理想の花瓶|EGIZIA製フラワーベース

花を飾るとリビングやダイニングが俄然華やいで見えます。花のある暮らしには、五感を刺戟し脳を活性化させるセラピー効果もあると云われています。ですから、母の日や誕生日にかぎらず、四季折々、季節の花を活けるようにしたいものです。

花のある暮らしに欠かせないのは花瓶(フラワーベース)です。サイズ・口径・材質・デザインなど細かい点にこだわりだすと、花瓶選びはなかなか厄介です。ルノワールに師事した昭和画壇の重鎮・梅原龍三郎は好んで数多くの薔薇の絵を描きましたが、大抵、写真のような陶磁器製の花瓶と共に描かれています。シンプルな白磁ならまだしも、絵付けされた花瓶はどうにも頂けません。床の間のある家庭なら、探せば、こうした陶磁器製花瓶が見つかるのではないでしょうか。

いつの頃からか、スタイリッシュな花屋さんに透明で細長いガラス製フラワーベースが登場するようになりました。シンプルなフォルムならどんな花でも似合います。本来ならば、花の大きさや種類に応じて複数のフラワーベース(一輪挿しや大輪用など)を取り揃えておくのがベストですが、一般家庭なら保管場所も限られますからそうも行きません。

ガラス製なら場所を選ばないしどんな花にも似合うと判断して、コンランショップに足を運びました。ところが、凝ったデザインだったり色ガラスだったりとフラワーベース自体が主張するので煩く感じられます。結局、たどり着いた理想の花瓶はイタリア・EGIZIA製フラワーベースでした。高さ・口径共に申し分なく底部に3㎝の厚みがあるので安定感抜群です。透明なガラス表面には、ウィリアム・モリスの代表的意匠willow boughがあしらわれています。1949年にトスカーナ州ポッジボンシで創業した高級ガラスメーカーEGIZIA(エジツィア)社は、内外のデザイナーとコラボして高品質のガラス製品を生み出しています。熟練の職人がシルクスクリーンの技法を用いて、ガラス表面に純度の高い金・銀・プラチナをハンドメイドで施し、高温で焼き上げて完成させます。

殺風景になりがちなこの季節、理想のフラワーベースに活けたのは写真のような山形特産・啓翁桜です。暖房の効いたダイニングですから、固い蕾も数日で開くでしょう。