【速報・祝】藤井聡太・史上最年少名人誕生

第81期名人戦七番勝負第5局2日目最終盤、渡辺明名人の持ち時間が40分を切ったあたりから、ABEMA中継をテレビモニターに繋いで観戦しました。素人目にも形勢は圧倒的に藤井聡太六冠に傾いて見えました。角2枚が渡辺名人の玉将名人戦では双玉仕立て)を脅かし、その右脇腹に挑戦者が飛車を打ち込んだ時点で、渡辺名人(39)の敗色は濃厚でした。渡辺名人の苦しい胸中は、しきりに宙を仰いで首をかしげる様子から容易に察せられました。後がない第5局目だけに苦渋の表情と映りました。

渡辺名人が1勝をもぎ取った3局目終了時点で、反撃の狼煙が上がり、天童ホテルで行われる最終第7局までもつれこまないものかと淡い期待を抱きましたが、沈着冷静な藤井聡太六冠の異次元の強さが勝り、第4局以降、渡辺名人の勝機は巧みに封じ込められていった恰好です。

結果は94手で投了(下・投了時の棋譜)、藤井聡太史上最年少名人(20歳10ヵ月)が誕生しました。20歳10ヵ月にしてタイトル通算15期(歴代7位)、しかもタイトル戦の勝率は100%です。あわせて、史上2人目の七冠を達成しました。羽生善治九段が史上初の七冠達成を達成したのは25歳6ヶ月の時ですから、羽生善治九段を上回る超ハイペースでタイトル通算獲得数を伸ばしていくものと思われます。

渡辺名人は、20年にタイトル初挑戦となった藤井聡太棋聖位を1勝3敗で奪われ、翌21年に今度は挑戦者として挑んだものの0勝3敗のストレートで敗退。22年2月には0勝4敗で王将位を藤井聡太に攫われます。そして、今日、1勝4敗で名人位を失い19年ぶりの無冠となってしまいました。傍目から見ても、棋聖、王将、名人の三冠を立て続けに同じ相手に奪取されるというのは屈辱的です。藤井聡太の強さは異次元を超えてもはや神懸かりの域に達しているとしか言いようがありません。

名人戦の9時間を最長にタイトル戦の持ち時間は一般棋戦より遥かに長いので、局面分析に長けた藤井聡太七冠につけ入る余地は見当たりません。現状、藤井聡太七冠に勝ち越している棋士はたった4人しかいません。有力な好敵手が見当たらない状況下、藤井聡太七冠のひとり旅が続く可能性は大なのです。全八冠達成もきっと通過点に過ぎないのでしょう。こうなると、最強頭脳AIとの七番勝負を見てみたいと思うのが人情です。「(AIより)人間の方が深く読める局面がある。」と語る藤井聡太最年少名人が紡ぐ盤上の物語はまだ始まったばかりです。