読書

『樹木希林 120の遺書』から~心に響いたメッセージの抜き書き~

2018年9月15日、女優の樹木希林さん(享年75)が亡くなりました。存在感のある女優さんで、お年を召されてからの立ち居振る舞いが颯爽としていて、ずっと和服姿の似合う素敵な方だなと思っていました。お亡くなりになる1年前に公開された映画『日日是好日』…

”FIRE”本のエッセンス(前篇)

最近、30代から40代の知人女性(株式投資未経験者か投資歴1年前後)数名にタレントの厚切りジェイソンさんが出版した『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ・2021年11月刊)を勧めたところ、「やっぱりSP500を使ったインデックス投資なんですね」と要領を得…

没後100年目の鷗外忌

文豪・森鷗外は1922(大正11年)年7月9日午前7時に文京区の自宅で病死します。享年60歳でした。軍医総監にまで上り詰めた鷗外は、自らの死期を悟り、死の3日前に遺書を口述し親友・賀古鶴所(かこつるど)に筆記させました。自宅「観潮楼」のあった場所(当時:千…

『朝日新聞政治部』(鮫島浩著・講談社)を読んで〜落日の新聞ジャーナリズム〜

紙媒体の新聞の消滅はもはや時間の問題です。この5月に出版されたばかりの『朝日新聞政治部』を読んでそう確信しました。物心ついた時分から長年朝日新聞購読してきた者として、天下の朝日新聞が今や権力に阿る御用新聞に成り下がったことを痛恨の思いで受け…

英語のワンフレーズ褒め言葉に学べ

最近、英語教育学者として知られる鳥飼玖美子さんの著書『話すための英語力』(講談社現代新書)を読む機会があって、英語にかぎらずコミュニケ―ションを図ることの難しさを再認識させられました。鳥飼さんは、1969年7月、アポロ11号が史上初めて月面着陸を…

「観天望気」の心得 ~『すごすぎる天気の図鑑』はぜひとも読んでおきたい良書 ~

琵琶湖疎水のトンネル出入口に設置されている扁額には、明治の元勲ら先人の揮毫で疎水完成を讃える含蓄深い言葉が刻まれています。そのひとつ、第1トンネルに掲げられた扁額に揮毫したのは初代内閣総理大臣・伊藤博文です。千変万化する風光は素晴らしいとい…

83歳・堀江謙一さんのヨット単独無寄港太平洋横断から学ぶこと

6月4日、83歳の堀江謙一さんが単独無寄港で太平洋横断に成功し紀伊水道のゴールに戻ってきました。出発地は米サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ下、距離にして約8500km、69日を要した長い航海でした。80歳を超えてもやまない挑戦心と情熱には脱帽…

そう来たか「地球の歩き方」(国内版シリーズ第二弾は東京多摩地域編)

海外渡航が制限されるようになって3年目、旅行代理店、航空会社、鉄道会社、ホテル、旅館等、旅行業界の主だったプレーヤーは例外なく窮地に立たされています、考えてみれば当然ですが、海外旅行向けガイドブックの需要もないに等しい状況なのでしょう。そう…

ブックレビュー:『スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件』(大下英治著・さくら舎)〜救世主・河合弘之弁護士が挑んだ白兵戦〜

書名を聞いてすぐにピンときた方は、金融や不動産関係のお仕事をされている方ではないでしょうか。この事件が発覚したとき、被害者に自分自身を重ねて、自責の念にかられた方も少なからずいることでしょう。バブル期に投資用マンションを購入して痛い目に遭…

論語と恩師~<見義不為 無勇也>~

先週、同級生を通じて中学時代の恩師U先生が他界されたことを知りました。1月6日のことでした。卒業以来、毎年欠かさず頂戴していた年賀状が届かないので、もしや体調を崩されたのではと心配していた矢先のことです。通っていたのは1学年4クラス編成の某国立…

