虎屋菓寮の居心地の良さ

梅雨寒の土曜日、きくかわで絶品鰻丼を頂いた帰路、昨年新装オープンしたとらや赤坂店の菓寮に立ち寄りました。限られた駐車スペースに待ち時間なしで車を滑り込ませることができてラッキーでした。

2018年10月に竣工したとらや赤坂店は、青山通り(国道246号)を挟んで東宮御所と対面する好立地に店舗を構えています。246を通るたびに、開放感溢れる低層和モダンの建物が気になっていました。敷地の有効利用を考えれば、以前の9階建店舗のように高層を維持しても良さそうなものです。にもかかわらず、出来上がったのは全面ガラス張りの低層店舗。周辺環境に配慮した経営者の英断は賞賛に値します。東京オリンピックを控え、雨後の筍のように次々と建設される似たり寄ったりの味気ない高層ビルに辟易していただけに、京都発祥の老舗和菓子屋さんの心意気に感じ入っているところです。今や、赤坂界隈随一のランドマークです。

設計したのは、京都御所の西側に構えるとらや京都一条店も手掛けた内藤廣さん。一度だけ、一条店を訪れたことがあります。和菓子の本場、京都だけに伊右衛門カフェなどライバル目白押しですが、京都一条店のシックな内装と落ち着いた雰囲気は記憶に強く残っています。

1階カウンターで待ち時間40分前後の菓寮の受付済ませ、地下のギャラリーへ向かいました。フローリングから天井まで内装は檜、ギャラリー内部は組子細工のような設えです。東京出店150周年記念展(「千里起風」展)が開催中でした(無料)。巻紙に沿って会場を回ると、5世紀にわたるとらやの歴史が分かる寸法です。「虎屋」は会社名、「とらや」はブランド名と使い分けているのですね。<南極へ行った羊羹><羊羹、エベレストに登る>というキャッチコピーを前に、しきりと頷いてしまいました。羊羹は保存食として知られていますが、一口サイズの「小形羊羹」(1本税込270円)(「夜の梅」50gで148kcal)は登山やトレッキングにもってこいですね。賞味期限は1年と書かれていますが、開封しなければ10年単位でもちそうです。

ギャラリーを見た後は2階のショップスペースで水羊羹を買って、菓寮のソファで席が空くのを待ちました。16時過ぎに着席して、写真のような白玉ぜんざいを頂きました。こんな居心地のいい和風カフェは、都内で他にに見当たりません。また訪れようと思います。