思い切って白内障手術

幸いにして、これまで大病に罹ったことがありません。手術も小学校のときに転んで額を2針縫った程度。登山で負傷し整形外科のお世話になったことは数度ありますが、入院せずに済んでいます。


出典:いやま眼科(新宿区)

この数年、左目のかすみ具合が進んできたので、思い切ってこの秋、かかりつけの眼科で治療してもらうことにしました。程度の差こそあれ、50代の約半数に水晶体の濁り(白内障の典型症状)が見られ、発症率は加齢と共に上昇し、80代以上はほぼ全員が(加齢性)白内障になると言われています。これから徐々に悪化する一方なら、不便と付き合うよりも早めに治療してしまおうと思った次第です。基本、一度治療すれば死ぬまでクリアな視界を維持できるようです。


出典:いやま眼科(新宿区)

白内障の根治治療は手術の一択。手術内容は、濁った水晶体を超音波で砕きながら吸い出して人工眼内レンズを挿入するというものです。一般的な手術時間は約20分前後。術前の点眼(3日間)以外には特に準備は要りません。年間160万件も手術が行われているとは驚きです。まさに高齢化社会の縮図です。悩みどころは保険適用の単焦点レンズにするか、保険の効かない多焦点レンズにするのかです。白内障手術ガイドの決定版を謳う『人生が変わる白内障手術』(山﨑健一朗著・幻冬舎)は、老眼治療も可能にした多焦点眼内レンズを推しています。

目にメスを入れことに対する漠然とした恐怖に加え、手術中ずっと目を開けていられるのかどうか心配でしたが、低濃度笑気ガス麻酔のお陰でリラックスして手術を受けられました。切開した部分は縫合できないので自然治癒を待つことになります。術後は感染症予防目的で4種類の点眼薬と3日分の内服薬を処方されます。洗髪・洗顔は手術から1週間は控えます。

水晶体再建術に眼内ドレーン手術(保険適用)を併用したので、手術時間はやや長めの40分。費用は、選定療養(手術代は保険適用、レンズは自費)に該当するため40万ちょっとでした。日帰り手術をカバーする医療保険に加入していたので、保険金25000円が下りました。自動車の運転に加え、近距離の読書やPCに対応する米・Alcon社製「Clareon Vivid IOL」=多焦点眼内レンズ(3焦点)を選択した結果、運転は快適に。このレンズは米国で2020年に発売され、今年春から日本でも取り扱いが始まったばかりの新製品です。快適な多焦点眼内レンズが普及するタイミングで手術を受けられたのは僥倖でした。一方、スマホなど手元が術前より見辛くなったので、メガネを誂える予定です。完璧なレンズはありませんから、概ね、満足しています。

術後1ヶ月で「ブロナック点眼液0.1%」を1日2回さすだけになりました。充血も収まり視力も落ち着いてきたように思います。日常生活を送る上で眼ほど大切な器官はありません。選定療養のためコストは少々高くつきますが、十分その見返りはあると感じています。右目は今のところ大丈夫。もし白内障の症状が深刻になってきたら、躊躇なく手術するつもりです。