美術・建築

静嘉堂文庫美術館所蔵「曜変天目(稲葉天目)」を現代に甦らせる試み

宋磁の最高傑作「曜変天目(以下:稲葉天目)を所蔵する静嘉堂文庫美術館を、数年に一度は訪れるようにしています。同文庫は、1924年に三菱財閥の第4代総帥岩崎小弥太が、実父弥之助(書斎号が静嘉堂)の霊廟のある世田谷区岡本に築造したものです。切り立った国…

虎屋菓寮の居心地の良さ

梅雨寒の土曜日、きくかわで絶品鰻丼を頂いた帰路、昨年新装オープンしたとらや赤坂店の菓寮に立ち寄りました。限られた駐車スペースに待ち時間なしで車を滑り込ませることができてラッキーでした。2018年10月に竣工したとらや赤坂店は、青山通り(国道246号)…

展覧会レビュー「野蛮と洗練 加守田章二の陶芸」展

今から14年前、東京ステーションギャラリーで開催されたわずか1ヶ月あまりの「20世紀陶芸界の鬼才-加守田章二」展以来となる、東京での作品展が菊池寛実記念 智美術館で開催中です(〜7/21)。都心にありながら、静寂に包まれた極上の展示スペースを擁する智美…

石川直樹写真展2019@東京オペラシティアートギャラリー

写真展のタイトルは〈この星の光の地図を写す〉。今年1月6日の「日曜美術館」で山岳写真家として知られる田淵行男さんの特集番組が放映されたばかりですが、このとき解説者として出演していたのが石川直樹さんでした。山岳写真の世界を変えたと言われる田淵…

東京駅丸の内駅舎(重文)は絵になります!

東京で好きなスポットはと問われれば、躊躇なく東京駅丸の内駅舎と明治神宮と答えます。どちらも東京を代表するランドマークですが、歴史的価値において、他の追随を許さないスポットだと断言できます。明治神宮に関しては、常緑広葉樹を植えて明治神宮の森…

世紀のフェルメール展狂想曲@上野の森美術館

上野の森美術館の知名度は、トーハク・都美・国立西洋美術館が林立する上野恩賜公園にあって、やや見劣りするのではないでしょうか。開館は1972年、唯一の私立美術館です。ところが、近年、「怖い絵展」(2017年)、「ミラクル エッシャー展」(2018年)と大行列…

吉村芳生(よしむらよしお)展レビュー@東京ステーションギャラリー

[超絶技巧を超えて]というサブタイトルがついた吉村芳生展は、その緻密な描写において、観る者すべてを圧倒する内容でした。このアーティストに馴染みのない人が見れば、写真展だと見紛うこと間違いありません。入口近くには、代表作の「365日の自画像」(198…

「武四郎涅槃図」の世界

世田谷区岡本2丁目にある静嘉堂文庫美術館を久しぶりに訪れました。国宝天目茶碗三点の最高峰稲葉天目を所蔵することでつとに知られる美術館です。なんと言っても立地が素晴らしい。切り立った国分寺崖線の一画、岡本静嘉堂緑地にあって、戦後は手つかずの自…

生誕110年東山魁夷展@国立新美術館

11/30(金)は国立新美術館の夜間開館日。この日は夕方から六本木に移動し、サントリー美術館で「扇の国、日本展」を観て、その足で国立新美術館に向かいました。久しぶりの美術展のハシゴ、両展覧会とも出品数が比較的少なかったので、じっくり鑑賞することが…

東美の美術品鑑定とマーケットメイク

一般財団法人「東美鑑定評価機構」が美術品の真贋判定に加え、基準価格を提示する事業を始めるのだそうです。母体の「東京美術倶楽部(東美)」は株式会社組織で創業は明治40年、港区新橋に立派な社屋があります。会社組織との関係が今ひとつ判然としないので…

特別展「縄文」を堪能する

7/31から縄文時代の国宝6点すべてがトーハクに集結、8月上旬、満を持して特別展「縄文」へ。「歴史秘話ヒストリア」と「日曜美術館」もしっかりと視聴した上で臨んだ特別展の第一印象は、ホンモノの迫力が桁外れだったこと。とりわけ、TVの映像や写真では表…

東京ミッドタウン日比谷のプロムナードが素晴らしい!

かつて鹿鳴館のあった日比谷に東京ミッドタウン日比谷がグランドオープンしてから1ヶ月あまり。GWも過ぎれば混雑が緩和されるかと、昨日、銀座黒田陶苑の個展を覗いた足で竣工したばかりの複合施設を見て回りました。商業施設といえば圧倒的なブランド力を誇…

「北斎とジャポニスム」展は北斎へのオマージュだ!

「北斎とジャポニスム」展の会期もいよいよ今週末まで。すでに来場者は30万人を超えたといいますから大変な盛況ぶりです。展覧会のサブタイトルは「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」、会場に足を運ぶと、文字どおり、葛飾北斎の浮世絵が西洋の美術、建築、音楽な…

空前絶後の「安藤忠雄展 挑戦」

国立新美術館で開催中の安藤忠雄展はMUST-SEEです。建築家の展覧会としては空前絶後ではないでしょうか。10/10付けの朝日新聞によれば、この展覧会は、ほぼすべてが安藤さん(76歳)と事務所の手作りなのだそうです。道理で展示されている模型や液晶ディスプ…

開館初日に漱石山房記念館を訪ねて

待望の新宿区立漱石山房記念館開館の日を迎えました。今朝は早めに朝食を済ませて鞄にスマホと『漱石の思い出』を突っ込み、JR中央線に飛び乗りました。中野で地下鉄東西線に乗り換え早稲田で下車、漱石山房通りを歩いて、現地には開館1時間前に到着しました…

両界曼荼羅図といえば東寺でしょ!

