美術・建築

<モエレ沼公園>から企画展「イサム・ノグチ 発見の道」へ

6月1日から再開した都美の企画展「イサム・ノグチ 発見の道」(会期:8/29まで)へ足を運ぶ前に、どうしてもこの目で見ておきたかったのが札幌市東区にある<モエレ沼公園>でした。同公園の基本設計を手掛けたのは世界的彫刻家として知られるイサム・ノグチ。…

『美術の経済』(小川敦生著・インプレス)で知る美術品売買の舞台裏~日本人は美術品を買わない~

最近、立て続けにアートをテーマにした週刊誌や単行本を読む機会がありました。<緩和マネーで爆騰!アートとお金>と題した週刊東洋経済(2021/2/20)は、経済専門誌が特集しているだけあって、市場規模から説き起こすあたり、さすが要を得ています。そもそ…

村上肥出夫と長谷川利行の共通点

長良川画廊東京ギャラリーで開催中の村上肥出夫展(~4/15まで)に足を運びました。過日、画廊主のO氏から頂戴した図録を見て以来、村上肥出夫の絵に興味を掻き立てられています。彫刻家本郷新に才能を見い出された村上肥出夫(1933-2018)は、1963(昭和38…

白川義員写真展第一期「永遠の日本」展~日本の風景を再発見する~

会期末を翌日に控えた4月3日(土)、風景写真の第一人者白川義員の写真展(第一期)@東京都写真美術館(恵比寿)に飛び込みました。今年2月の舟越圭展のときも会期末直前の鑑賞でした。会場は入場制限中でかなり混雑していました。コロナ禍の入場制限も考慮…

熊谷榧さんの旧作油彩画展(2021年3月)@豊島区立熊谷守一美術館

数年ぶりに熊谷守一美術館を訪れました。館長は熊谷守一の次女榧さんが務めています。榧さんはHPに<守一のこと>と題してこんなことを書かれています。<守一は自分でも言っているように、いい絵を描いて褒められようとも、有名になろうとも思わず、たまに…

芸術鑑賞にイチオシの単眼鏡(モノキュラー)はVIXENのアートスコープ(H4X12)

美術館や博物館で単眼鏡(monocular)で熱心に作品を覗き込んでいる人をよく見かけます。国宝や重要文化財クラスの絵画や彫刻だったりすると、ガラスケースに納まっているのが通例です。単眼鏡があれば、肉眼ではよく見えない作品の細部までしっかり確認する…

「鈴木藏の志野」展と松尾芭蕉の「不易流行」

展覧会の会場となる菊池寛実記念智美術館は、現代陶芸を中心に優れた造形作品を展示する私設美術館です。都心にありながら、喧騒から一線を画した静謐な空間で定期的に上質な展覧会を開催しています。2年前の「野蛮と洗練 加守田章二の陶芸」展以来の訪問に…

偽版画が流通する百貨店催事場展覧会~その実態に迫る~

今週、平山郁夫や東山魁夷の偽版画が流通していると報じられました。ときどき、都内の百貨店催事場で開催される展覧会に足を運ぶので、ピンときました。こうした巨匠の一点物日本画はとても高価で手が届きませんが、リトグラフなら庶民でも買えなくはありま…

舟越桂展@渋谷区立松濤美術館

緊急事態宣言が案の定延長されてしまいました。高まる外出自粛モードのなか、舟越桂展だけは見逃すと後悔しそうなので、会期末に松濤美術館に駆け込みました。最終日前日の1/30(土)の昼過ぎ、似たような思いを抱えた数十名がエントランス前に並んでいました…

しぶや黒田陶苑の大酒器展2021~今年は一部抽選販売に~

毎年1月、しぶや黒田陶苑で開催される<大酒器展>に足を運ぶことにしています。人気現代作家の趣向を凝らした新作酒器が一堂に会する得難い機会ですから、特に初日は、熱心なファンが詰めかけて行列ができます。HPにはこうあります。唐津・志野・織部・備前…

