東京カテドラル大聖堂|パイプオルガンならここで聴きたい!

モーツァルトはパイプオルガンを「楽器の王様」と呼んで、自身もその演奏に親しんだと云います。モーツァルトの故郷ザルツブルグの大聖堂にはモーツァルトが弾いた欧州最大級のパイプオルガン(写真下)が残されています。彼はここで洗礼を受け後にオルガン奏者を務めています。

パイプオルガンの起源は紀元前に遡り、バロック時代に全盛期を迎えます。そんな古い歴史を有するパイプオルガンが日本国内に1000台以上あるといいますから驚きです。建物(設置空間)に応じて1台ずつ設計されるわけですから、パイプオルガンはひとつひとつがオリジナルということになります。都内有数のコンサートホールには大型パイプオルガンが設置されています。パイプ数(括弧内は本数)で比較すると、池袋の東京芸術劇場(8286本)を筆頭に、NHKホール(7640本)、サントリーホール(5898本)が続きます。

最近、ユーミンの『翳りゆく部屋』のレコーディングで使われたパイプオルガンが東京カテドラル聖マリア大聖堂の初代パイプオルガンだったことを知りました。ユーミンが作曲に目覚めたのも、母校立教女学院の教会で聴いたパイプオルガンの荘厳な音色がきっかけだそうです。

パイプ数では先に掲げた都内屈指のコンサートホールに劣るものの、神聖な礼拝場所である目白・東京カテドラル大聖堂のイタリア製パイプオルガン(パイプ数3122本・ストップ数46)は、教会設置パイプオルガンとしては日本最大規模を誇ります。昨年暮れ、椿山荘に滞在した際、内部を見学してきたばかりです。丹下健三が設計した大聖堂は上空から見ると十字架の形をしていて、内部はコンクリートの壁で覆われおり、天井高は高いところで40mを超えます。パイプオルガンなら、この東京カテドラル大聖堂で耳を澄ませたいと思っています。コロナ禍で3年余り中断を余儀なくされた東京カテドラル大聖堂の「オルガンメディテーション」が2023年2月から再開します。音楽の父・バッハは数多くの教会カンタータを作曲しました。当日を心待ちしながら、後奏の「前奏曲とフーガホ長調 」(BWV 566)の調べとその残響を頭に思い浮かべ始めたところです。