映画

シネマレビュー「八甲田山」(1977年公開)

昨年、「八甲田山」のが制作されたと知り、またこの名作を見たくなくって、家族も寝静まった深夜に録画を再生することに。まだまだ高価な4Kテレビは我が家にはありませんので、残念ながら、撮影監督木村大作さんが言う鮮やかに蘇ったという画像は拝めません…

シネマレビュー「女王陛下のお気に入り」〜時代背景を読み解きながら〜

第91回アカデミー賞の授賞式(日本時間2月25日)の迫るなか、封切りされたばかりの「女王陛下のお気に入り」を真っ白な頭で鑑賞してきました。大本命「グリーン ブック」と並んで本作の下馬評は頗る高く、本年度アカデミー賞最多10部門にノミネートされていま…

映画レビュー「オンリー・ザ・ブレイブ(“ONLY THE BRAVE”」(2018/6日本公開)

2019年のお正月休みは連続9日間、こんなに長いとあらかじめ分かっていたら、海外で過ごせば良かったと反省しきり。特に12月の第5週の株式市場が大荒れだっただけにポジションを早めにスクエアにして海外逃亡すべきだったと、余計にそんな思いが込み上げます…

佳作映画評「コレクター 暴かれたナチスの真実」

当ブログで以前とり挙げたとおり、近年、ナチスやヒトラーをテーマにした映画が次々と制作されています。第二次世界大戦を経験した人々が年々減少し、大戦中の記憶は総じて風化しつつあります。こうした記録映画の制作は、後世に悲惨な戦争の記憶をキチンと…

先行上映初日「日日是好日」を観て〜滋味掬すべき作品でした〜

観終わった直後に、ふっと頭に浮かんだのは「滋味あふれる」という言葉。映画「日日是好日」は、普段なかなかめぐり逢えない滋味掬すべき作品でした。豊かで深い味わいのあるこの作品は、茶道のお師匠さん武田先生を樹木希林さんが演じたからこそ、奇蹟的に…

極上のシネマコンサート〜「ニュー・シネマパラダイス」〜

この三連休の初日は、東京国際フォーラムで開催されたシネマコンサートへ。フィルムは大好きな「ニュー・シネマパラダイス(1988年)」。イタリア公開30周年記念のシネコン世界初演!と知って、2ヶ月以上前に先行予約していた公演でした。欧米で先行したといわ…

吉祥寺ミニシアターの未来

地元吉祥寺に昨年10月、「ココマルシアター」と呼ばれるミニシアターが誕生しました。吉祥寺LOFTの向かいに立地、以前は飲食店があった記憶があります。正式名称は「ココロヲ・動かす・映画館◯」、何とも風変わりなネーミングです。誕生まで度重なる延期があ…

必見:「ヒトラーへの285枚の葉書」原題”Alone in Berlin”)

2017年に公開された「ヒトラーへの285枚の葉書」をWOWOW で視聴。第二次世界大戦中、ヒトラーのお膝元ベルリンで現実に起きた事件を基に制作された映画と知って、先ず驚かされ、その衝撃的な内容に深く心を揺さぶられました。近年公開されたナチスドイツをテ…

『中国行きのスロウ・ボート』から映画「トニー滝谷」へ(前篇)

先月下旬、成蹊大学で開講中の<中国>をテーマにした2018年度前期公開講座(写真下は成蹊大学のキャンパス)の初回、「村上春樹にみる中国と日中戦争」を聴講してきました。村上作品にはしばしば中国が原風景として取り上げられます。アメリカ文学の翻訳者…

映画「ハクソー・リッジ」〜衛生兵デズモンド・ドスが最前線で75人の命を救う〜

劇場公開中に見逃した「ハクソー・リッジ」をブルーレイで鑑賞。1998年公開の「プライベート・ライアン」の系譜に連なる戦争映画の名作が、またしても米国で生まれたことに複雑な感懐を覚えました。米国映画界が太平洋戦争やベトナム戦争を風化させまいと弛…

映画「3月のライオン」タイトルの意味するところ

劇場公開から1年、WOWOWに「3月のライオン」が登場したので早速鑑賞しました。2017年といえば、年央に藤井聡太四段(14歳)が前人未到の29連勝を達成した年。「3月のライオン」の主人公桐山零は中学生でプロ入りを果たした将来有望な棋士、まるで藤井聡太を…

メディアと権力の闘いを描いた「ペンタゴン・ペーパーズ」

米国の歴代政権が隠ぺいしてきたベトナム戦争の実情をめぐる不都合な真実、それは「泥沼化したもはや勝てない戦さ」だと知りながら、時の政権が敗戦処理をしたくないばかりに次の政権へと先送りしてきたことでした。<70%が政府の名誉のため、20%は共産主…

『火垂るの墓』の高畑勲監督の死をを悼んで

日本のアニメーション界を長らく牽引してきたスタジオジブリの高畑勲監督が享年82歳で永眠されました。巨星墜つとは高畑監督のような方がこの世を去ることを云うのでしょう。高畑監督の代表作『火垂るの墓』を初めて観たときの衝撃は言葉にならないくらい強…

現代史の記録者としてのクリント・イーストウッド監督に脱帽!