茶人松永久秀(弾正)と大名物「平蜘蛛」

2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が終盤を迎えています。茶釜「平蜘蛛(ひらぐも)」を所望する信長に差し出しさえすれば命乞いが叶ったかも知れないのに、吉田鋼太郎演じる松永久秀は信貴山城で自刃を選びました。大河ドラマで異彩を放った戦国大名松永久…

山崎弁栄上人没後100年記念企画展を振り返って~会場は長良川画廊・東京ギャラリー~

今年もあと3日、2020年は新型コロナウイルスの地球規模の感染拡大で世界が一変した年でした。生命を脅かされるような辛い経験をすると人生観が変わるとよく言われます。戦後75年、日本が再び戦場となることこそありませんでしたが、地震や風水害は繰り返し日…

江戸時代の生活文化を知りたければ「ニッポンの浮世絵」展へ

ファッション文化の発信地といえば原宿、そんな原宿のど真ん中に世界有数の浮世絵専門美術館があるのをご存じでしょうか。街の喧騒から少し離れたラフォーレ原宿の裏手西側にその「太田記念美術館」があります。14000点を超えるといわれる収蔵品は、元東邦生…

手取川(山廃仕込純米酒・ひやおろし無濾過生詰)をぬる燗で味わう

ここ数日、外気温は15度前後。半袖生活から一転、長袖シャツにパーカーが普段着になりつつあります。昨夜は、急に燗酒が飲みたくなって、傘をさして近所の碇屋酒店へ赴き、石川の銘酒「手取川(てどりがわ)山廃仕込純米酒 ひやおろし無濾過生詰」(720ml)を…

コロナ禍の三鷹の森ジブリ美術館~建物内外のディテールへのこだわりに注目~

先月下旬、久しぶりに自宅から徒歩圏にある三鷹の森ジブリ美術館(以下:「ジブリ美術館」)を訪れました。2月下旬から新型コロナウイルス感染拡大防止のために休館を続けていましたが、7~8月は地元三鷹市民を対象に抽選招待制で開館していたからです。9月…

ポーラ美術館を訪ねて~建物と周辺環境が唯一無二のアート空間を構成しています~

8月初日、3年ぶりに箱根を訪れました。この日は1951年観測以来4番目に遅い梅雨明けとなりました。昨年10月の台風19号の影響で半年以上運休となっていた箱根登山鉄道の箱根湯本-強羅間も7月23日に再開し、全面復旧したばかり。観光のメッカ箱根にもようやく明…

バスキア&アンディ・ウォーホール X UT

ジメジメとしたお天気が続いてます。最近、自宅では専らUT(ユニクロTシャツのことです)を取っ替え引っ換え、外出時には少し抵抗のあるようなカラーやデザインもステイホームであればへっちゃらです。UTは2007年4月に生まれたユニクロの新ブランド、原宿にTシ…

マイクロツーリズム・イン・東京~ユニクロ東京・虎ノ門ヒルズビジネスタワー・WITH HARAJUKU 続々開業~

天気に恵まれた週末、この6月に開業したばかりの新商業施設をハシゴしました。銀座、虎ノ門、原宿いずこも大変な人出で、2週間後の東京感染者数が俄かに心配になるくらいの三密・・・都道府県を跨ぐ移動も19日から全国で緩和され、長期に及んだ外出自粛の反…

信楽の瓶子にカサブランカ

息子が母の日にプレゼントしたカーネーションの鉢植えがそろそろ萎れてきたので、当月下旬にバースデイを迎えた家内へカサブランカの花束を贈りました。カサブランカの花は「ユリの女王」と呼ばれるだけあってゴージャスで上品、しかも芳香が素晴らしいので…

極めつきの展示〜何必館コレクション北大路魯山人展@三越日本橋本店ー

三越日本橋本店で開催中の北大路魯山人展に足を運びました。会期(20/2/5~2/17)が2週間足らずなので、魯山人ファンはお見逃しなきよう。魯山人は1959年12月に他界しているので昨年末が没後60年目に当たります。先月は東武百貨店で展覧会兼即売会が開催され…

