映画
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが主導したホロコーストの計画は、ベルリン郊外のヴァンゼー湖畔で開かれた所謂「ヴァンゼー会議」によってその方向性が決定づけられました。たった90分のこの会議が、やがて欧州を震撼させることになるホロコーストの発端…
寝つけない夜はタブレット端末で映画を観ることにしています。といっても、繰り返し観たい映画は案外少ないものです。amazon prime videoのめぼしいタイトルは見尽くしていますし、興味をそそられる新作がすぐに観られるわけでもありません。視聴を重ねると…
昨年5月、公開直後に『トップガン マーヴェリック (Top Gun : Maverick)』を観ようと劇場へ足を運びました。なにしろ前作『トップガン』から36年ぶりの続編ですから、劇場視聴しか考えられません。冒頭からピート・マーヴェリック・ミッチェル海軍大佐(…
英国映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』(2022年製作)は、1961年にロンドンのナショナル・ギャラリーで実際に起こった盗難事件に基づいて製作されたものです。盗難された肖像画《ウェリントン公爵》に因んで、映画の原タイトルは"The Duke"=公爵となっていま…
2014年製作の4ヵ国合作映画『ウォーキング・ウィズ・エネミー』の舞台は、第二次世界大戦下のハンガリーです。エネミーとはハンガリーに侵攻したナチスドイツのことです。戦局が悪化するにつれ、ホロコーストによるユダヤ人犠牲者はヨーロッパ各国に拡大し…
漫画家・谷口ジローを知ったのは『孤独のグルメ』がきっかけでした。原作(久住昌之)もさることながら、この作品をブレイクさせた最大の功労者はとことんディテールにこだわった谷口ジローであり、その作画こそコアコンテンツなのです。夢枕獏の山岳冒険小…
クリスマスが近づくと決まってテレビ放送される映画があります。今夜の金曜ロードショーは案の定『ホーム・アローン2』。この時期、子どものいる家庭には笑って泣ける『ホーム・アローン』や『ホーム・アローン2』がうってつけなのでしょう。最近はめったに…
2018年4月に誕生した「国立映画アーカイブ」をご存じでしょうか。れっきとした国立美術館傘下の施設で日本で唯一の国立映画機関です。JR東京駅・八重洲南口から徒歩10分の好立地(中央区京橋3-7-6)にあって、展示室は7階になります。「国立映画アーカイブ」…
ロシアのウクライナ侵攻から半年が経ちます。8月3日時点でウクライナ東部のピンクで色分けされた地域にはロシア軍が進軍しており、事実上、ロシアの支配下にあるのではないでしょうか。西側諸国が一斉にロシアを非難する一方で、反米左派を標榜するベネズエ…
舞台は第一次大戦下の西部戦線。通信手段が途絶したため、2人の若きイギリス兵・スコフィールドとブレイクが最前線で戦う友軍部隊に「退却したドイツ軍の追撃を中止せよ」と伝令する任務を与えられます。1600名もの将兵の所属する第2大隊がドイツ軍の撤退と…
旧ソ連には設計者の名を冠した銃器が数多くあります。「シモノフ」は対戦車用に開発された半自動ライフル、「トカレフ」略してTT-33は、第二次大戦中、ソ連軍制式拳銃に採用された銃器です。「トカレフ」は、密輸入され暴力団が発砲事件を起こしたりするので…
あさま山荘事件から50年。連合赤軍メンバー5人が立て籠もった河合楽器の保養所あさま山荘(軽井沢町)に警察機動隊が強行突入し、人質になっていた管理人の妻を無事救出したのは、事件発生から219時間後の1972年2月28日夕刻でした。テレビ中継された巨大な鉄…
一昨日夜、日比谷シャンテシネマで『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞。ネット予約したときは空席だらけでしたが、たまたまアカデミー賞作品賞(+3部門)に邦画として初めてノミネートされたことが伝わった日と重なり、蓋を開ければ満席に近い入りでした。カンヌ…
『ゴルトベルク変奏曲』(BWV988)の演奏をライフワークにされているピアニスト高橋望さんのリサイタルに通い始めて今年で3年目。昨年の東京オペラシティ・リサイタルホールから会場を浜離宮朝日ホールに移して、1月22日(土)にリサイタルが開催されました。…
一昨年、黒沢清監督が第77回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞して話題になった『スパイの妻〈劇場版〉』がWOWOWで放映されたので、早速視聴しました。このところ業績がぱっとしないWOWOWではありますが、興行収入上位の話題作(特に洋画)を…
