川瀬巴水の展覧会を観るのは、2015年の「生誕130年 川瀬巴水展 - 郷愁の日本風景 - 」(会場:日本橋高島屋8階ホール)以来、3回目になります。前回はコロナ禍の最中、SOMPO美術館で開催された「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」展でした。
会場は八王子市夢美術館。中央線沿線に長く住みながら、八王子駅で下車するのは初めてです。八王子市の人口は559526人(2024/3/31現在)、都内市部ではダントツの1位なのです。駅周辺は想像以上の大都会で立川駅と似たような印象を受けました。
JR八王子駅北口を出て左手へ進むと、すぐにユーロード(西放射線道路)と呼ばれる広々とした歩行者専用道路に出ます。歴史を紐解いてみると、戦後の戦災復興事業において八王子駅と甲州街道を結ぶ三本の放射道路が整備され、駅前の幹線道路網が形成されたとあります。全国的にも珍しいターミナル駅直結の歩行者・自転車専用(昭和59年以降)の幹線道路だそうです。正直、八王子駅前の往来の賑わいに驚愕しました。
優れた都市計画を有する街は必ず発展します。仏・第二帝政時の19世紀、セーヌ県知事のジョルジュ・オスマンが取り組んだフランス最大の都市整備事業がその典型です。特に駅前の再開発事業においては、都市の命運を決する一大事と言っていいでしょう。ユーロード整備の恩恵は絶大です。沿道には活気溢れる商店街が形成され、1日2万人もが訪れる市内随一の繁華街になっているのです。
総延長500mのユーロードを抜けると旧甲州街道・国道20号線と合流します。さらに西へ進むと、シンガーソングライター・松任谷由美の実家・荒井呉服店がありました。竣工まもない立派なマンションの1階に紺地の暖簾がひときわ目立ちます。
めざす八王子市夢美術館はすぐその先でした。