映画

映画「新聞記者」:記者が立ち向かったのは近未来のディストピア

邦画は、洋画とりわけハリウッドのしっかりとした骨組みの作品と比較するとジャンルを問わず、内容がいま一つ食い足らない気がして、積極的に劇場に足を運ぶ気にはなれません。最近観た邦画のなかで佳作だなと思えるのは、樹木希林さん主演の「日日是好日」(…

『鑑定士と顔のない依頼人』(2013年)の意味深長なラストシーン(ネタバレあり)

振り返れば、公私ともにゆとりを欠いた年にかぎって、映画やテレビドラマの話題作を見逃しているような気がします。2013年12月に日本で公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督の『鑑定士と顔のない依頼人』(英語タイトル: “The Best Offer”)もそのひとつで…

戦車映画も悪くない〜『T-34 ナチスが恐れた最強戦車』(2018)~

「潜水艦映画にハズレなし」という名言は今日も健在ですが、戦車映画にも傑作は少なくありません。古くは『パットン大戦車軍団』(米・1970年)、近年であればブラピ主演の『フューリー』(米・2014年)あたりがすぐに頭に浮かびます。第二次世界対戦中、圧倒…

すっかりハマった海外ドラマ『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』

最近の愉しみのひとつは、深夜にiPadを携えベッドに横たわって『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』(以下:『ジャック・ライアン』)を鑑賞することです。昨年、Amazon Prime Videoで配信が開始されるや、大ヒットになっているようです。トム・…

シネマレビュー:”The Bucket List” (2007年)

吉永小百合X天海祐希主演の映画『最高の人生の見つけ方』が上映中・・・どこかで聞いたようなタイトルだと思ったら、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン共演の同名映画(2007年)のリメイクでした。ネット上では低予算も手伝ってハリウッド版の味わ…

シネマレビュー: ロングランを続ける『天気の子』(新海誠監督)

7月19日の封切り直後に観た新海誠監督(1973年生まれ)の『天気の子』、客足は依然好調で、興行収入は130億円を突破したそうです。日本映画史上、興行収入が100億円を超えた作品はわずかに10作のみ。大ヒットした『君の名は。』から3年、異常気象という身近…

シネマレビュー:インビクタス/負けざる者たち(2009年米)~主人公はネルソン・マンデラ大統領~

「インビクタス/負けざる者たち」の地上波初放送(9/20・日テレ系)がラグビーW杯開幕初日にぶつられたお蔭で、見逃していた話題作を堪能できました。監督は、俳優から転身し数々の名作を手掛けているクリント・イーストウッド。キャスト陣も豪華共演で、マ…

シネマレビュー:「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」@アップリンク吉祥寺

2018年12月に吉祥寺パルコ地下2階にオープンした映画館、「アップリンク吉祥寺」で、先週末初めて映画鑑賞しました。吉祥寺の駅前周辺は商業ビルが林立し、郊外型シネコンが進出する可能性はゼロ。東口のオデオン座こそ健在ですが、2014年には吉祥寺バウスシ…

映画「U・ボート」を今に甦らせた「Uボート ザ・シリーズ 深海の狼」(by WOWOW)

潜水艦を扱った戦争映画は見逃さないようにしています。戦争映画のなかでも潜水艦映画には傑作が多いように思います。古くは、「U・ボート」(1981年)、近年では「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)や「クリムゾン・タイド」(1995)が潜水艦映画の白眉では…

映画「パール・ハーバー」(2001年)唯一の見所ドーリットル空襲

太平洋戦争の口火を切った真珠湾奇襲攻撃を題材にした2001年制作の映画「パール・ハーバー」を、最近、WOWOWで視聴しました。真珠湾奇襲攻撃といえば、1970年に公開された日米合作の「トラ・トラ・トラ!」。中高時代に繰り返し観た「トラ・トラ・トラ!」の…

