人物

半藤一利さん逝く

1月12日に作家の半藤一利さん(享年90歳)が他界されました。朝日新聞社会面は、「半藤一利さん死去」に続けて「90歳作家 昭和史に光」と小見出しを打って大きく取り上げました。15日には、共著の多数ある盟友のノンフィクション作家保坂正康氏が「半藤一利…

茶人松永久秀(弾正)と大名物「平蜘蛛」

2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が終盤を迎えています。茶釜「平蜘蛛(ひらぐも)」を所望する信長に差し出しさえすれば命乞いが叶ったかも知れないのに、吉田鋼太郎演じる松永久秀は信貴山城で自刃を選びました。大河ドラマで異彩を放った戦国大名松永久…

山崎弁栄上人没後100年記念企画展を振り返って~会場は長良川画廊・東京ギャラリー~

今年もあと3日、2020年は新型コロナウイルスの地球規模の感染拡大で世界が一変した年でした。生命を脅かされるような辛い経験をすると人生観が変わるとよく言われます。戦後75年、日本が再び戦場となることこそありませんでしたが、地震や風水害は繰り返し日…

体験的井上ひさし伝〜「没後10年井上ひさし展-希望の橋渡しする人」展より〜

3連休初日、敬愛する井上ひさしの没後10年展 を見たくて、3年ぶりに世田谷文学館を訪れました。没後30年の「澁澤龍彦 ドラコニアの地平」展以来となります。井上ひさしとの出会いは、文学作品ではなく、NHK総合テレビの人形劇「ひょっこりひょうたん島」。娯…

アフターコロナと吉本隆明の《共同幻想論》

今月の「100分de名著」は吉本隆明の『共同幻想論』(1968年)を取り上げています。戦後最大の思想家と言われる吉本隆明の難解極まる代表作を再読する機会を番組が与えてくれたことに感謝しています。昨年、NHK出版から刊行された『考える教室 大人のため哲学入…

三谷幸喜さんから向田邦子さんへの頌詞

朝日新聞夕刊に連載中の「三谷幸喜のありふれた生活 (#995)」(2020/6/11)を読んで、三谷幸喜さんを幾度も唸らせたという向田邦子さんについて触れてみたくなりました。当代きっての喜劇作家が向田邦子さんを絶賛するとは意外な感じもしますが、連載エッセイ…

連続ドラマW「鉄の骨」〜池井戸ドラマにハズレなし〜

最近、WOWOWのオリジナルドラマ「鉄の骨」(全5話)が完結しました。これまで数々の池井戸潤作品がドラマ化されていますが、失敗作を観たことがありません。映像化によって原作の持ち味が損なわれるケースも散見されるだけに、池井戸ドラマの高視聴率は驚異的…

植村直己さんを偲んで〜エベレスト日本人初登頂から50年〜

松浦輝夫さんと植村直己さんが日本人初となるエベレスト登頂を果たしたのは、1970年5月11日(午前9:10)のことでした。英国隊のエドモンド・ヒラリー(登頂後ナイトの勲位を得たのでヒラリー卿)とチベット人シェルパのテンジン・ノルゲイによる世界初登頂から17…

メルケル政権のアーティスト支援策に見る懐の深さ

安倍首相が家で寛ぐ動画を配信して顰蹙を買う一方、初動対策に遅れをとったトランプ大統領は批判の矛先をWHOに向けたりと、先進国リーダーの危機管理(Crisis Management)に綻びが生じています。緊急事態宣言発出後も、首都圏自治体トップの言動は右往左往、…

「いだてん~東京オリムピック噺~」の蔭の主役は森山未來

2019(令和元)年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(脚本:宮藤官九郎)の視聴率は、年初から超低空飛行を続け、期間平均で歴代ワーストの8.2%でした。初の一桁という不名誉な記録でもありました。タイムシフトで視聴していたので、大河…

羽生善治27年ぶり失冠に惟う

将棋界で数々の前人未踏の記録を打ち立ててきた羽生善治竜王(48)が、第31期竜王戦第7局で広瀬章人八段(31)に敗れ、27年ぶりに無冠になったことが大きく報じられています。もし羽生竜王がタイトル防衛に成功していれば、通算タイトル獲得数100期達成という歴…

「西郷どん」最終回に寄せて~瑛太が大久保利通を好演!~

毎年、その年の大河ドラマが終わるといよいよ年の瀬という思いをあらたにします。平成最後の「西郷どん」の前半、島津斉彬の治下、主人公西郷吉之助が脇役に退いたような印象を与える群像劇の様相を呈して、些か不満が募りました。しかし、終わってみればさ…

寺山修司展@神奈川近代文学館を振り返って

会期最終日の迫る11月最終土曜日、神奈川近代文学館へ。東急渋谷駅でみなとみらいチケットと呼ばれる当日有効の往復チケット860円を購入。片道で買うより100円お得な上、横浜高速鉄道みなとみらい線区間は乗り降り自由になります。都心から赴けばちょっとし…

白洲次郎 白洲正子の暮らし展@TOBU

東武百貨店池袋店で開催中の特別展「白洲次郎 白洲正子の暮らし展」(〜4月17日まで)に足を運びました。流儀(プリンシプル)を貫いた白洲夫妻の生き方に以前から憧憬の念を抱いていただけに、今回、ムック(末尾掲載本参照)を通じてしか見たことのない数…

『火垂るの墓』の高畑勲監督の死をを悼んで

日本のアニメーション界を長らく牽引してきたスタジオジブリの高畑勲監督が享年82歳で永眠されました。巨星墜つとは高畑監督のような方がこの世を去ることを云うのでしょう。高畑監督の代表作『火垂るの墓』を初めて観たときの衝撃は言葉にならないくらい強…

