初詣は深大寺〜「凶」頻出のおみくじに留意〜

例年、初詣は調布市北部に所在する深大寺をお参りすることにしています。都内屈指の古刹といえば、誰しも浅草寺(628年創建)を思い浮かべることでしょう。都心からのアクセスは抜群ですし、近年は外国人参詣者の姿の方が目立ちます。知名度こそ浅草寺には及びませんが、深大寺の開創は天平5(733)年、実は都内では浅草寺に次ぐ古刹なのです。3月3〜4日に開催される「深大寺だるま市」は日本三大だるま市のひとつに数えられるので、ご存じの方も少なくないかと思います。

天台宗別格本山深大寺(山号は浮岳山)は、国分寺崖線谷戸(やと)状に抉れた崖面に立地しています。我が家がいつも利用する神代植物公園第二駐車場から深大寺をめざすと、途中から急坂を下ることになります。崖線・谷戸地形だけに深大寺周辺には複数の湧水源があって、門前のそうした自然景観が大きな魅力になっています。深大寺の名前は三蔵法師を守護した水神「深沙大王(じんじゃだいおう)」に由来する上、名物「深大寺そば」も清冽な清水と切っても切れない縁があるのです。

久しぶりに家族が全員揃ったので元旦に深大寺を参拝し、オリンピックイヤー2020年の家内安全を祈願して、「元三大師御祈祷札」を授かってきたところです。お札の上部には、平安時代に疫病神を退散させた鬼姿の「元三大師」(別名:「角大師(つのたいし)」が刷り込まれていて、意匠的にも相当な迫力があります。「角太師」だけ刷ったお札は「降魔札(ごうまふだ)」と呼ばれ、江戸時代には庶民が戸口に貼って魔除けにしたのだそうです。

この元三大師の生前の名は「良源」。1月3日に入滅されたので「元三大師」と呼ばれるようになったのです。お正月、全国の寺社で参拝者が引くおみくじを創始したのが他ならぬ「元三大師」様なのです。深大寺の公式HPには「おみくじの元祖」と題した次のような説明書きがあります。

(以下:引用)我が国の「おみくじ」の創始者は、元三大師さまです。今も全国のお寺や神社でこの「おみくじ」は引かれていますが、寺社によっては「吉」を引きやすくするため「凶」の「おみくじ」を抜き取っている場合もあるようです。深大寺の「おみくじ」は古来のままなので、「凶」が多いことで有名です。しかし「凶」は「吉」に好転する力を秘めています。日本屈指の元三大師寺院である深大寺で「おみくじ」を引くことは、まことに意味があるのです。

浅草寺のおみくじも「凶」が多いと言われます。実際、深大寺で「凶」を引いた参拝者をよく目にします。ところが今年は自分も息子も「大吉」を引き当てました。その瞬間、気分は上々でしたが、正月3日を迎えた今、ダブル「大吉」は、むしろ今年一年確と気を引き締めてかかれというメッセージだと受け止めています。

令和2年の今年、十年ぶりに秘仏「元三太師像」が4/18から5/17まで特別開帳されます。僧形の古像としては日本最大で2mもあるのだそうです。この機会に、ご尊顔を拝するつもりです。