2016-01-01から1年間の記事一覧

NHKスペシャルドラマ「東京裁判」(1〜4話)の摘録

先週12日から4夜連続で放映されたNHKのスペシャルドラマ「東京裁判」は、極東国際軍事裁判(以下、「東京裁判」)のために来日した判事11名の2年半に及ぶ格闘を描いたものです。裁かれることになったA級戦犯ではなく、人種も国籍も異なる判事ひとりひとりに…

法的救済に期待する勿れ〜書評『絶望の裁判所』〜

邦銀を辞めて外資系金融機関に転職してまもない頃、法曹を目指して予備校に通っていた時期があります。ウィークディの夜は講義があり週末は答練に費やしていたので、今思えばタフなダブルライフを過ごしていたことになります。程なく海外赴任が決まって、法…

愛用のノーチラス3710/1Aモデル

高級時計と聞いて日本人が真っ先にイメージするのはロレックスではないでしょうか。ロレックスファンには申し訳ないのですが、金無垢のいかにも成金というタイプのロレックスはどうも自分の好みに合いません。普段使い出来て愛着の湧く時計を求めて、行き着…

元英国人アナリストの日本人への不満〜書評『新・所得倍増論』〜

掲題著者デービット・アトキンソン氏は、バブル崩壊後の日本の金融機関が抱える巨額の不良債権問題を指摘して、一躍有名になった元ゴールドマンサックス証券の金融アナリストです。リーマンショックの前年、同社を退社して、2009年に小西美術工藝社(本社港…

老犬を看取る日まで

最近、東急田園都市線沿線に住む同世代の女性Mさんから相談を持ちかけられて、少々戸惑っていることがあります。Mさんは知人の姉にあたり、その知人から紹介を受けて相談にのっている格好です。突っ込んで聞いてみれば、Mさんのご主人が事業に失敗して多額の…

封切り直前映画「海賊とよばれた男」で気になること

2013年に本屋大賞を受賞した『海賊とよばれた男』(2012年7月刊行)が映画化され、明日から劇場公開されます。主人公の国岡鐵造のモデルは、立志伝中の人物として知られる出光興産の創業者出光佐三氏です。原作本は上下巻で748頁にも及ぶ長編だけに、わずか2…

じっくりと鑑賞できた「ゴッホとゴーギャン展」

先週末、都美で開催中の「ゴッホとゴーギャン展」を鑑賞してきました。会期が短いのでかなりの混雑を覚悟していましたが、週末にもかかわらず、入場待ちは10分程度で済みました。企画展鑑賞の際は、あらかじめ出品目録で作品数を確認するようにしています。…

『最後の秘境 東京藝大』を読んで知るアーティストの生態

筆者の二宮敦人氏は、東京芸術大学(以下、「藝大」)に通う妻の浮世離れした暮らしぶりに興味を覚え藝大に潜入し、未来の芸術家の卵に突撃インタビューを敢行した成果を基に、本書を著します。天才たちのカオスの日常という副題のとおり、アーティストの生…

ジビエを堪能したあと不覚にも・・・

今年の狩猟解禁日は11月15日、待ちに待ったジビエの季節の到来です。祝日の昨夜は、ジビエ専門店でコースディナーを頂いて参りました。最近は、猟友会の高齢化が進んで猟師は減り続け、里山に餌を求めて現れるツキノワグマやヒグマの駆除さえ儘ならないご時…

トランプ氏当選後のメディア報道を検証する

超大国アメリカの次期大統領がトランプ氏に決まり、テレビも新聞も大方の予想を裏切る形でトランプ氏が大統領選を制した理由を探ろうと、連日、有識者の様々なコメントを報じています。 トランプ氏の当選が確実になったとき、同級生が「今回ほどポピュリズム…

ボジョレー・ヌーヴォー退潮・・・に想う

11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォ-の解禁日。日付変更線のせいで最初に解禁される先進国が日本とあって、思えば、バブル全盛期80年代後半の解禁日の熱狂は凄まじいものがありました。ピーク時の2004年には1248万本が輸入されたといいますから、そのお…

出光美術館50周年記念<大仙厓展>に感極まる

会期最終日の13日、出光美術館で開催中の<大仙厓展>を鑑賞してきました。百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』が第10回本屋大賞(2013年)を受賞して、出光興産創業者出光佐三氏の生涯が広く世に知られるようになりましたが、彼には実業家のほかに美術品蒐…

ジョニ・ミッチエルの歌詞が突き刺さった!

日曜日の日課のひとつは、朝日の別刷りタブロイド紙GLOBE(No.187)の記事を読むこと。このタブロイド紙、珍しく横書きで海外のニュースや洋書情報をカバーしているので結構気に入っています。今週は、英国人ジャーナリストのマイケル・ブース氏のコラムに目…

MASIのコスタセラアマローネ2010年は秀逸だった!

