日帰り温泉「秋川渓谷 瀬音の湯」の評価は「5つ星」

ミシュランガイドのレストラン最高評価は「3つ星」、ホテルの場合にはフォーブズやミシュランは「5つ星」を最高評価としています。日帰り温泉にも似たような評価システムがあったら便利なのにと常々思っています。プレートがぶつかり合う日本は世界でも屈指の火山大国ですから、日本中至る所に火山性温泉があります。誰もが知る草津温泉別府温泉のような名湯がその一例です。最近はボーリング技術や電磁探査など温泉調査技術の進化によって非火山性の温泉も増えています。地下を100m掘ると約3度ずつ地温が上昇しますから、地層により難易はあるにせよ、1000m以上掘り進めば温泉(場合によっては海水を含む)が湧出します。今や、数の上では、非火山性温泉が火山性温泉を上回っているのです。評価の確立した名湯めぐりは時間もお金もかかります。温泉好きとしては、日常的に利用できる日帰り温泉に独自の評価尺度を設けて勝手格付けして楽しんでいます。

  • 泉質
  • 風呂の種類(内湯、露天風呂、炭酸泉、ジャグジー、サウナ等)
  • 交通アクセス
  • 駐車場の規模
  • 浴場スペース
  • 施設の充実度・清潔度(食事処・給水器・ロッカー等)
  • 利用料

まだ6月だというのに今週末の東京都心は2日連続の猛暑日、観測史上初の出来事だそうです。25日の土曜日は雲ひとつない青空が広がる行楽日和だったので、ヤマスタが紹介する「東京裏山 秋川渓谷散策コース」を歩くことにしました。ヤマスタのマップはご覧のようなあっさりしたもので頼りになりません。あきる野市が作成・配布する小冊子を観光案内所で入手してあったので、これを使いました。

最高気温は36度、炎天下にJR武蔵五日市駅を起点に約15km歩いた結果、疲労困憊。夕方、登山者やハイカーに人気の日帰り温泉秋川渓谷 瀬音の湯(せおとのゆ)」(東京都あきる野市)に立ち寄りました。最寄りの「十里木バス停」から徒歩10分、あきる野市のランドマーク「石舟橋」を渡った先にあります。周辺環境に調和した和モダンの施設を見てひと目で気に入りました。受付待ちの行列に加わり待つこと15分余り、入場してみれば期待を遥かに上回る温泉でした。自慢の泉質はpH10.1のアルカリ性単純硫黄温泉。内風呂は(加温)源泉掛け流し、正面開口部は全面ガラス張りで秋川渓谷の木々の緑を巧みに借景としています。露天風呂(循環・塩素入り)に出れば梢に手が届きそうです。温泉総選挙「うる肌」部門全国一の肌触り滑らかな泉質は名湯顔負け、総合評価は掛け値なしの「5つ星」です。特筆すべきは、温泉内部で使われた多様な石材と徹底的にこだわったインテリアです。内湯のゆとりたっぷりの洗い場床には高級石材の大判・十和田石(緑色凝灰岩)、浴槽には御影石が使われています。十和田石は水に濡れると淡い緑色に変化します。露天風呂や足湯は鉄平石の乱形材貼りと目を楽しませてくれます。水風呂の温度が高めだったのが残念ですが、閉鎖的になりがちなサウナ室に大きな開口部を設けた点は高く評価します。百聞は一見に如かず、写真を幾つか紹介しておきます。

全国見渡しても、こんな素晴らしい日帰り温泉は数えるほどでしょう。利用料は滞在3時間まで900円です。「秋川渓谷 瀬音の湯」の経営母体はあきる野市です。開業は2007年4月15日、総工費25億円を投じた同市の英断は天晴れと言うしかありません。