料理家・栗原はるみさんの今

朝日新聞紙上で料理家・栗原はるみさん(75)の連載が始まりました。食いしん坊なので、はるみさんの絶品レシピをときどき参考にさせてもらっています。大好きなパスタソース「カルボナーラ」は、断然、はるみレシピの信奉者です。ベーコンではなくパンチェッタ(豚のバラ肉の塩漬け)を使うレシピなので、食べたいときは材料仕入れに近所の成城石井へ直行です。

連載「語るー人生の贈り物ー」1回目のタイトルは「おいしいね 言ってくれる人思い」。3年前、最愛の夫・玲児さんを看取り、ひとり暮らしになったはるみさんは、今も「おいしいね」と言ってくれる人がいない日々と向き合っているそうです。<いつか、ひとり暮らしも、ひとりご飯を楽しめるようになりたい>と語るはるみさんが抱える喪失感を想像すると、胸が痛みます。そんな状況下、新しい一歩を踏み出そうと、人生最後の雑誌『栗原はるみ』(講談社)を創刊されたのだそうです。

海に面した下田の出身で和食しか知らなかった若き日のはるみさんを多彩な食の世界へ開眼させたのは、結婚相手の玲児さんでした。

高級レストランの食事なんかよりも、さりげない日常の食事の方がよっぽど人生を豊かにしてくれます。贅沢とは極上の日常にあり!ときどき、料理上手の妻の食事に注文をつけたりしますが、妻であれレストランのコックさんであれ、料理を作ってくれた人への感謝の気持ちを忘れないようにと心掛けています。そして、「おいしいね」と必ずひと言を口に出すこと。そうしないと相手に感謝の気持ちは伝わりません。栗原はるみさんの連載を通して、またひとつ、食への理解を深めたいと思っています。