を決めています。市場は誠に正直で国内3メガバンクのPBR1割れが定着しています。JPモルガン・チェースやモルスタなど米国勢のPBRは2倍程度、ROEも高いのに比して、3メガの将来性はなきに等しいのです。

ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんは日経記者の「日本はなぜ長期停滞にあるのでしょうか」の問い掛けにこう答えています。

<ハングリーさがない。安定した職業はもうないのに(キャリアの)線路があるかのように思っている>

若い世代は、このことに早く気づいて、従来の価値観に囚われた職業選択を根本から見直すことです。