<名優必ずしも名監督にあらず>という俗諺を完膚なきまでに粉砕してくれる映画監督のひとりがクリント・イーストウッド監督ではないでしょうか。天は二物を与えずといいますが、今年88歳を迎える監督のマルチタレントには些かの綻びも見えません。最新作「1…

タトゥーの記憶を呼び覚ます映画「手紙は憶えている」(原題:Remember)

つい最近、英国朝刊紙のデーリー・テレグラフのオンライン版で配信されたアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で生まれた入れ墨係と少女との出会いの記事を読んで、「手紙は憶えている」という映画を紹介してみたくなりました。2016年に公開されたホロコ…

ボジョレ・ヌーヴォー解禁日に観た「ブルゴーニュで会いましょう」

昨夜は、2年前に観そびれた映画「ブルゴーニュで会いましょう」を鑑賞しました。たまたまその日はボジョレ・ヌーヴォーの解禁日、ブルゴーニュの至宝と呼ばれるネゴシアン、ドミニク・ローランのボジョレをゲットしたばかりで、うってつけのワイン日和となっ…

映画「ダンケルク」に見る撤退戦の意義

お昼過ぎまでボランティア、その足でTOHOシネマズ日本橋へ。TCXと呼ばれるエクストララージスクリーンを擁した都内でも屈指の設備を誇る映画館だけに、「ダンケルク」のような史実に基づいた戦争映画を見るにはうってつけのスポットなのです。一度、IMAXやTC…

島尾ミホ原作『海辺の生と死』の映画化

舞台は奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)、第二次世界大戦末期に朔中尉率いる海軍魚雷艇部隊がやってきます。本土から遠く離れた島には子供たちの島唄がこだまし、平和でおだやかな暮らしが保たれています。朔中尉(永山絢斗)は九州帝大で東洋史を修め…

シン・ゴジラ≒福島第一原発からクライシスマネジメントを学ぶ

劇場で見そびれた「シン・ゴジラ」(2016年7月公開)をwowowで視聴、5.1chに切り替えるとサブウーハーからはゴジラの跫音が重低音でリビングに響いてなかなかの迫力でした。エヴァの監督庵野秀明が総監督・脚本を務めたため、ゴジラファンのみならずアニメ世…

「スポットライト 世紀のスクープ」を観て〜地味さに好感〜

今年の第89回アカデミー賞授賞式で起きた前代未聞のハプニング、息を呑んで発表の瞬間を待っていた候補作の関係者はもちろん映画ファンもさぞや驚いたに違いありません。注目度の最も高い作品賞発表の場面で、プレゼンターが受賞作「ムーンライト」を誤って…

「サウルの息子」〜過酷な運命を背負ったゾンダーコマンドという存在〜

WOWOW初登場の「サウルの息子」を視聴したので記事をアップしておきます。アウシュビッツ解放70周年を記念して制作され2015年に公開されたハンガリー映画です。第86回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した作品でもあります。この作品でデビューを果たしたネ…

日本政府がシリア難民を300人受け入れるというが・・・

新聞のヘッドラインに目を奪われると本質を見誤ることがあります。今年から5年間で日本政府が300人のシリア難民を受け入れるという最新記事をよく読むと、すでに日本で学んでいる留学生やその家族を内乱の続くシリアへ帰国させないという措置であることに気…

「この世界の片隅に」〜銃後の暮らしを描いた佳作〜

「昭和20年、広島・呉 わたしはここで生きている」というポスターのサブタイトルがじんわりと心に染み入るような映画でした。乏しい製作費をクラウドファンディンで賄ったこの作品に徐々に共感の輪が広がり、全国公開に至ったと聞きます。原作はこうの史代さ…

映画「エゴン・シーレ 死と乙女」と等身大の鏡

エゴン・シーレ(1890-1918)の絵に強く惹かれるようになったのはいつ頃からだろうかと気になって、書棚からシーレの評伝を幾つか引っ張り出してきて奥付けを確認してみました。『エゴン・シーレ』(フランク・ウィットフォード著・講談社)(1984年1月) 『…

「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」@Bunkamuraル・シネマ

週末、上映期限の迫った「アイヒマンを追え」を観ようとBunkamuraル・シネマに出掛けました。ドイツ映画賞において最多6部門で受賞を果たした話題作にもかかわらず、都内で上映館は2つしかありません・・・。ナチスドイツ降伏後のドイツ国内における戦争犯罪…

ナチス映画が流行る理由(わけ)

近年、ナチスやヒトラーを扱った映画が次々と劇場公開されています。今年に入ってもその勢いは止まらず、すでに封切された「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」をはじめ、2月には「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」、夏にはエ…

封切り直前映画「海賊とよばれた男」で気になること

2013年に本屋大賞を受賞した『海賊とよばれた男』(2012年7月刊行)が映画化され、明日から劇場公開されます。主人公の国岡鐵造のモデルは、立志伝中の人物として知られる出光興産の創業者出光佐三氏です。原作本は上下巻で748頁にも及ぶ長編だけに、わずか2…

戸田奈津子の字幕に物申す〜「地獄の黙示録」から〜

今年もあと2ヶ月、・・・陽の落ちるのが早いこと!誰が考案した言葉なのか分かりませんが、釣瓶落としの秋とは上手い形容ですね。深夜、BS朝日でスイスインドアの決勝戦を観戦し終わったあと、地上波に切り替えないでおいたら、翌日、字幕翻訳者で知られる戸…

「ハドソン川の奇跡」の検証(ネタバレなし)

2009年1月15日にラガーディア空港を飛び立ったばかりのUSエアウェイズ1549便がバードストライクに遇ってハドソン川に緊急着水した航空機事故を基に制作されたのが「ハドソン川の奇跡」です。乗客・乗員155人全員が無事生還できたことから、当時、マスメディ…

「K-19」 (2002年公開)の今更ながらの映画批評

2002年に公開された「K-19」を今頃になってWOWOWで鑑賞して、いろいろ感じることがあったのであらすじと共にご紹介しておきます。見損ねたのは公開された2002年に転職したため。振り返ると長期出張があったり仕事がテンパっていたりした年は、例外なく、プラ…