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が全国公開されたのは2020年10月16日。コロナ禍の影響から世界中で消費が低迷するなか、今年5月10日、同映画の2020年興行収入が全世界1位に輝きました。その日は奇しくも劇中主要キャラクター煉獄杏寿郎(れんごくきょうじ…
昨年9月に映画館に足を運んで以来、小一年、ご無沙汰です。未だにワクチン接種が済んでいないので、引き続き外出自粛モードで臨んでいるからです。その間、amazon prime videoやwowowオンデマンドの視聴機会が増えたので、不満が昂じているわけではありませ…
最近、1998年に米国で制作・公開された『マーシャル・ロー』を観て、思わず唸ってしまいました。というのは、映画公開から3年後の9月11日に起きた米国同時多発テロをまるで予知したかのような内容だったからです。莫大な予算を使って世界中に諜報網を張り巡…
時代背景を知ってから観るとこの映画をより深く理解できると思います。本作は、実在したイギリス人ジャーナリストによるスターリン治世下のソビエト連邦をめぐる決死の取材を描いたものです。冒頭、ウエールズ出身の若きジャーナリスト主人公ガレス・ジョー…
2008年11月26日夜、インド最大の都市ムンバイ(旧英語名称:ボンベイ)で同時多発テロが発生し、鉄道駅、病院、レストラン、ホテル等がパキスタン系テロリスト集団に襲撃されました。犯人グループの正体は今も不明のままです。映画『ホテル・ムンバイ』(2018年…
昨年7月7日、漫画家の梁山泊といわれたトキワ荘が復元され<豊島区立トキワ荘マンガミュージアム>(豊島区南長崎3-9-22)として甦りました。去年は結局行けずじまい。最近、ようやく現地を訪れる機会がありました。トキワ荘といっても、ミレニアル世代やZ世…
2011-3-11 PM2:46 自宅でインテリアコーディネーターと打ち合わせをしていました。2ヶ月後に引越しを控えていたからです。ちなみに、この日は金曜日で六曜は友引でした(曜日の感覚は忘れがちです)。在宅だったので帰宅難民にならずに済みました。経験した…
タイトルからは、沖縄水上特攻で撃沈された「戦艦大和」建造をめぐる海軍省内の大艦巨砲主義派(大角大臣・平山造船中将・嶋田少将)と航空主兵論派(永野中将・山本五十六少将)の対立をテーマにした映画であることは想像もつきません。アルキメデスと言えば、…
昨年12月6日、小惑星探査機『はやぶさ2』が地球に帰還。火球となったカプセルは、オーストラリア南部・ウーメラの地に落下し、無事回収されました。初代『はやぶさ』が、度重なるトラブルで満身創痍となり大気圏に突入、燃え尽きてしまったのに対し、『はや…
元日の初詣は、混雑する時間帯を避けて深大寺の参拝にとどめました。駐車場は信じられないくらい空いていて、いつもなら長蛇の列ができる山門を待ち時間なしで通り抜けることができました。例年ならばお参りする地元の八幡様を2日に訪れたものの、狭い境内は…
今年10月、テレビ朝日が開局60周年記念ドラマ『24 JAPAN』を制作。ところが、視聴率は低空飛行どころか回を追うごとには下がる一方で、そのお粗末な出来栄えが話題になりました。いうまでもなく、世界各国で大ヒットした米FOX社制作テレビドラマ『24-TWENTY …
いつ訪れても美しいパリの街並み。ところが、1800年代初頭のパリは、家畜が放し飼いにされ、垂れ流された糞尿で異臭さえ漂う不衛生この上ない都市でした。そんな劣悪な都市を今日の姿に変えたのは、時の皇帝ナポレオン3世とオスマン知事のふたりです。「オス…
2020年11月25日は、三島由紀夫が陸上自衛隊東部方面総監室で割腹自殺を遂げた「三島事件」(1970年)からちょうど50年目に当たります。たまたま訪れていた友人宅のテレビのニュース速報で「三島事件」を知ったときの衝撃は今も脳裡に焼きついています。稀代の…
2019年のアカデミー賞作品賞受賞作『グリーンブック』は、ジム・クロウ法下の1962年、アフリカ系アメリカ人ピアニストのドン・シャーリーに運転手として雇われたイタリア系移民トニーが、黒人差別の顕著な米中西部からディープサウスへのコンサートツアー中…
過去観たことのある韓国映画はたったひとつ、北朝鮮工作員と韓国諜報部員の悲恋を描いた『シュリ』(1999年)だけです。韓国は訪れたことさえありません。2004年頃の「冬ソナ」ブームもまったく心に刺さることなく素通りしていました。韓国映画をことさら毛嫌…