超実写版「ライオン・キング」と「ジャングル大帝」の酷似

封切りされたばかりの超実写版「ライオン・キング」の吹替版を観てきました。アメリカ映画は通常字幕スーパーで実際の会話と字幕スーパーの端折り訳出を楽しむのですが、ドキュメンタリーフィルムのように美しいという前評判の高い「ライオン・キング」に字…

シネマレビュー「八甲田山」(1977年公開)

昨年、「八甲田山」のが制作されたと知り、またこの名作を見たくなくって、家族も寝静まった深夜に録画を再生することに。まだまだ高価な4Kテレビは我が家にはありませんので、残念ながら、撮影監督木村大作さんが言う鮮やかに蘇ったという画像は拝めません…

シネマレビュー「女王陛下のお気に入り」〜時代背景を読み解きながら〜

第91回アカデミー賞の授賞式(日本時間2月25日)の迫るなか、封切りされたばかりの「女王陛下のお気に入り」を真っ白な頭で鑑賞してきました。大本命「グリーン ブック」と並んで本作の下馬評は頗る高く、本年度アカデミー賞最多10部門にノミネートされていま…

映画レビュー「オンリー・ザ・ブレイブ(“ONLY THE BRAVE”」(2018/6日本公開)

2019年のお正月休みは連続9日間、こんなに長いとあらかじめ分かっていたら、海外で過ごせば良かったと反省しきり。特に12月の第5週の株式市場が大荒れだっただけにポジションを早めにスクエアにして海外逃亡すべきだったと、余計にそんな思いが込み上げます…

佳作映画評「コレクター 暴かれたナチスの真実」

当ブログで以前とり挙げたとおり、近年、ナチスやヒトラーをテーマにした映画が次々と制作されています。第二次世界大戦を経験した人々が年々減少し、大戦中の記憶は総じて風化しつつあります。こうした記録映画の制作は、後世に悲惨な戦争の記憶をキチンと…

先行上映初日「日日是好日」を観て〜滋味掬すべき作品でした〜

観終わった直後に、ふっと頭に浮かんだのは「滋味あふれる」という言葉。映画「日日是好日」は、普段なかなかめぐり逢えない滋味掬すべき作品でした。豊かで深い味わいのあるこの作品は、茶道のお師匠さん武田先生を樹木希林さんが演じたからこそ、奇蹟的に…

極上のシネマコンサート〜「ニュー・シネマパラダイス」〜

この三連休の初日は、東京国際フォーラムで開催されたシネマコンサートへ。フィルムは大好きな「ニュー・シネマパラダイス(1988年)」。イタリア公開30周年記念のシネコン世界初演!と知って、2ヶ月以上前に先行予約していた公演でした。欧米で先行したといわ…

吉祥寺ミニシアターの未来

地元吉祥寺に昨年10月、「ココマルシアター」と呼ばれるミニシアターが誕生しました。吉祥寺LOFTの向かいに立地、以前は飲食店があった記憶があります。正式名称は「ココロヲ・動かす・映画館◯」、何とも風変わりなネーミングです。誕生まで度重なる延期があ…

必見:「ヒトラーへの285枚の葉書」原題”Alone in Berlin”)

2017年に公開された「ヒトラーへの285枚の葉書」をWOWOW で視聴。第二次世界大戦中、ヒトラーのお膝元ベルリンで現実に起きた事件を基に制作された映画と知って、先ず驚かされ、その衝撃的な内容に深く心を揺さぶられました。近年公開されたナチスドイツをテ…

『中国行きのスロウ・ボート』から映画「トニー滝谷」へ(前篇)

先月下旬、成蹊大学で開講中の<中国>をテーマにした2018年度前期公開講座(写真下は成蹊大学のキャンパス)の初回、「村上春樹にみる中国と日中戦争」を聴講してきました。村上作品にはしばしば中国が原風景として取り上げられます。アメリカ文学の翻訳者…