静嘉堂文庫美術館所蔵「曜変天目(稲葉天目)」を現代に甦らせる試み

宋磁の最高傑作「曜変天目(以下:稲葉天目)を所蔵する静嘉堂文庫美術館を、数年に一度は訪れるようにしています。同文庫は、1924年に三菱財閥の第4代総帥岩崎小弥太が、実父弥之助(書斎号が静嘉堂)の霊廟のある世田谷区岡本に築造したものです。切り立った国…

虎屋菓寮の居心地の良さ

梅雨寒の土曜日、きくかわで絶品鰻丼を頂いた帰路、昨年新装オープンしたとらや赤坂店の菓寮に立ち寄りました。限られた駐車スペースに待ち時間なしで車を滑り込ませることができてラッキーでした。2018年10月に竣工したとらや赤坂店は、青山通り(国道246号)…

展覧会レビュー「野蛮と洗練 加守田章二の陶芸」展

今から14年前、東京ステーションギャラリーで開催されたわずか1ヶ月あまりの「20世紀陶芸界の鬼才-加守田章二」展以来となる、東京での作品展が菊池寛実記念 智美術館で開催中です(〜7/21)。都心にありながら、静寂に包まれた極上の展示スペースを擁する智美…

石川直樹写真展2019@東京オペラシティアートギャラリー

写真展のタイトルは〈この星の光の地図を写す〉。今年1月6日の「日曜美術館」で山岳写真家として知られる田淵行男さんの特集番組が放映されたばかりですが、このとき解説者として出演していたのが石川直樹さんでした。山岳写真の世界を変えたと言われる田淵…

東京駅丸の内駅舎(重文)は絵になります!

東京で好きなスポットはと問われれば、躊躇なく東京駅丸の内駅舎と明治神宮と答えます。どちらも東京を代表するランドマークですが、歴史的価値において、他の追随を許さないスポットだと断言できます。明治神宮に関しては、常緑広葉樹を植えて明治神宮の森…

世紀のフェルメール展狂想曲@上野の森美術館

上野の森美術館の知名度は、トーハク・都美・国立西洋美術館が林立する上野恩賜公園にあって、やや見劣りするのではないでしょうか。開館は1972年、唯一の私立美術館です。ところが、近年、「怖い絵展」(2017年)、「ミラクル エッシャー展」(2018年)と大行列…

吉村芳生(よしむらよしお)展レビュー@東京ステーションギャラリー

[超絶技巧を超えて]というサブタイトルがついた吉村芳生展は、その緻密な描写において、観る者すべてを圧倒する内容でした。このアーティストに馴染みのない人が見れば、写真展だと見紛うこと間違いありません。入口近くには、代表作の「365日の自画像」(198…

「武四郎涅槃図」の世界

世田谷区岡本2丁目にある静嘉堂文庫美術館を久しぶりに訪れました。国宝天目茶碗三点の最高峰稲葉天目を所蔵することでつとに知られる美術館です。なんと言っても立地が素晴らしい。切り立った国分寺崖線の一画、岡本静嘉堂緑地にあって、戦後は手つかずの自…

生誕110年東山魁夷展@国立新美術館

11/30(金)は国立新美術館の夜間開館日。この日は夕方から六本木に移動し、サントリー美術館で「扇の国、日本展」を観て、その足で国立新美術館に向かいました。久しぶりの美術展のハシゴ、両展覧会とも出品数が比較的少なかったので、じっくり鑑賞することが…

東美の美術品鑑定とマーケットメイク

一般財団法人「東美鑑定評価機構」が美術品の真贋判定に加え、基準価格を提示する事業を始めるのだそうです。母体の「東京美術倶楽部(東美)」は株式会社組織で創業は明治40年、港区新橋に立派な社屋があります。会社組織との関係が今ひとつ判然としないので…