GAFA帝国の次なる支配戦略~さらなる成長に死角はないのか?~

<GAFA>には様々な異名があります。本拠地米国メディアは"Big Four"や”Big Tech(或いは単にTech)”と呼び習わすのが通例です。一説では、仏ルモンド紙が最初に<GAFA>という新語を使ったのだそうです。売上・利用者数が桁違いの規模を誇る<GAFA>は今や…

ブックレビュー:『老人支配国家 日本の危機』(文春新書)

『老人支配国家 日本の危機』の著者はエマニュエル・トッド氏。ソ連崩壊やリーマンショック、イギリスのEU離脱を予測したことで知られる歴史人口学者です。2020年12月に完全日本語オリジナルとして出版された『エマニュエル・トッドの思考地図』を読むと、著…

ブックレビュー:『フランスの小さくて温かな暮らし365日』

年明け、オミクロン株の感染者が急増。この2年間お預け状態の海外渡航を今年こそ再開と意気込んでいたのですが、年初から雲行きが怪しくなってきました。航空会社や旅行代理店には厳しい事業環境が続きそうです。もうしばらく、TBS『世界遺産』をはじめ海外…

2021年マイベストブックは『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』〜祝・第48回大佛次郎賞受賞〜

毎年、年末になると書評子が今年印象に残った本を新聞をはじめ各種メディアが取り上げます。これに倣って2021年のマイベストを問われたら、文句なしに『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』と答えるでしょう。作者・堀川惠子さんは、広島テレビ女性初の…

「マルチステージライフ」とアドラーの「ライフスタイル」論

2016年に出版された『LIFE SHIFT』の続編『LIFE SHIFT2』(東洋経済)が刊行され話題になっています。副題は「100年時代の行動戦略」。超高齢化社会の到来を前に具体的な行動指針さえ持ち合わせていない大多数の高齢者や高齢者予備軍にはうってつけの指南書で…

山岳コミックの金字塔『岳 完全版』全9巻を大人買い

先月下旬、北アルプスに遠征したとき、宿泊した穂高岳山荘(注)のラウンジ書棚に山岳コミックの金字塔『岳』全18巻が収まっていることに気づきました。前泊の徳澤園のラウンジでも見かけました。コミック『岳』の舞台は北アルプス穂高連峰、主人公の島崎三…

アンソロジー『石垣りん詩集 表札』を読む

朝日新聞に掲載された記事(2021年9月18日)に触発されて、『石垣りん詩集 表札』(童話屋)を手にとりました。出版社は詩集や絵本を手掛ける童話屋(杉並区成田西2-5-8)。作者と親交のあった創業者で編集者の田中和雄さんが積年の思いを込めて出版されたこ…

吉祥寺の<ブックマンション>を訪ねて

昨年7月、吉祥寺にオープンした<ブックマンション>を初めて訪れました。以前、「シャポー・ルージュ」(旧「バンビ」)という名前の老舗洋食店があった商業ビルの地階スペースが新しいスタイルの古書店に変貌していました。営業日が水/金/土/日(13:00~17…

「親ガチャ」の当たりは十人十色~裕福な家庭に生まれることが当たりとは限らない~

最近、全国紙にも頻繁に登場するようになった「親ガチャ」という若者言葉、。中高年には耳慣れないこの言葉、ご存じない方のために含意を解説しておきたいと思います。カプセル入りの「ガチャ」から何が飛び出すか分からないように、<どんな親の元から生ま…

『山小屋ガールの癒されない日々』で知る山小屋のリアルな日常

3年前、山小屋が大の苦手だという友人T君を説得して見晴(尾瀬ヶ原)にある弥四郎小屋に1泊、至仏山に登ったことがあります。テント派のT君は人見知りするタイプで山小屋で見知らぬ登山者と一晩を共にするのは苦痛だというのです。ひと口に山小屋といっても…

J.K.ローリングさんのハーバード大学卒業記念講演録|『とてもよい人生のために』(静山社)

