映画

興味の尽きない「脚本家 黒澤明」展@「国立映画アーカイブ」

2018年4月に誕生した「国立映画アーカイブ」をご存じでしょうか。れっきとした国立美術館傘下の施設で日本で唯一の国立映画機関です。JR東京駅・八重洲南口から徒歩10分の好立地(中央区京橋3-7-6)にあって、展示室は7階になります。「国立映画アーカイブ」…

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』で知るキューバ危機の隠された真実

ロシアのウクライナ侵攻から半年が経ちます。8月3日時点でウクライナ東部のピンクで色分けされた地域にはロシア軍が進軍しており、事実上、ロシアの支配下にあるのではないでしょうか。西側諸国が一斉にロシアを非難する一方で、反米左派を標榜するベネズエ…

映画『1917 命をかけた伝令』で知る塹壕の正体

舞台は第一次大戦下の西部戦線。通信手段が途絶したため、2人の若きイギリス兵・スコフィールドとブレイクが最前線で戦う友軍部隊に「退却したドイツ軍の追撃を中止せよ」と伝令する任務を与えられます。1600名もの将兵の所属する第2大隊がドイツ軍の撤退と…

シネマレビュー:『AK-47』|世界最強の銃誕生物語

旧ソ連には設計者の名を冠した銃器が数多くあります。「シモノフ」は対戦車用に開発された半自動ライフル、「トカレフ」略してTT-33は、第二次大戦中、ソ連軍制式拳銃に採用された銃器です。「トカレフ」は、密輸入され暴力団が発砲事件を起こしたりするので…

あさま山荘事件から50年|映画「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」(2007年)が突きつけた真実

あさま山荘事件から50年。連合赤軍メンバー5人が立て籠もった河合楽器の保養所あさま山荘(軽井沢町)に警察機動隊が強行突入し、人質になっていた管理人の妻を無事救出したのは、事件発生から219時間後の1972年2月28日夕刻でした。テレビ中継された巨大な鉄…

余韻嫋嫋の秀作映画『ドライブ・マイ・カー』

一昨日夜、日比谷シャンテシネマで『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞。ネット予約したときは空席だらけでしたが、たまたまアカデミー賞作品賞(+3部門)に邦画として初めてノミネートされたことが伝わった日と重なり、蓋を開ければ満席に近い入りでした。カンヌ…

2022年の聴き初めは『ゴルトベルク変奏曲』

『ゴルトベルク変奏曲』(BWV988)の演奏をライフワークにされているピアニスト高橋望さんのリサイタルに通い始めて今年で3年目。昨年の東京オペラシティ・リサイタルホールから会場を浜離宮朝日ホールに移して、1月22日(土)にリサイタルが開催されました。…

シネマレビュー:『スパイの妻〈劇場版〉』(2020年公開)|ストーリーは粗が目立つ

一昨年、黒沢清監督が第77回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞して話題になった『スパイの妻〈劇場版〉』がWOWOWで放映されたので、早速視聴しました。このところ業績がぱっとしないWOWOWではありますが、興行収入上位の話題作(特に洋画)を…

予備知識なしで観た地上波初放送『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』~潜在意識と顕在意識が交差する物語性に注目~

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が全国公開されたのは2020年10月16日。コロナ禍の影響から世界中で消費が低迷するなか、今年5月10日、同映画の2020年興行収入が全世界1位に輝きました。その日は奇しくも劇中主要キャラクター煉獄杏寿郎(れんごくきょうじ…

戦争のリマインダー(2)~映画『ミッドウェイ』再び~

昨年9月に映画館に足を運んで以来、小一年、ご無沙汰です。未だにワクチン接種が済んでいないので、引き続き外出自粛モードで臨んでいるからです。その間、amazon prime videoやwowowオンデマンドの視聴機会が増えたので、不満が昂じているわけではありませ…

