2024年元旦・深大寺の初詣とおみくじ

例年ならお節料理を頂いてからのんびり初詣に出かけるところですが、今年は8時過ぎに神代植物公園第二駐車場に車を滑り込ませました。午後から次男夫婦が年始回りで来宅するからです。駐車場から深大寺まで徒歩で7-8分。

東京屈指の古刹・深大寺は、総延長30kmに及ぶ国分寺崖線が深く抉り取った斜面(崖=ハケ)にあります。開山堂から崖を下って左へ進めば山門です。道すがら、門前に軒を連ねる蕎麦屋さん、団子屋さん、お土産屋さんの情緒漂う佇まいを眺めるのが初詣の楽しみです。

風が少し気になる程度の穏やかな元旦、初詣客賑わう時間帯より少し早めだったのが幸いして、並ぶことなく本堂前でお詣りが出来ました。見上げれば、今年も無患子の実がたくさんなっています。締めのおみくじは「吉」。昨年は「凶」でしたが大過ない1年だったので、今年は逆に一層気を引き締めて臨もうと思っています。

半藤一利さんの著作『荷風さんと「昭和」を歩く』(プレジデント社)に、占い好きだった永井荷風の話が出てきます。最晩年の荷風さんは、浅草観音深大寺同様「凶」の多いお寺です)の「大吉」のおみくじを肌身離さず持っていたそうです。「大吉」を持っていれば人に迷惑をかけずにぽっくり死ねるとばかり、荷風さんは「大吉」が出るまで引き続けたのだそうです。亡くなったときも、衣服のポケットから四つ折りにされた「大吉」のおみくじが発見されています。信心どおりになったわけです。元旦、おみくじを引く度に思い出す、西洋仕込みの合理主義者・荷風さんらしからぬエピソードです。