音楽

小澤征爾さんの自伝的エッセイ『ボクの音楽武者修行』の思い出

2月6日、世界的マエストロ・小澤征爾さんが88歳で他界されました。マエストロを偲んで、3連休の日曜日、マエストロが30年近く音楽監督を務めたボストン交響楽団の演奏でマーラーのシンフォニー1番《巨人》(1987年録音・PHILIPS・2013年)を聴いているところ…

BCJ受難節コンサート2023・『マタイ受難曲』(BWV244)

イエス・キリストの降誕祭=クリスマスに比べると、日本における復活祭=イースターの認知度はかなり低いのではないでしょうか。欧米ではイースターの方が遥かに重要視されています。クリスマスと違って、イースターは移動祝祭日です。イースターの2日前の聖…

フィルハーモニクス ウィーン=ベルリンの「ワルチング・マチルダ」

ひと口に音楽と云ってもジャンルが広すぎて、人それぞれ好みは岐れるのではないでしょうか。好きなジャンルを問われたら、躊躇なくクラシックとジャズと答えることにしています。一般に敷居が高いと思われているのか、他の音楽ジャンルに比べると、クラシッ…

ピアニスト・辻井伸行さん|圧巻のアンコールはカプースチン《8つの演奏会用エチュード》から

数日前、初めてピアニスト辻井伸行さん(正式には1点しんにょうです)の生演奏を聴く機会がありました。会場はサントリーホール・大ホール。辻井さんは、2009年6月にアメリカの国民的ピアニスト・ヴァン・クライバーンの名を冠したヴァン・クライバーン国際…

DVD・CDの運命 

朝日新聞夕刊に連載中のエッセイ<三谷幸喜のありふれた生活 1119>を読んで頻りに頷いてしまいました。三谷さんが大学生になった頃、ビデオが普及し始め、バイト代をはたいて最初に買ったのは『大脱走』のソフトだったそうです。当時、2万円近くしたとあり…

東京カテドラル大聖堂|パイプオルガンならここで聴きたい!

モーツァルトはパイプオルガンを「楽器の王様」と呼んで、自身もその演奏に親しんだと云います。モーツァルトの故郷ザルツブルグの大聖堂にはモーツァルトが弾いた欧州最大級のパイプオルガン(写真下)が残されています。彼はここで洗礼を受け後にオルガン…

サントリーホールの冬の風物詩|BCJの「聖夜のメサイア」(2022)

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は、2001年以降毎年、サントリーホールでクリスマスコンサートを開催し今年で22回を数えます。自身、聖夜にサントリーホールに足を運ぶのは3回目になります。今年は3年ぶりに客演が復活。客席の9割方は埋まっていて16:00…

仲道郁代さんのピアノリサイタル@八ヶ岳高原音楽堂

先週の10月14日、仲道郁代さんのピアノリサイタルが催される八ヶ岳高原音楽堂(長野県南佐久郡南牧村大字海の口)を訪れました。会場はその名のとおり、八ヶ岳の山懐に抱かれた高原にあって、美しいカラマツ並木が出迎えてくれます。11月にかけて「八ヶ岳イ…

佐渡裕指揮・新日本フィル X 反田恭平・ベートーヴェンピアノ協奏曲第7番《皇帝》

創立120周年を迎えた大和証券さんからコンサートの招待状を頂戴しました。これがとんでもないプラチナチケットで、思わずほくそ笑んでしまいました。招かれた記念特別公演@東京オペラシティ(タケミツホール)は、佐渡裕指揮・新日本フィルと反田恭平さんの…

聖土曜日に聴くBCJの『マタイ受難曲』(BWV244)

キリスト教徒にとってクリスマスより大切な日、それは聖金曜日から始まる3日間です。2022年の聖金曜日は4月16日(月齢で毎年変動します)。イエス・キリストが十字架に架けられたとされる聖金曜日は、米国をはじめヨーロッパの多くの国で祝日になっています…

3年ぶりのサントリーホール「オープンハウス」

春恒例のサントリーホール1日開放イベント「オープンハウス」(有観客)が3年ぶりに開催されました。去年はオンラインイベント「デジタルオープンハウス」でしたので、多くのクラシックファンがこの日を待ちわびていたことでしょう。小ホールではお子様向け…

心に訴えるバラード『青い影』がロックバンドの代表曲だったとは!

昨日、全国紙の訃報欄で『青い影』の共同作曲者ゲイリー・ブルッカー氏が亡くなったことを知りました(享年76)。記事を読んで少し狼狽えてしまいました。というのも、『青い影』(1967年)の作曲者ブルッカー氏がイングランド出身のロックバンド、プロコル…

中古レコード・CD専門店「パレード」の魅力再発見

以前住んでいた賃貸マンションの近くに、中古レコード専門店「パレード」(所在地:三鷹市下連雀3-33-17)がありました。三連休の中日、ワンタン麺が評判の路面店で軽い夕食を済ませ、その足で「パレード」に向かいました。転居してから20年余り経つので、記…

2022年の聴き初めは『ゴルトベルク変奏曲』

『ゴルトベルク変奏曲』(BWV988)の演奏をライフワークにされているピアニスト高橋望さんのリサイタルに通い始めて今年で3年目。昨年の東京オペラシティ・リサイタルホールから会場を浜離宮朝日ホールに移して、1月22日(土)にリサイタルが開催されました。…

「ティアーズ・イン・ヘヴン」に誘われて観たドラマ『優しい音楽』

ギターの神様エリック・クラプトンの名曲「ティアーズ・イン・ヘヴン」がサブタイトルになったTVドラマ『優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国の君へ』(2022年1月7日・テレビ東京放映)を観て、涙腺が緩んでしまいました。脚本家岡田惠和さんのオリジ…

