戦史
今月5日、「対馬丸事件」の引率教師のひとりだった糸数裕子(いとかずみつこ)さんが亡くなったことを新聞紙面で知りました。糸数さんは、生還された引率教師5人の最後の生存者だったそうです。此処数年、沖縄戦の戦跡を訪ね乍ら「対馬丸記念館」へ足を向け…
毎年、年末になると書評子が今年印象に残った本を新聞をはじめ各種メディアが取り上げます。これに倣って2021年のマイベストを問われたら、文句なしに『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』と答えるでしょう。作者・堀川惠子さんは、広島テレビ女性初の…
11月1日からスタートしたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は、三世代の女性たちが紡ぐ100年のファミリーストーリー。子役で始まりほどなくヒロインがバトンを受け継ぐこれまでの物語とは異なる筋立てだけに、これからの展開が楽しみでなりません。…
昨年9月に映画館に足を運んで以来、小一年、ご無沙汰です。未だにワクチン接種が済んでいないので、引き続き外出自粛モードで臨んでいるからです。その間、amazon prime videoやwowowオンデマンドの視聴機会が増えたので、不満が昂じているわけではありませ…
毎年、終戦記念日が近づくと、地上波やBSで太平洋戦争をテーマにしたドラマや映画が放映されます。今年は13日にNHKが放送した九州帝大医学部生体解剖事件を題材にした終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」が一番心に響きました。鳥居太一役の…
今日、6月23日は沖縄「慰霊の日」(1965年に沖縄県が制定した記念日)です。沖縄ではこの日はお役所も学校もお休みになります。上皇陛下は、「終戦記念日」、「広島原爆の日」、「長崎原爆の日」とともに「後に忘れてはならない4つの日」だと表明されています…
1月12日に作家の半藤一利さん(享年90歳)が他界されました。朝日新聞社会面は、「半藤一利さん死去」に続けて「90歳作家 昭和史に光」と小見出しを打って大きく取り上げました。15日には、共著の多数ある盟友のノンフィクション作家保坂正康氏が「半藤一利…
10月最終週、空路で石垣島から21時過ぎに那覇へ入り、翌朝から初めて沖縄を訪れるという家人を戦跡へ案内して廻りました。観光名所を訪ねる前に先ずは太平洋戦争末期に想像を絶する激戦地と化した沖縄の過去を肌で感じてもらいたいと思ったからです。ホテル→…
毎年、終戦記念日が近づくと、太平洋戦争をテーマにNHKが実に見応えのある番組を放送してくれます。戦後75年も経てば、常識的には史実の検証は困難になる一方にもかかわらず、驚くべき第一級の資料がしばしば発掘されることに驚かされます。アメリカ国立公文…
あと2日で75回目の終戦記念日が訪れます。75年という歳月に広島市民とりわけ被爆者の方々は格別の思いを抱くのではないでしょうか。原爆投下直後、<75年は草木も生えぬ>と言われた広島が、市民の弛まぬ努力によって信じられないような奇跡の復興を遂げ、平…
6月23日は沖縄の「慰霊の日」です。75年前、3ヵ月に及んだ沖縄における日本軍の組織的戦闘が終了した日に当たります。この日の午前4時30分、摩文仁司令部壕海岸側出口において、沖縄守備にあたった第32軍司令官牛島満中将(57歳)と参謀長長勇中将(49歳)が…
先月下旬放映されたテレビ東京開局55周年特別企画のスペシャルドラマ「 アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂~」をタイムシフトで視聴しました。鶴瓶師匠が吉田茂に扮するとあって初めは少々驚きましたが、見慣れてくると、風貌が似ていなくも…
2019年11月9日、夕刻から開催された天皇陛下即位を祝う「国民祭典」祝賀式典の最後に、伊吹文明・奉祝国会議員連盟会長による万歳三唱があり、参加者の唱和が続きました。天皇皇后両陛下が退出されるまで幾度となく繰り返された万歳三唱。この異様な光景を見…
太平洋戦争の口火を切った真珠湾奇襲攻撃を題材にした2001年制作の映画「パール・ハーバー」を、最近、WOWOWで視聴しました。真珠湾奇襲攻撃といえば、1970年に公開された日米合作の「トラ・トラ・トラ!」。中高時代に繰り返し観た「トラ・トラ・トラ!」の…