2009年、2010年とグレートヴィンテージが続いたことはワイン通にはよく知られています。ヴィンテージチャートを見ると、2010年は、ボルドーやブルゴーニュの作り手のみならずイタリア産ワインにとってもおしなべてグレートヴィンテージだったことが分かりま…

トランプ現象の深層

米大統領選の投票日まであと2日と迫りました。開票は日本時間の11月9日午前9時から始まります。大勢は当日午前中には判明するのではないでしょうか。 リードを広げていたはずのクリントン女史にメール問題が再燃、最終盤でのトランプ氏の巻き返しが伝えられ…

京都の外資系ホテル事情

ここ数年、外資系ホテルの京都進出が加速しています。先月はフォーシーズンズホテルが東山で開業したばかり。観光客の増加によるホテル不足を解消するために、京都市は2020年までに約6000室分の宿泊施設の建設を促す誘致策を検討中だそうです。 京都市といえ…

戸田奈津子の字幕に物申す〜「地獄の黙示録」から〜

今年もあと2ヶ月、・・・陽の落ちるのが早いこと!誰が考案した言葉なのか分かりませんが、釣瓶落としの秋とは上手い形容ですね。深夜、BS朝日でスイスインドアの決勝戦を観戦し終わったあと、地上波に切り替えないでおいたら、翌日、字幕翻訳者で知られる戸…

ユニクロでセルビッジジーンズを買う

ファッションにあまり興味がないので、よっぽど必要に迫られないとカジュアルウェアを買いに行くことはありません。スーツ族にとってカジュアルウェアについてあれこれ考えることほど煩わしいものはありません。ところがジム通いをしているうちにウェストが…

アマン東京のブラックアフタヌーンティー

2015年3月にグランドオープンして以来、一度は覗いてみようと思っていたアマン東京。開業直後から数ヶ月先まで予約で埋まっていたブラックアフタヌーンティーの人気も沈静化してきたようなので、偵察に行ってきました。アマンリゾーツは今やラグジュアリーホ…

御嶽山大噴火の教訓

2年前の9月27日11時52分、突然、御嶽山が噴火して63名の登山者が命を落としました。そのうち、5名のご遺体は今も見つかってはいません。友人の後輩3人もこの噴火に巻き込まれて、帰らぬ人となってしまいました。今も噴石や火砕流・火山ガスの危険があるため…

「格差社会」について考えてみる

「3.11」以降、この国の抱える問題点を議論するTV討論会や特集が俄かに増えたように感じています。それ以前から連綿と議論されていながら、今だ解決の糸口すら見えない財政破綻懸念や年金問題に加え、少子高齢化を背景に「格差」という言葉が盛んに使われる…

秋のバラフェスタを愉しむ

秋晴れに恵まれた日曜日の昨日、半年ぶりに神代植物公園に出掛けました。春と秋に開催されるバラフェスタを毎年楽しみにしていて、ばら園コンサートが行われる日を狙って訪れることにしています。今年は国立音大卒のサキソフォン奏者のデュオがピアノ演奏を…

世界最古のシルバースミス・バーナードのティーポット

英国のディーラーから購入したバーナードのティーポットが手元に届きました。Barnard & Sonsは、ヴィクトリア女王が最初の娘を授かったとき百合の洗礼盤(リリーフォント)の注文を受けたこともある大変由緒あるシルバースミスです。1680年創業の世界最古のシ…

<涸沢カール>山行4〜涸沢モルゲンロートをついにカメラに収める!〜

2016/10/6、4時50分に起床。夜来の猛烈な風雨はひとまず治まった様子ながら、白み始めた空はどんよりと重い雲に覆われ、鉛のように暗い印象を与えます。目は閉じていたものの昨夜は2時間くらいしか眠れなかったので、頭はぼーっとしたままです。この天気では…

生誕150年展で知る「公園の父」本多静六の生涯〜その2 奇蹟の森〜

明治神宮は東京オリンピックが開催される2020年に鎮座100年を迎えます。それに先立って行われた生物調査の成果を収めた公式写真集『生命の森 明治神宮』を見ると、改めて本多静六博士の未来を見通す慧眼に感服させられます。社殿を包み込む森が育まれたお蔭…

生誕150年展で知る「公園の父」本多静六の生涯〜その1〜

本多静六博士は、明治神宮や日比谷公園をはじめ全国各地で70箇所以上の造園に携わり、日本の「公園の父」と呼ばれる立志伝中の傑物です。博士の偉業は短いブログでは到底ご紹介しきれないのですが、日比谷公園内にあるみどりのiプラザで開催中(〜10/19まで…

妻から見た漱石の私生活〜NHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』から〜

<夫婦は小説より奇なり>というサブタイトルに偽りはありませんでした。4回連続で放映された『夏目漱石の妻』を観て、随処で泣き笑いさせられました。ドラマが始まる前に漠然と抱いていた配役(特に漱石)への違和感は初回ですぐに払拭されました。漱石と妻…

書評:『医者とはどういう職業か』

医者や刑事を主人公に据えたドラマは枚挙にいとまがありません。交番のおまわりさんならいざ知らず、刑事となるとその実像はなかなか見えてきません。いつの世も刑事ドラマの類いが、凶悪犯罪と無縁の日常生活を送っている一般視聴者の関心をさらうのには合…

ウィーン・フィルハーモニーの夕べ〜祝:サントリーホール30周年〜

昨夜は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴きにサントリーホールへ足を運びました。お付き合いのあるD証券さんからご招待頂いたので有り難くお受けした次第です。そして、10月12日の今日は、サントリーホールが開場してからちょうど30年目…

<涸沢カール>山行(3)〜涸沢ヒュッテ嵐の一夜〜

涸沢ヒュッテ到着後、寝る場所が決まると、早速、パノラマテラスで一服することに。早速、1400円払って名物おでんセットを買い求めました。気温はかなり下がってきたものの、山道を7時間あまり歩いてきた甲斐あって、ジョッキで麦酒を呷れば最高な気分を味わ…