隣駅南口の目の前にある図書館、<武蔵野プレイス>へ行くときは、必ず貸出点数上限の10冊を借りてくることにしています。明確に借りる本が決まっていない場合は、あてどなく図書館をほっつき歩きます。そんなときにかぎって思いもよらない素敵な本との出会…

自民党総裁候補の政策論争に見る<「現実」主義の陥穽>

<「現実主義」の陥穽>と括弧書きにしたのは、この言葉が昭和を代表する政治学者丸山真男(1914-1996)の論文タイトルだからです。同論文を所収する『現代政治の思想と行動』(未來社)は、昔は法学部生の必読書のひとつで、自分も貪るように読んだ記憶がありま…

祝ギネス世界記録:「ゴルゴ13」単行本巻数は「こち亀」を抜いて世界一に

「こち亀」の「週刊少年ジャンプ」連載が終了したのは2016年。「こち亀」の単行本全200巻を「ゴルゴ13」(連載開始は1968年)が抜き去ったと知って感慨を新たにしているところです(現在202巻)。作者のさいとう・たかを氏は84歳、体力が続くかぎり描き続け…

「監視資本主義」社会の立役者デジタルプラットフォーマーの絶大なる影響力

2021年8月27日付け日経朝刊の<GAFA「日本株超え」>という見出しは衝撃的でした。2020年5月9日、同紙はGAFAの時価総額が東証一部(2170社)超えを報じてから、わずか1年あまりで日本株全体の時価総額を凌駕してしまったのです。足元、GAFAの時価総額は日…

『藤井聡太論 将棋の未来』~AIを超えて~

『藤井聡太論』(講談社+α新書)の著者は、日本将棋連盟会長を歴任された谷川浩司九段。この本を読もうと思ったきっかけは、昨年7月、棋聖戦5番勝負に挑んだ藤井七段が第2局58手で指した「△3一銀」が「AI超え」と呼ばれるようになったことです。進化を重ねる…

立花隆さんの後悔〜森羅万象への尽きることのない好奇心の代償〜

立花隆さんの著作を貪るように読んだ時期がありました。20代で出会った『宇宙からの帰還』(1983年)を皮切りサイエンスの世界に切り込んで次々と刊行される氏の著作は殆ど目を通したはずです。どこまで理解できたかは甚だ心許ないのですが、日本人ノーベル賞…

ブックレビュー:団鬼六の異色評伝『赦す人』

稀代の官能小説家団鬼六(だんおにろく)の著作を一冊も読んだことはありません。氏の作品といえばかろうじて映画化された『花と蛇』を知る程度です。最近、愛読作家のひとり大崎善生(おおさきよしお)の旧作『赦す人』(2012年刊行)を手にする機会があっ…

眺めているだけで楽しくなる『解剖図鑑シリーズ』

建築専門出版社エクスナレッジ社が刊行する『解剖図鑑シリーズ』をご存知でしょうか。このシリーズの存在を知ったのは2017年の夏。近所のジュンク堂書店をブラブラしていたときに『歌舞伎の解剖図鑑』(絵と文:辻和子)(2017年7月28日初版第1刷)を見つけたと…

14サミッター竹内洋岳さんの『下山の哲学』(太郎次郎社)を読む

2012年に日本人として初めて8000m級14座完全登頂を果たした竹内洋岳(ひろたか)さんは、翌2013年に植村直己冒険賞を受賞した日本を代表するアルピニストのひとりです。『下山の哲学』というタイトルに惹かれて、本書に手を伸ばしました。1984年にマッキンリー…

小説家黒木亮さんの素顔

愛読者のひとりとして、日経夕刊の(全5回)に登場した黒木亮さんのインタビュー記事を興味深く拝見しました。10年前に読んだ『リスクは金なり』(講談社文庫)を慌てて引っぱりだしてきたら、かなり内容が重複していました。すっかり忘却の彼方だったので、読…