コロナ時代の都立霊園募集状況~時代と共にお墓のかたちも変わります~

2022(令和4)年度の都立霊園の使用者募集のあらましが明らかになっています。東京都のHPによれば、募集スケジュールは以下のとおりです。

申込書配布:令和4年6月15日から7月4日まで

申込期間:同上

抽選日:同年8月18日

使用許可:同年12月

都立霊園は8箇所あり、使用者数は約29万人、約130万体が埋葬されていると東京都建設局が公表しています。冒頭の無縁墓所を整理し新たな墓地を供給するこの事業は、故・石原都知事が始めたものです。自分も使用者のひとりです。4つある区部霊園は「霊園」と「公園」が共存する空間になっており、特に人気も高く、抽選制が導入されています。2003年に始まった都立霊園公募は今年で20回目を迎えます。2010年に宿願叶って「青山霊園」に当選したときの競争率は12倍でした。

この10年でお墓に対する考え方が様変わりしたように思います。第12回「お墓の消費者全国実態調査」(2021年)によれば、最重要視するのはお墓の種類、次いで自宅から霊園までのアクセス、(お墓や永代使用料の)金額が重要視されています。お墓の種類では、樹木葬が46.4%で一般的なお墓の26.5%を大きく引き離しています。こうした趨勢を受けて、都立霊園に対する需要も低下しているかと思いきや、依然、人気は根強く区部霊園の募集倍率は高止まりしています。2021年の青山霊園の場合、小規模区画(1.55~2.00平米)で17.1倍、谷中霊園では8.8倍でした。交通アクセスの良さと年間管理料の安さが、都立霊園人気を下支えしているのでしょう。まだまだ供給は少ないようですが、ペットと一緒に入れるお墓を探す人が増えているのも少子化・ペットのコンパニオンアニマル化の流れを裏付けています。供養の方法も多様化し、散骨や手元供養(遺骨をアクセサリーにして持ち歩く)を選ぶ遺族も増えています。今年2月に亡くなった石原慎太郎さんは、ヨットマンらしい遺志を家族に伝えていたので、海上散骨式が行われました。

生前に葬送の「かたち」をはっきりと家族に伝えておくことが、終活の最重要事項ではないでしょうか。