白川義員写真展第一期「永遠の日本」展~日本の風景を再発見する~

会期末を翌日に控えた4月3日(土)、風景写真の第一人者白川義員の写真展(第一期)@東京都写真美術館(恵比寿)に飛び込みました。今年2月の舟越圭展のときも会期末直前の鑑賞でした。会場は入場制限中でかなり混雑していました。コロナ禍の入場制限も考慮して、第二期「天地創造」(4/6~5/9)は会期前半に訪れようと思っています。

第一期「永遠の日本」展を見逃していたら確実に後悔していました。4部構成で、第1部「名山・名瀑」から、第2部「湖沼・森林・渓谷」、第3部「高原・湿原」、第4部「海浜島嶼」という流れになります。キャプションには詳しい解説に加えプロカメラマンが大抵明かさない撮影日時が記載されています。近年、気候変動が著しいので常に有益情報とは限りませんが、撮影スポットや日時はマチュアカメラマンにとって貴重な情報源です。

日の出や日没時の神々しいまでの刹那にこだわった写真の数々に唯々圧倒されました。「大自然の色彩の変幻を眺めるのは人生最高の悦楽だ」という白川氏の言葉に深く頷かされます。奇跡の瞬間はこれだけではありません。遠景に岩木山を配した《白神山地岩木山》のような紅葉写真もまた違った意味で奇跡の刹那なのだと思い知らされました。燃え上がるような数々の紅葉写真に混じって、唯一、緑したたる夏を切り取った《弥陀ヶ原と月山》は却って新鮮に映りました。

「真っ赤に色づく日本の紅葉はとにかく凄い」と白川氏は言います。コロナ禍で渡航できないことをずっと恨めしく思っていましたが、ローレンシャン高原の紅葉を見る前に未だ見ぬ自国の絶景を尋ねようと強く思い直しました。

特に印象に残った写真は、機上から撮影した残雪の《浅間山》と縦横にけもの道が走る《尾瀬ヶ原鳥瞰》の2点。登ったりトレッキングしたスポットだけに見た瞬間に心惹かれます。大自然と対峙したときの記憶を刺激するセンサーを白川氏は心得ているのでしょう。

図録に代わる写真集が販売されています。写真をもう一度じっくり見たい方は売店で『[永遠の日本]白川義員写真集』(税込2000円・平成24年12月27日初版発行)をお買い求め下さい。

白川義員作品集 永遠の日本

白川義員作品集 永遠の日本