2010-01-01から1年間の記事一覧

『坂の上の雲』の抗い難き魅力

NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第2部(4回)の放映がこの日曜日に終わりました。最終篇となる第3部の放映は来年12月、今から待ち遠しくてなりません。数多くの司馬作品が大河ドラマ化されるなか、生前この作品に限って原作者司馬遼太郎は映像化を拒んだ…

忠臣蔵ミステリー

18日に封切られたばかりの『最後の忠臣蔵』を観てきました。江戸城松の廊下で起きた浅野長矩の刃傷沙汰に始まり四十七士による吉良邸討ち入りで大団円を迎えるのが巷間知られた忠臣蔵だとすれば、『最後の忠臣蔵』は吉良邸討入り後からストーリーが展開して…

スピーチライターという仕事〜セオドア・ソレンセン氏の偉業〜

年の瀬を迎えると今年鬼籍に入られた方の回想記事が目立つようになります。ケネディ大統領の側近として数々の名演説の草稿を執筆したことで知られるセオドア・ソレンセン氏も今年10月31日に82歳で他界しています。"Ask not what your country can do for you…

中園ミホさん

毎週土曜日の"be on Saturday"(朝日新聞)に掲載される<逆風満帆>を愛読しています。今週は脚本家の中園ミホさんのインタビューが紹介されています。一度、南青山で同業の大石静さんとご一緒のところ、名刺交換させて頂いたことがあります。現在TV朝日系列…

日本民藝館〜河井寛次郎生誕120年記念展〜

いつ訪れても居心地がいい美術館は日本民藝館をおいて他にはありません。正面入口の階段を昇って2階の西側に回り、長椅子に腰を下してしばし棟方志功の板画を眺めていると時の経つのを忘れてしまいそうになります。今回の記念展覧会では、民藝運動の主唱者柳…

西麻布ホームパーティの夕べ

先週末、ホームパーティに招かれMさんが住む西麻布のマンションを訪ねました。ホスト役Mさんの料理の腕前はプロはだし、テーブルに着くとグラスウェアで統一されたお皿やカトラリーが雅やかにセットされていました。持参したシャンパンはロシア皇帝アレク…

『おじさんのかさ』の作者佐野洋子さん逝く

絵本作家の佐野洋子さんが他界されました。佐野さんの代表作と云えば77年に刊行された『100万回生きたねこ』が真っ先に頭に浮かぶわけですが、一番好きな彼女の作品を挙げよと問われれば躊躇なく『おじさんのかさ』(74年銀河社版ではさのようこ)と答えます…

日銀の買取対象REITはAA格以上に限定

6日付け日経朝刊が詳しく報じる前に一言、ETFとREITを買取資産に加えたところまでは当局の対応を評価していたのですが、残念なことに、ETFが日経平均連動型に限定される上にREITの買取対象はAA格以上に制限されるようですので、積極的なリスク引受による緩和…

晩秋の武相荘

鶴川街道を車で南下すること30分余り、降車して幹線道路から勾配のきつい坂道を数分歩くとそこが武相荘(ぶあいそう)でした。云わずと知れた旧白洲邸です。米国占領統治下の日本にあってGHQ幹部をして<従順ならざる唯一の日本人>と呼ばしめた白洲次郎・正…

オーパス・ワン2007年最新ヴィンテージ考

毎年10月下旬になるとエノテカ丸の内を訪ねてオーパスワンの先行特別販売のフライヤーを貰うことにしています。今年はオーパスワンのエチケットカラーで縁取られた上品なフライヤーが用意されていて吃驚、その上、2001年のグレートヴィンテージを髣髴させる…

サイトウ・キネン・オーケストラを聴く

10月15日深夜にNHK教育で放映された「芸術劇場-サイトウ・キネン・フェスティバル松本2010-」はぞくっと鳥肌が立つような実に感動的な公演でした。本公演は年初に食道癌に罹っていることを告白されウィーンと日本で予定されていた30公演をすべてキャンセルし…

境界塀をめぐる相隣関係

以前お世話になったエクステリア業者のオフィスでお隣さんになるK氏夫妻と待ち合わせ、共同で設置することになった境界塀のイメージについて話し合いの場を持ちました。勿論、お互い敷地内に塀を設けるのであれば法令に違反しない限り自由に境界塀を拵えれば…

GLPのIPO

シンガポール政府投資公社、通称GICの子会社Global Logistic Properties Limitedが10月18日にシンガポール証券取引所に上場します。グローバル・エクイティ・オファリングの一環で日本でも募集が行われます。目論見書によれば発行体の純手取金は31億シンガポ…

B級グルメ新宿アカシア

1963年の開業以来、新宿でロールキャベツシチューの専門店として暖簾を守っているのがアカシアです。週末、映画を観たあと温かいものが食べたくなって久しぶりにアカシアを訪れました。アカシアに通い始めてかれこれ20年以上になりますが、昭和レトロを地で…

"Knight & Day"はラブロマンス

前作『私の中のあなた』でサラ役を演じたキャメロン・ディアスが、本作(邦題は『ナイト&デイ』)ではロイ(トム・クルーズ)と名乗る正体不明の男に翻弄されながらも次第に惹かれていくというジューン・ハヴンス役を好演しています。前作ではノーメイクの…

都立霊園使用者の書類審査〜無縁社会と訣別するために〜

都庁第二本庁舎に出向き書類審査を受けてきました。開始時刻の9時30分定刻に審査会場に到着したのですが受け取った番号札は37番。待つこと1時間余り、漸く順番が回ってきました。公益財団法人東京都公園協会の女性が手際よく提出書類をチエックしてくれたお…

『もしドラ』が売れる理由

今朝の新聞広告によればベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の販売部数が138万部を突破したそうです。少女コミックを思わせる表紙イラストに一度で覚えられそうもない長い書名、その上、現代経営学の第…

伽藍を捨ててバザールに向かえ!・恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!