映画「ハクソー・リッジ」〜衛生兵デズモンド・ドスが最前線で75人の命を救う〜

劇場公開中に見逃した「ハクソー・リッジ」をブルーレイで鑑賞。1998年公開の「プライベート・ライアン」の系譜に連なる戦争映画の名作が、またしても米国で生まれたことに複雑な感懐を覚えました。米国映画界が太平洋戦争やベトナム戦争を風化させまいと弛…

映画「3月のライオン」タイトルの意味するところ

劇場公開から1年、WOWOWに「3月のライオン」が登場したので早速鑑賞しました。2017年といえば、年央に藤井聡太四段(14歳)が前人未到の29連勝を達成した年。「3月のライオン」の主人公桐山零は中学生でプロ入りを果たした将来有望な棋士、まるで藤井聡太を…

メディアと権力の闘いを描いた「ペンタゴン・ペーパーズ」

米国の歴代政権が隠ぺいしてきたベトナム戦争の実情をめぐる不都合な真実、それは「泥沼化したもはや勝てない戦さ」だと知りながら、時の政権が敗戦処理をしたくないばかりに次の政権へと先送りしてきたことでした。<70%が政府の名誉のため、20%は共産主…

『火垂るの墓』の高畑勲監督の死を悼んで

日本のアニメーション界を長らく牽引してきたスタジオジブリの高畑勲監督が享年82歳で永眠されました。巨星墜つとは高畑監督のような方がこの世を去ることを云うのでしょう。高畑監督の代表作『火垂るの墓』を初めて観たときの衝撃は言葉にならないくらい強…

現代史の記録者としてのクリント・イーストウッド監督に脱帽!

<名優必ずしも名監督にあらず>という俗諺を完膚なきまでに粉砕してくれる映画監督のひとりがクリント・イーストウッド監督ではないでしょうか。天は二物を与えずといいますが、今年88歳を迎える監督のマルチタレントには些かの綻びも見えません。最新作「1…

タトゥーの記憶を呼び覚ます映画「手紙は憶えている」(原題:Remember)

つい最近、英国朝刊紙のデーリー・テレグラフのオンライン版で配信されたアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で生まれた入れ墨係と少女との出会いの記事を読んで、「手紙は憶えている」という映画を紹介してみたくなりました。2016年に公開されたホロコ…

ボジョレ・ヌーヴォー解禁日に観た「ブルゴーニュで会いましょう」

昨夜は、2年前に観そびれた映画「ブルゴーニュで会いましょう」を鑑賞しました。たまたまその日はボジョレ・ヌーヴォーの解禁日、ブルゴーニュの至宝と呼ばれるネゴシアン、ドミニク・ローランのボジョレをゲットしたばかりで、うってつけのワイン日和となっ…

映画「ダンケルク」に見る撤退戦の意義

お昼過ぎまでボランティア、その足でTOHOシネマズ日本橋へ。TCXと呼ばれるエクストララージスクリーンを擁した都内でも屈指の設備を誇る映画館だけに、「ダンケルク」のような史実に基づいた戦争映画を見るにはうってつけのスポットなのです。一度、IMAXやTC…

島尾ミホ原作『海辺の生と死』の映画化

舞台は奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)、第二次世界大戦末期に朔中尉率いる海軍魚雷艇部隊がやってきます。本土から遠く離れた島には子供たちの島唄がこだまし、平和でおだやかな暮らしが保たれています。朔中尉(永山絢斗)は九州帝大で東洋史を修め…

シン・ゴジラ≒福島第一原発からクライシスマネジメントを学ぶ

劇場で見そびれた「シン・ゴジラ」(2016年7月公開)をwowowで視聴、5.1chに切り替えるとサブウーハーからはゴジラの跫音が重低音でリビングに響いてなかなかの迫力でした。エヴァの監督庵野秀明が総監督・脚本を務めたため、ゴジラファンのみならずアニメ世…