『樹木希林 120の遺書』から~心に響いたメッセージの抜き書き~

2018年9月15日、女優の樹木希林さん(享年75)が亡くなりました。存在感のある女優さんで、お年を召されてからの立ち居振る舞いが颯爽としていて、ずっと和服姿の似合う素敵な方だなと思っていました。お亡くなりになる1年前に公開された映画『日日是好日』で、希林さんは茶道の武田先生を演じられました。武田先生役は希林さん以外あり得ないと思えるほど、原作そのままに奥深い味わいがじんわりと伝わってきました。一番印象に残っている作品です。特に最晩年のご活躍が目覚ましく、最後の主演作になった『あん』(2015年5月公開)、孤高の画家・熊谷守一を主人公にした『モリのいる場所』(2018年5月公開)、『万引き家族』(2018年6月公開)など記憶に残る映画が目白押しです。

樹木希林 120の遺書』(宝島社刊・2019年)は、さまざまなメディア・インタビューに応じた希林さんのメッセージを集めたアンソロジーで、生・病・老・死・絆・家・務・死の8章で構成されています。表紙になったミレイの「オフィーリア」をはじめ、口絵に掲載された11枚の写真の出来栄えが素晴らしすぎます!副題は<死ぬときぐらい好きにさせてよ>、女優業には執着も未練もないという希林さんの偽らざる本音なのでしょう。何事にも自然体で向き合ったという希林さんの残した片言隻語には、思わずハッとさせられるものが数多くあります。心に響いたメッセージの幾つかをご紹介しておきます。

001・<幸せというのは「常にあるもの」ではなくて「自分でみつけるもの」。>

006・<自分で「人」を見極めるためには一人にならなければならない。>

011・<ときめくことは大切。自分が素敵になれば、それに見合った出会いも訪れるものです。>

018・<私の中に、愚痴って言葉がないのよ。>

046・<昔もっとみんな歳とった人たちがいい顔していたような気がするんですよね。>

103・<世の中をダメにするのは老人の跋扈。時が来たら、誇りを持って脇にどくの。>←政治家やオーナー社長に聞かせたい!

106・<ただのいい人だったらね、人を見ることができないから、やっぱ嫌な奴じゃなき、役者は。>←同感です。

109・<「いつかは死ぬ」じゃなくて「いつでも死ぬ」という感覚なんです。>=114・<覚悟っていうのをすると気楽ですよ。>

最後のメッセージ120は、<いまなら自信を持ってこう言えます。今日までの人生、上出来でございました。これにて、おいとまいたします。>