帯に書かれたタイトルの二行が気になって橘玲さんの最新作『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(幻冬舎)を買い求め一気に読みました。見城徹氏率いる幻冬舎は出版業界の風雲児だけあって本のネーミングや帯広告に耳目を驚かすものが少なくありま…

KOBUKURO STADIUM LIVE 2010 @ 味の素スタジアム

気掛かりだったお天気にも恵まれコブクロ初のスタジアムライブを観に味の素スタジアムに行ってきました。開演は16;30からでしたが1時間前にスタンド席入りしてインドア・コンサートでは味わえない雰囲気を楽しむことにしました。アリーナ席にはてるてる坊主…

終活のススメ〜『葬式は、要らない』が売れる理由〜

かつて、オウム真理教を擁護したために勤務先の女子大を追われることになった島田裕巳さんの近著『葬式は、要らない』は葬式無用論を唱える実用本のように見えて実は立派な宗教入門書です。日本人の死生観をおさらいする上で大変参考になりました。タイトル…

『おおきな木』を読んで

シェル・シルヴァスタイン作・本田錦一郎訳の篠崎書林版『おおきな木』(原題”The Giving Tree”)が村上春樹さんの新訳で甦りつい最近あすなろ書房から出版されました。息子がまだ園児の時分、良質な絵本を求めて原宿のクレヨンハウスによく足を運んだもので…

初秋のカンテサンス

1年ぶりのカンテサンス・ランチでしたが期待に違わず初秋にふさわしいメニューでもてなしを受け大満足でした。開業から4年目を迎えるというのに予約の電話が鳴り止まないのも無理はありません。「カンテサンス」ではディナーのみならずランチ・メニューもMen…

K氏の別荘〜ロングステイへの憧れ〜

北軽井沢にあるK氏のログキャビンに招かれ旧知の仲間と共に"Wine & Dining"を楽しんできました。この日は生憎の雨で気温は10度前後に下がり肌寒い1日だったため現地に到着するや早速温泉に移動してロングドライブの疲れを癒すことに。ひんやりとした高原の空…

Petit Louvre 「小さなルーヴル美術館」展 in 軽井沢

メルシャン軽井沢美術館で開催中の「小さなルーヴル美術館」展(監修:種田陽平)を観てきました。2年前に三鷹の森ジブリ美術館で結実したこの企画展をうっかり見過ごして後悔していたところに、今年、同様の展覧会が軽井沢で再構成されたと知り現地まで足を…

英国ロイヤル・オペラ「椿姫」千秋楽公演

18年ぶりの英国ロイヤル・オペラの来日公演「椿姫」を観にNHKホールへ行ってきました。今回の来日公演はヴィオレッタ役のアンジェラ・ゲオルギューが来日前に降板するという波乱含みで始まり、公演初日に代役も降板するという稀に見る展開となりました。体調…

吉祥寺の魅力

「住みたい街」ランキング1位に度々登場する吉祥寺の魅力について考えてみました。先ず思いつくのは井の頭恩賜公園の豊かな自然、腐葉土を踏みしめながら雑木林の小径を散歩するのは実に気持ちがいいものです。次に頭に浮かんだ魅力と云えば、大型ファッショ…

終の棲家青山霊園にも秋の気配

東京都公園協会から青山霊園の当選通知書が送られてきました。8月下旬に都庁の掲示板で当落自体は確認出来るのですがこの当選通知書が届くまで許可予定施設(墓所の区画)は知らされないことになっています。明後日からお彼岸の入りでお墓参りをする人が増え…

大人の60秒講座

JR山手線やJR中央線の利用者であれば誰もが知っているJR東日本の液晶映像広告が『大人の60秒講座』です。筆者はこの講座の熱心な受講者のひとりです。斯く言う講座を提供するのは任天堂でビジネスマナーを中心にクイズ形式でビジネスマンやOLの知識や常識…

SOHOの快楽

後輩のHさんが千代田区一番町に念願のSOHOを拵えたと聞いて、早速事務所訪問させて貰いました。数日前まで段ボール箱に囲まれていたそうで事務所のお披露目はこれからと云った感じでした。猛暑のなか事務所探しに奔走されたせいでしょうか、日焼けした顔から…

『ベスト・キッド』は映画の原点

今年一押しの映画になるかも知れません。この数年の制作映画を振り返ると、観ていて心がヒリヒリするような作品(例えば2007年『実録:連合赤軍あさま山荘への道程』や2008年『チェンジリング』)に押し潰されそうになった記憶の方が圧倒的に鮮明です。もう…