映画『マーシャル・ロー』(原題:The Siege)が予知した9.11同時多発テロ

最近、1998年に米国で制作・公開された『マーシャル・ロー』を観て、思わず唸ってしまいました。というのは、映画公開から3年後の9月11日に起きた米国同時多発テロをまるで予知したかのような内容だったからです。莫大な予算を使って世界中に諜報網を張り巡…

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2019年)で知るホロドモール

時代背景を知ってから観るとこの映画をより深く理解できると思います。本作は、実在したイギリス人ジャーナリストによるスターリン治世下のソビエト連邦をめぐる決死の取材を描いたものです。冒頭、ウエールズ出身の若きジャーナリスト主人公ガレス・ジョー…

映画『ホテル・ムンバイ』のエンドロールに感涙

2008年11月26日夜、インド最大の都市ムンバイ(旧英語名称:ボンベイ)で同時多発テロが発生し、鉄道駅、病院、レストラン、ホテル等がパキスタン系テロリスト集団に襲撃されました。犯人グループの正体は今も不明のままです。映画『ホテル・ムンバイ』(2018年…

マンガの聖地<豊島区立トキワ荘マンガミュージアム>を訪ねて

昨年7月7日、漫画家の梁山泊といわれたトキワ荘が復元され<豊島区立トキワ荘マンガミュージアム>(豊島区南長崎3-9-22)として甦りました。去年は結局行けずじまい。最近、ようやく現地を訪れる機会がありました。トキワ荘といっても、ミレニアル世代やZ世…

東日本大震災から10年に思う

2011-3-11 PM2:46 自宅でインテリアコーディネーターと打ち合わせをしていました。2ヶ月後に引越しを控えていたからです。ちなみに、この日は金曜日で六曜は友引でした(曜日の感覚は忘れがちです)。在宅だったので帰宅難民にならずに済みました。経験した…

逆説的戦争映画『アルキメデスの大戦』(2019年)~巨大戦艦大和をなぜ建造したのか?~

タイトルからは、沖縄水上特攻で撃沈された「戦艦大和」建造をめぐる海軍省内の大艦巨砲主義派(大角大臣・平山造船中将・嶋田少将)と航空主兵論派(永野中将・山本五十六少将)の対立をテーマにした映画であることは想像もつきません。アルキメデスと言えば、…

初代『はやぶさ』映画の寸評~究極の縮み志向~

昨年12月6日、小惑星探査機『はやぶさ2』が地球に帰還。火球となったカプセルは、オーストラリア南部・ウーメラの地に落下し、無事回収されました。初代『はやぶさ』が、度重なるトラブルで満身創痍となり大気圏に突入、燃え尽きてしまったのに対し、『はや…

今やアニメの聖地・須賀神社男坂を上る!~坂道に魅せられて~

元日の初詣は、混雑する時間帯を避けて深大寺の参拝にとどめました。駐車場は信じられないくらい空いていて、いつもなら長蛇の列ができる山門を待ち時間なしで通り抜けることができました。例年ならばお参りする地元の八幡様を2日に訪れたものの、狭い境内は…

コロナ禍で虜になった海外ドラマ『24-TWENTY FOUR-』

今年10月、テレビ朝日が開局60周年記念ドラマ『24 JAPAN』を制作。ところが、視聴率は低空飛行どころか回を追うごとには下がる一方で、そのお粗末な出来栄えが話題になりました。いうまでもなく、世界各国で大ヒットした米FOX社制作テレビドラマ『24-TWENTY …

映画『パリよ、永遠に』~パリの救世主はコルティッツ将軍なのか?~

いつ訪れても美しいパリの街並み。ところが、1800年代初頭のパリは、家畜が放し飼いにされ、垂れ流された糞尿で異臭さえ漂う不衛生この上ない都市でした。そんな劣悪な都市を今日の姿に変えたのは、時の皇帝ナポレオン3世とオスマン知事のふたりです。「オス…