太平洋戦争の導火線は、戦端を切った真珠湾攻撃ではなく、歴史上「満州事変」(1931年)とか「支那事変」(1932年)と呼び習わされる局地的紛争にまで遡って考える必要があります。戦史研究の第一人者半藤一利氏によれば、連合国側と戦争不可避な状態に突入し後…
お昼過ぎまでボランティア、その足でTOHOシネマズ日本橋へ。TCXと呼ばれるエクストララージスクリーンを擁した都内でも屈指の設備を誇る映画館だけに、「ダンケルク」のような史実に基づいた戦争映画を見るにはうってつけのスポットなのです。一度、IMAXやTC…
終戦記念日に放映されたNHKスペシャル「戦慄の記録 インパール作戦」を観て、しばらく茫然自失状態に陥りました。8月15日から10日余り経って少し気持ちの整理がついたので、番組の感想も交えて史上最悪の陸戦と呼ばれるインパール作戦について触れてておきた…
舞台は奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)、第二次世界大戦末期に朔中尉率いる海軍魚雷艇部隊がやってきます。本土から遠く離れた島には子供たちの島唄がこだまし、平和でおだやかな暮らしが保たれています。朔中尉(永山絢斗)は九州帝大で東洋史を修め…
近年、ナチスやヒトラーを扱った映画が次々と劇場公開されています。今年に入ってもその勢いは止まらず、すでに封切された「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」をはじめ、2月には「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」、夏にはエ…
先週12日から4夜連続で放映されたNHKのスペシャルドラマ「東京裁判」は、極東国際軍事裁判(以下、「東京裁判」)のために来日した判事11名の2年半に及ぶ格闘を描いたものです。裁かれることになったA級戦犯ではなく、人種も国籍も異なる判事ひとりひとりに…
2014年に米国で製作された映画”The Monuments Men”(日本語タイトルは「ミケランジュロ・プロジェクト」)の本邦劇場公開が中止になって2年、このたびWOWOWでリリースされたのでじっくり自宅鑑賞したところです。昨年秋、一部の劇場でようやく上映されDVDも…
今日は長崎原爆の日。71年前の午前11時2分、B29爆撃機ボックスカーから「ファットマン」が長崎に投下されました。当初の爆撃目標は小倉でしたが天候悪化のため急遽長崎に矛先が向けられ、結果、長崎の推定人口24万人のうち14.9万人が命を喪いました。「ファ…
夜明け前から献花に訪れる人が絶えない平和記念公園、今年で71回目となる「原爆の日」がやってきました。この日、原爆死没者慰霊碑に納められる名簿に記載されたのは30万3195名。NHKの式典中継を見ながら、改めて、「核なき世界」の実現のために、我々日本人…
2015年は戦後70年の節目の年ということでメディアはこぞって特番を組みました。なかでも、NHKの「一番電車が走った」が秀作で殊のほか記憶に残っています。例年、終戦記念日が近づくとジブリの「火垂るの墓」や「私は貝になりたい」といった戦争をテーマにし…
7月29日、NHKの「歴史ヒストリア」(「もうひとつの終戦〜日本を愛した外交官グルーの闘い〜」)が取り上げたジョセフ・グルー大使の戦中・戦後の奮戦ぶりに改めて感銘を覚えました。この手のドキュメンタリー番組を作らせたら、NHKの右にでる者はいませんね…
昨夜、昭和史研究の泰斗半藤一利・保坂正康両氏がテレビ初共演されると知って、BS-TBSの「検証メディアの戦争責任」と題する特集番組を見ました。日露戦争以降のメディアの報道姿勢の変化(むしろ変節というべきか)を時代背景に照らして丹念に検証した番組…
69回目の終戦記念日を迎えました。早朝から蝉時雨がこだまし、天を仰ぐと雲ひとつない青空が拡がっています。昭和20年8月15日という特別な1日もきっとこんな始まりだったに違いありません。300万人を超える太平洋戦争の日本人犠牲者に衷心より哀悼の意を表し…
NHKの大河ドラマ「八重の桜」を毎週欠かさず見ています。ドラマも中盤に差し掛かり、八重は故郷会津を離れ、米沢の知人宅に身を寄せることになります。版図をすべて失った会津に比べれば、早々に新政府軍に降伏した奥羽越列藩同盟の盟主米沢の痛手は少なかっ…
戦艦大和が海の藻屑と消えたのは67年前のことです。連合艦隊の歴史と栄光の象徴<戦艦大和>の悲劇は語り尽された感さえありますが、8/11に放送された<巨大戦艦大和〜乗組員が見つめた生と死〜>(BSプレミアム)に登場した乗組員たちの貴重な証言を通じて…