生誕百年ユージン・スミス展@東京都写真美術館 + 講演会

第二次世界大戦末期、カメラマンとして激戦の沖縄に従軍していたユージン・スミスは、命こそ取り止めめたものの、日本軍の追撃砲弾で重傷を負い、1年あまりカメラを構えることができませんでした。ユージン・スミスの代表作のひとつ、"The Walk to Paradise …

桂文枝師匠の創作落語にかける情熱

中学生の頃、古典落語に嵌って、落語研究者の興津要さんが編集した講談社文庫版『古典落語』シリーズを次々と読破したものです。身近に寄席がなかったせいもありますが、専ら活字を通して古典落語に親しんでいきました。「こんにゃく問答」や「強情炎」のよ…

「不可能」の反対は「可能」ではない、「挑戦」だ! by Jackie Robinson

最近、テレビドラマで主人公が「不可能の反対は可能ではない、挑戦だ」と語るシーンがありました。ピーンときた視聴者も多かっのではないでしょうか。その台詞の主、数々の名言を遺したジャッキー・ロビンソン選手のことを書いてみたくなりました。[ ジャッ…

ヴァージニア・リー・バートンのちいさいおうち展(後編)

男の子ふたりに恵まれたジニーはその息子たちのために絵本を書き始めたのだそうです。長男アリスのために『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』(村岡花子訳)を、そして次男マイクには『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』(石井桃子訳)を書き上げたといい…

ヴァージニア・リー・バートンのちいさいおうち展(前編)

大人になっても手離せない絵本のひとつがヴァージニア・リー・バートンさんの『ちいさいおうち』です。ときどき、HOUGHTON MIFFLIN COMPANY版を手にとって頁をパラパラするだけで懐かしい感覚に浸れるから不思議でなりません。そんな大好きな絵本にまつわる…

蓮池薫さんが語る北朝鮮〜北朝鮮と国交がない日本はマイノリティ〜

5/24付け朝日新聞朝刊に北朝鮮の拉致被害者のひとり蓮池薫さんへのインタビュー記事が掲載されていました。連日報じられる北朝鮮の核・ミサイル関連ニュースに隠れて、最近は、拉致被害者の再調査問題が埋没しつつあるように感じていただけに、取材記事は改…

生誕150年展で知る「公園の父」本多静六の生涯〜その2 奇蹟の森〜

明治神宮は東京オリンピックが開催される2020年に鎮座100年を迎えます。それに先立って行われた生物調査の成果を収めた公式写真集『生命の森 明治神宮』を見ると、改めて本多静六博士の未来を見通す慧眼に感服させられます。社殿を包み込む森が育まれたお蔭…

生誕150年展で知る「公園の父」本多静六の生涯〜その1〜

本多静六博士は、明治神宮や日比谷公園をはじめ全国各地で70箇所以上の造園に携わり、日本の「公園の父」と呼ばれる立志伝中の傑物です。博士の偉業は短いブログでは到底ご紹介しきれないのですが、日比谷公園内にあるみどりのiプラザで開催中(〜10/19まで…

『牧野富太郎自叙伝』を読む〜牧野記念庭園と共に〜

小学生の頃、庭いじりが好きだった祖父の書棚で『牧野植物図鑑』を目にしたことをきっかけに、牧野富太郎(1862-1957)が世界的植物学者だと知りました。男の子は、植物よりも動物や昆虫に圧倒的に興味をそそられるものですが、自分は新種の植物を見つけて系…

文京区立森鴎外記念館を訪れて

行こう行こうと思いながら2年以上も経ってしまいましたが、ようやく森鴎外記念館(2012年11月開館)を訪れることができました。記念館の建つこの地(文京区千駄木1-23-24)に、鴎外は1892(明治25)年から亡くなる1922(大正11)年まで過ごしたのだそうです。…

渡辺一枝さんの聖山カイラスの講演会を聴いて

先月23日、市谷にあるJICA地球広場で開かれた渡辺一枝(いちえ)さんの講演会を聴いてきました。ご存じない方には、作家の椎名誠さんの妻女と紹介しておきましょう。二十代の時分、椎名誠さんの代表作『岳物語』を読んで、渡辺一枝さんの初期のエッセイにも…

大西巨人さんの死去を悼んで

大西巨人さんのライフワーク『神聖喜劇』を知ったのは、大学教養部の哲学の授業のときでした。たまたま最前列で聴講していたら、担当教官の水野一教授がなんの拍子からか「授業を最前列で聞くなんて愚の骨頂だよ」と宣い、大西巨人の『神聖喜劇』の話を始め…

宮下均君の死を悼んで

老親を見送る世代になったせいか、ここ数年、歳末にかけて年賀欠礼の葉書が届くことが多くなったように思います。学窓を離れ幾星霜、年賀状の遣り取りだけが消息を知る術になっている友人も少なくありません。ところが、昨日届いた喪中欠礼状は友人の奥様が…

行正り香さんのキッチンスタジオ

家内ご贔屓行正り香さんが昨夜ソロモン流に登場しました。我が家のアイランドキッチン内部の棚には彼女のレシピ本(左の本もお気に入りです)が何冊も収まっています。番組によれば、すでに30冊以上出版されているそうです。賢人の優れたところは、高級食材…

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」に寄せて

昨夜放映された「日本海海戦」を以って3年越しのNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」が終了しました。もうこれでおしまいかと思うと名残惜しくてなりません。原作者及びドラマ制作者に感謝の意を込めてドラマの感想を書き記しておこうと思います。ドラマ化へ…