損保業界の闇|ビッグモーターと損保ジャパンの癒着

中古車販売大手・ビッグモーター(以下、「BM」)の保険金不正請求に関して、次第に真相が明らかになりつつあります。7月25日付け日経朝刊には、損保ジャパン(SOMPOホールディングス)が2011年から延べ37人をBMに出向させていたとあります。不正請求が横行した時期に修理部門の担当部長を務めた出向者もいたそうですから、不正を認識していなかったという言い訳は今更通用しません。損保ジャパンとBMはズブズブの癒着関係にあったと見ていいでしょう。疑惑発覚後に「入庫誘導業務」と呼ばれる損保側による修理工場紹介を再開した損保ジャパンの見識を疑います。メガ損保の東京海上三井住友海上も少人数ながら出向者を送り込んでいたそうですので、保険代理店業務を営むBMと損保業界は凭れ合いの関係にあったことは明らかです。

BMは上場会社ではないので現時点における株主構成は詳らかではありません。wikiによれば、2015/7/22時点で損保ジャパンが創業家に次ぐ第2位(6.88%)の大株主なのです。BMを通じた自動車保険販売額は損保ジャパンのシェアが最大だったそうです。

7月25日付け東洋経済が報じているとおり、損保ジャパンだけがBMの修理見積もりをそのまま受け容れる「完全査定レス」方式を導入しています。保険契約シェアの見返りとして便宜を図ったとしか映りません。本来なら損保側のアジャスター(損害査定人)が見積もりを厳格にチェックするわけですが、「完全査定レス」方式によってBMの不正な水増し請求が見逃されてしまったことになります。利害が対立するはずの両者が結託すること自体、奇妙な関係と云わざるを得ません。BMと損保ジャパンは共犯だと思われても致し方ありません。

記者会見で辞任表明したBMの兼重社長が特別調査委員会の報告書を受け取る6/26までかかる不正を知らなかったと弁明しています。誰がこんな弁明を信じるでしょうか。組織ぐるみの不正疑惑を到底払拭できるものではありません。顧客の信頼を裏切ったBMの再建は長く険しい道程になるでしょう。

毎年7万円強の保険料を支払っている自動車保険契約者として、今回の悪質極まりない不正に憤慨やる方ない思いで一杯です。修理対象車に傷を加えることは器物損壊、刑法上の犯罪です。単なるBMの暴走による不正ではないと見ています。今般の社長記者会見で疑惑がますます深まりました。BMを隠れ蓑にして損保業界が責任問題の追及から逃れようとしています。元社員の内部告発が進み、損保業界の闇に切り込んでくれることを切望しています。