今月のブラタモリは三週連続で高野山がテーマ。9日は見逃してしまいましたが、昨夜放映された#83の「高野山と空海」はなかなか興味深い内容でした。3年前の秋、サントリー美術館で開催された「高野山の名宝展」で初めて目にした国宝<聾瞽指帰(ろうこしい…

古谷和也さんの信楽大壺

6月中旬に古谷和也さんの個展で買い求めた信楽の大壺がとうとう我が家にやってきました。径49センチ、高さが52センチもありますから、見たこともないような大きな桐箱に格納されて届きました。クッション材で何重にもプロテクトされていましたから、梱包はさ…

国立新美術館開館10周年の企画展は「ジャコメッティ展」!〜群像作品がイチオシです〜

先月末金曜日の夕刻、国立新美術館で開催中の「ジャコメッティ展」(〜9/4まで)を訪れました。毎週金曜日と土曜日は20時まで開館していますから、混雑を避ける意味でも夕方から足を運ぶのが得策です。この日は、来館者が思ったより少なくてじっくり鑑賞するこ…

都美の「バベルの塔」展を振り返って〜ヒエロニムス・ボスも見逃せません〜

週末、東京都美術館で開催中の「バベルの塔」展を訪れました。会期終了まであと1週間(〜7/2迄)、雨天にもかかわらず開館を待つ人々の行列ができていました。今回の展覧会の目玉は、ピーテル・ブリューゲル1世(同名の息子がいるのでブリューゲル父とも称さ…

滝平二郎の世界展@三鷹市美術ギャラリー(〜2017/7/2)

JR三鷹駅南口に直結するCORAL5Fに三鷹市美術ギャラリーがあります。小規模な施設ながら、ユニークで質の高い企画展には定評があります。週末、同ギャラリーで開催中の<色あせない風景 滝平二郎の世界展>に足を運びました。 朝日新聞日曜版一面を長く飾った…

渡辺愛子陶芸展〜信楽の大壺を買う〜

GWも最終日、飛び石でしたがお天気にも恵まれ、専ら近場の散策に勤しみました。お蔭でパソコンから解放されドライアイが幾らか改善したように思えます。ただ、1日だけインドアの日を設けて、東武百貨店池袋店の美術画廊を訪れました。定期的に池袋店から図録…

ロバート・メイプルソープ展@シャネル・ネクサス・ホール

待望のメイプルソープ展がファッションのメッカ銀座シャネルにやってきました。本格的なメイプルソープの展覧会は近年記憶にありません。その多彩な作品群が日本で網羅的に紹介されるのは2002年以来、15年ぶりのことだそうです。 70年代、ニューヨークを拠点…

東京初開催の「エルメスの手しごと」展@表参道ヒルズ〜パリから職人がやってきた〜

フランス系銀行傘下の証券会社に勤務していた折り、年に数回はパリ出張がありました。エアチケットの手配をする秘書からスケジュールを聞きつけた同僚(もちろんキャリアウーマンです)から、しばしばエルメスでの買い物を仰せつかりました。というのも、パ…

「並河靖之七宝展」@東京都庭園美術館

先週末、都内でも屈指の高級住宅街、港区白金台にある東京都庭園美術館で開催中の「並河靖之七宝展」(1/14〜4/9)を鑑賞してきました。博物館や美術館が軒を連ねる賑やかな上野の杜と違って、庭園美術館は建物全体が隣接する自然教育園の豊かな自然と同化し…

ガーゴイルと魔除け

初詣に出掛けると、参拝者のなかに破魔矢や鏑矢を持った人を多く見かけます。どちらも縁起物ですが、あわせ持つ意味は少し異なります。破魔矢には除魔開運のご利益がありますので、我が家はこちらを買い求めます。破魔矢より大振りの鏑矢は、戦闘で最初に放…

じっくりと鑑賞できた「ゴッホとゴーギャン展」

先週末、都美で開催中の「ゴッホとゴーギャン展」を鑑賞してきました。会期が短いのでかなりの混雑を覚悟していましたが、週末にもかかわらず、入場待ちは10分程度で済みました。企画展鑑賞の際は、あらかじめ出品目録で作品数を確認するようにしています。…

出光美術館50周年記念<大仙突展>に感極まる

会期最終日の13日、出光美術館で開催中の<大仙突展>を鑑賞してきました。百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』が第10回本屋大賞(2013年)を受賞して、出光興産創業者出光佐三氏の生涯が広く世に知られるようになりましたが、彼には実業家のほかに美術品蒐…

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館は見逃せない!

NY滞在の主目的をスポーツ観戦にしたため、宿泊先に近いMoMAや昨年改装したばかりのホイットニー美術館も諦め、グッゲンハイム美術館だけを訪れることに。早朝、ゆっくりセントラルパークを散策しゼイバーズのデリで腹ごしらえをしてから、目的地に向かいま…

「世界報道写真展2016」から見えてくる世界の姿

2014年9月から2年あまり改修工事のため閉館していた東京都写真美術館が、今月3日にリニューアル・オープンしました。リニューアルに伴い、「トップミュージアム(TOP MUSEUM)」という愛称も決まり、シンボルマークが一新されていました。ミュージアムショッ…

ポール・スミス展-Paul Smith is So Cool-

週末、上野の森美術館で開催中(〜8/23)の「ポール・スミス展HELLO,MY NAME IS PAUL SMITH」を覗いてきました。ロンドンのデザインミュージアムで好評を博したというポール・スミス展(2013年)がヨーロッパ各地を巡回して、とうとう東京にやってきたからで…