京都の外資系ホテル事情

ここ数年、外資系ホテルの京都進出が加速しています。先月はフォーシーズンズホテルが東山で開業したばかり。観光客の増加によるホテル不足を解消するために、京都市は2020年までに約6000室分の宿泊施設の建設を促す誘致策を検討中だそうです。


京都市といえば、全国で最も厳しい景観条例が施行されていて、建物の高さ、屋外広告物、建物外観(デザインや色調)などに厳しい制約を設けています。パリなどヨーロッパの町並みが美しく感じられるのは建物の高さがほぼ統一されているからです。国際都市でありながら、東京がヨーロッパの都市に比してひどく見劣りするのは、行政に都市景観を整備しようという指針も意気込みもないからです。

よく「風景」は主観的なもの、「景観」は普遍的なものと云われます。京都が世代を超えて愛されてきたのは、建物は私有財産であっても景観は「公共財産」であるという考えが広く市民に浸透しているからでしょう。オリンピックを契機に、東京都にも50年後、100年後の都市景観を構想する姿勢を京都から学んで欲しいものです


さて、京都でホテルを開業する場合、概観は町並みと調和するように拵えるとしても、建物の高さ制限は経営の大きな障害になります。高層ビルが建てられないと客室数が限られるため、宿泊代は高騰します。最近、ザ・リッツ・カールトン(2014年開業)(写真上)に宿泊した知人は、1泊でハイアットリージェンシーに2泊以上できると零していました。ラグジュアリーホテルであればこうした価格設定も驚くに値しません。京都はオールシーズン楽しめる都市ですし、ホテル側も高い宿泊代に見合ったアメニティを提供すればいいのですから。

京都に開業したホテルの客室数は以下のとおりです。ほかにも、アマンは鷹峯に25室程度のこじんまりしたホテルを構想中のようです。

2006年 ハイアット・リージェンシー京都(189室)
2014年 ザ・リッツ・カールトン京都(134室)
2016年 フォーシーズンズホテル京都(180室但し一部賃貸・分譲のため123室)
2019年 (予定)パークハイアット京都(未定)