村治佳織ギター・リサイタル2021@サントリーホール

正統派クラシックギタリストでありながら、スクリーンミュージックをはじめエリック・クラプトンやビートルズのナンバーも情感豊かにカバーしてみせる村治佳織さんのCDを普段から愛聴しています。なかでも一番の推奨盤は『ポートレイツ』。休日の朝にこのア…

9月4日は<クラシック音楽の日>~器楽曲部門TOP3はバッハで異議なし~

9月4日が<クラシック音楽の日>だったとは・・・当日朝刊の広告特集で初めて知りました。ちょっと強引な語呂合わせではありますが、こんな記念日もあっていいでしょう。朝刊一面に、ユニバーサルミュージックの新企画『クラシック百貨店』がクラシック音楽…

マエストロ鈴木雅明氏が語る「マタイ受難曲」(21-6-20)

先月20日、「マタイ受難曲を語る」と題した出版記念講演を聴こうと朝日カルチャーセンター新宿教室へ足を運びました。オンライン受講も可能でしたが、肉声を聞きたくて最後の一席に滑り込みました。勉強熱心な高齢者が目立つカルチャーセンターはどちらかと…

再聴「フライト・トゥ・デンマーク」

CDがさっぱり売れないのだそうです。CD不況は世界的現象で、欧米では楽曲の売上の殆どはストリーミングやダウンロードになっています。近いうちに車を買い替えるつもりですが、目ぼしい車種にはもはやCDチェンジャーは搭載されていないのです・・・お芝居を…

「写真家ドアノー/音楽/パリ」展@Bunkamuraザ・ミュージアム

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中(~2021/3/31)の「写真家ドアノー/音楽/パリ」展を訪れました。会場入口で愛機ローライフレックス(末尾注)を構えたロベール・ドアノーと対面です。パネルの右側にこう書かれています。<パリは、時間の浪費がチケット代…

チック・コリアさん死去〜”N0W HE SINGS, NOW HE SOBS”〜

米国ジャズピアニストの巨匠チック・コリアさんが79歳で他界されたと知り、週末の今日は、CD収納庫からチックのファーストアルバムにして伝説の名盤“NOW HE SINGS, NOW HE SOBS”(1968年録音・BLUE NOTE)を引っ張り出して、全13曲を聴くことに。「今、彼は歌…

2020 聖夜のBCJメサイア X The Okura Tokyo

コロナに振り回された2020年は、コンサートをはじめとする舞台芸術の休演が相次ぎました。ベートーヴェン生誕250周年を記念する一連のコンサートを楽しみにしていた多くのクラシックファンが落胆したに違いありません。年の締めくくりくらいはサントリーホー…

無観客のウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2021~マエストロ・ムーティからのメッセージ~

<黄金のホール>こと楽友協会大ホールが無観客なことに気づいてはっと我に返りました。依然、コロナ禍が世界で猛威を振るっていることをすっかり忘れ、満席の大ホールに巨匠ムーティが登壇すると思っていたからです。毎年、日本時間の元日の夜、ウィーンか…

久しぶりに映画の梯子〜『パヴァロッティ 太陽のテノール』+『ミッドウェイ』~

この連休初日は、TOHOシネマズ日本橋で久しぶりに映画2本を観ることに。鑑賞前にお気に入りモーニングを頂こうと、勇んでミカドコーヒー日本橋店に立ち寄りました。ところが、コロナの影響でモーニングの提供を控えている由。そこはめげずに、ブレンドLサイ…

映画『オーシャンズ11』のラストに流れる「月の光」

映画やテレビドラマの名場面にふさわしいクラシック曲が流れると、ついつい手持ちのCDを探してしまいます。久しぶりに『オーシャンズ11』(2001年)を観て、ドビュッシーの代表曲のひとつ「月の光("Clair de lune")」を聴きたくなりました。『オーシャンズ11…

村上RADIOステイホームスペシャル(第14回)の粋な選曲~radikoタイムフリー機能で救われました~

昨夜の村上RADIO(第14回)を寝落ちして聞き逃してしまいました・・・気がついたら午前3時、スケジューラーを夕方チェックしなかったのが運の尽きでした。今週は18日から22日まで5日連続で日照時間 「0時間」! 東京では42年振りの椿事でした。自宅蟄居が続…

高橋望さんの「ゴルトベルク変奏曲」(2020/1/18@東京文化会館小ホール)

2020年初春コンサートの皮切りは、若手ピアニスト高橋望さんの「ゴルトベルク変奏曲」(BWV988)でした。チケットとCDは、高橋さんを個人的に応援しているという知人弁護士のT さんが贈って下さいました。会場は壇上のグランドピアノを囲むように客席が配置さ…

BGMならバッハが聴きたい!

ときどきホームパーティを開いて友人知人を自宅に招きます。そんなとき、BGMにジャズアレンジのバッハをかけることにしています。先週のホームパーティには、CD「JAZZで聴くバッハ BACH」を流しました。「メヌエット」、「インヴェンション1番」、「G線上の…

とっておきアフタヌーンVol.11はロシアを代表する作家曲の作品3曲

サントリーホール大ホールの昼公演に足をはこびました。開場は12:50、開演は13:30から。アークヒルズでお弁当を買って、アーク・カラヤン広場のテーブルでクイックランチしました。周りにはサラリーマンやOLのグループがランチを楽しんでいます。しばらくす…

ムーティ×シカゴ交響楽団で聴くブラームスの交響曲第一番&第二番

昨夜、サントリーホールで開催された冠公演に招待されて、リッカルド・ムーティ×シカゴ交響楽団という夢の共演を聴いて参りました。外気温は5度前後、久しぶりに開場を告げるパイプオルゴールを聞きました。ムーティはシカゴ交響楽団の音楽監督で、ウィーン…