祝・日本人初のMOF(料理部門)誕生|関谷健一朗シェフの偉業

最近、日経紙で恵比寿の「ガストロノミー・ジョエル・ロブション(JR)」の総料理長・関谷健一朗さん(43)が料理部門でMOFを獲得したことを知りました。初めての挑戦でMOF獲得は後世に残る偉業と云えます。去る6月20日ソルボンヌ大学でメダルの授与式が挙行されたそうです。

JRはミシュラン・三ッ星レストランにして言わずと知れた日本一有名なフレンチレストランです。バティストサービス世界コンクールで日本人初の優勝者に輝いた宮崎辰さんもJRで活躍していたメートル・ドテルでした。今回の関谷さんの受賞でJRが料理とサービスの両輪において世界に冠たるフレンチレストランだと改めて証明されたわけです。

MOFは国家最優秀職人章(Meilleurs Ouvriers de France)のことでフランス文化の最も優れた継承者に授与される称号(国家資格)です。さしずめ人間国宝といったところでしょうか。選考は4年に一度、幅広い分野で認定が行われており凡そ180職種に及ぶのだそうです。この称号の存在を知ったきっかけは、秋冬季節限定で店頭に並ぶウオッシュタイプのチーズ「モンドール」でした。「モンドール」の最高峰がMOF熟成士によるものだったからです。写真のように、料理や菓子部門のMOF受賞者だけがトリコロールカラー(三色旗色)襟のコックコートの着用が認められます。

選考過程は1次が筆記試験に実技審査、実技審査は2次・最終と続きます。昨年、この過酷な審査を通過できたのは応募総数500人のなかの8人だけだったそうです。記事には「審査員8人分の全32皿を5時間で仕上げ、厳密な試食を経て栄光を手にした」とあります。

日本人はミシュランの星ばかり有り難がって味覚を磨く努力を怠っているように常々感じています。一流のシェフが提供する食事を深く味わい玩味できるよう客自身も舌を鍛え日々成長しないかぎり、一流レストランに着席する資格がないように思うのです。