東京から悪天候の栗駒山へ(2/3)

やむなく蔵王山から撤退、その日の宿泊先へ向かう途中の仙台で腹ごしらえをすることに。仙台といえば牛たん。あらかじめピンポイントで選定してあった<伊達の牛たん本舗>へ。仙台駅前から徒歩5分の好立地、まるでステーキハウスのような立派な店構えで、少々入店をたじろいでしまいました。窓際の席へ腰を下ろして、名物<芯たん定食>を注文しました。グラスパティションの向こうではコック帽子姿のふたりのシェフが牛タンを焼いています。<芯たん>は下の絵のようにたん元に近い分厚い部分のことだそうです。運ばれてきた牛たんは、東京を中心に店舗展開する<ねぎし>の牛たんとは似て非なるものでした。よく火の通った分厚い<芯たん>はとてもジューシーで、麦飯(トロロは追加注文)との相性もバッチリでした。早朝からの生憎の天気でモチベーションが下がり放しだったので、仙台名物の牛たんランチで少し元気を取り戻せました。

仙台も雨は降ったりやんだり。仙台駅で夕食を調達して、さらに120kmばかり北上し、その日の宿泊先<ハイルザーム栗駒>へ。同施設は、民間施設ではなく栗原市の公共施設なのだそうです。栗駒山の登山口いわかがみ平までここから車で15分程度、栗駒山登山口へ早朝向かうにはこれ以上の立地はありません。Web上では早くから満室だったのに、広い駐車場に車はまばら。悪天候のため、キャンセル客が相次いだからに違いありません。満室の<コテージぶなの森>に宿泊するのは自分たちだけでした。1階にはベッドが3つの寝室と2つの寝室がありましたが、あまり利用されていないせいか、かび臭さが気になりました。リビング・キッチンは2階にあります。天井のファンを回して、空気を入れ替えるとようやく人心地がつきました。霧がかかり雨もやみません。

長時間の車の移動の疲れを癒すべく、本館の大浴場へ直行。泉質はナトリウム・硫酸塩水低張性アルカリ性高温泉で、露天風呂の温度も丁度いい加減でした。仙台からやって来たという登山好きのご老人から、露天風呂に浸かりながら、地元の話をたっぷりと聞くことができました。このあたりは2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震(死者・行方不明者23人・震度6強)で甚大な被害を被り、旅館「駒の湯温泉」(栗原市栗駒)では経営者家族とお客さん7人が犠牲になったのだそうです。周辺一帯は最近「栗駒山ジオパーク」に認定されて、地域ぐるみで地震被害の伝承と災害に強い人づくり・地域づくりに取り組んでいる由。東北と言えば東日本大震災のイメージがあまりにも強烈ですが、その3年前に内陸で大地震が起きたことを栗駒山をめざす観光客こそ、知るべきだと自戒を込めて思いました。

深夜から早朝まで猛烈な音を立てる強風が収まることはありませんでした。