必見ドキュメンタリー映画:『三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~』

2020年11月25日は、三島由紀夫が陸上自衛隊東部方面総監室で割腹自殺を遂げた「三島事件」(1970年)からちょうど50年目に当たります。たまたま訪れていた友人宅のテレビのニュース速報で「三島事件」を知ったときの衝撃は今も脳裡に焼きついています。稀代の…

『グリーンブック』から『パラサイト 半地下の家族』へ~アカデミー賞作品賞の最新トレンド~

2019年のアカデミー賞作品賞受賞作『グリーンブック』は、ジム・クロウ法下の1962年、アフリカ系アメリカ人ピアニストのドン・シャーリーに運転手として雇われたイタリア系移民トニーが、黒人差別の顕著な米中西部からディープサウスへのコンサートツアー中…

20年ぶりの韓国映画:『国家が破産する日』は金融映画における金字塔でした!(ネタバレあり)

過去観たことのある韓国映画はたったひとつ、北朝鮮工作員と韓国諜報部員の悲恋を描いた『シュリ』(1999年)だけです。韓国は訪れたことさえありません。2004年頃の「冬ソナ」ブームもまったく心に刺さることなく素通りしていました。韓国映画をことさら毛嫌…

久しぶりに映画の梯子〜『パヴァロッティ 太陽のテノール』+『ミッドウェイ』~

この連休初日は、TOHOシネマズ日本橋で久しぶりに映画2本を観ることに。鑑賞前にお気に入りモーニングを頂こうと、勇んでミカドコーヒー日本橋店に立ち寄りました。ところが、コロナの影響でモーニングの提供を控えている由。そこはめげずに、ブレンドLサイ…

映画『コクリコ坂から』と「国際信号旗」のメッセージ

渋谷から東急東横線経由で終点元町・中華街駅まで特急で37分。例年なら、年に数度は訪れるヨコハマの「港の見える丘公園」、「神奈川近代文学館」、「アメリカ山公園」・・・いずれもコロナ禍でお預け状態です。夏休み恒例の日テレ「金曜ロードショー!」で…

サーロー節子さんのドキュメンタリー映画『ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに』

あと2日で75回目の終戦記念日が訪れます。75年という歳月に広島市民とりわけ被爆者の方々は格別の思いを抱くのではないでしょうか。原爆投下直後、<75年は草木も生えぬ>と言われた広島が、市民の弛まぬ努力によって信じられないような奇跡の復興を遂げ、平…

畏るべき近未来予知ドラマ『アウトブレイクー感染拡大ー』

最近、アマゾンprime videoで視聴可能になった『アウトブレイク』(全10話)を観てびっくり仰天しました。制作時期を知らなければ、間違いなく、新型コロナウイルスの感染拡大に着想を得て製作されたドラマだと誤信してしまうところでした。実際の撮影は2019年…

映画『泣き虫しょったんの奇跡』と『将棋の子』(大崎善生著・講談社文庫)

WOWOWの予告編でプロ棋士瀬川晶司さんをモデルにした映画だと知らなければ、危うくスルーするところでした。『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年9月公開)は、現在プロ棋士として活躍中の「しょったん」こと瀬川晶司さんの自伝に基づいています。将棋界では今…

映画『オーシャンズ11』のラストに流れる「月の光」

映画やテレビドラマの名場面にふさわしいクラシック曲が流れると、ついつい手持ちのCDを探してしまいます。久しぶりに『オーシャンズ11』(2001年)を観て、ドビュッシーの代表曲のひとつ「月の光("Clair de lune")」を聴きたくなりました。『オーシャンズ11…

映画『マイ・インターン』再び〜次第に狭まるふたりの距離感に注目〜

Amazon Prime Videoで『マイ・インターン』(2015年公開・原題”The Intern”)を視聴。劇場公開時に観て以来、5年ぶりになります。メリハリがあってテンポの速い展開は観る者を飽きさせません。監督はロマンティック・コメディの傑作『恋愛適齢期』(2003年)を手…