一家に一冊|「日本の絶景」本あれこれ

先月、当ブログで低迷を続ける図書館利用について触れました。税金で賄われている図書館を日常的に活用しないのはとてつもない損失だと思っています。経済的ゆとりのない人にとってはまさに知のセーフティネット、万人にとって知の殿堂なのです。そこそこの規模の図書館に行けば、あらゆるジャンルの本が揃っていますから、背表紙を眺めているだけで悦に入れるというものです。一度に10冊くらいは借りられますから、情報収集の上で、これほど便利な施設はほかにありません。

図書館では、ベストセラーの類いではなく、普段手にする機会の少ないジャンルの本に意識的して手を伸ばすようにしています。最近、特に気になっているのがビジュアルブックです。上手い訳語が思い浮かばないのでビジュアル本と称しますが、プロのカメラマンが撮影した写真集などとは似て非なるものです。ひとつのテーマに絞って、写真やイラスト主体(文章は脇役)で構成した本と言い換えてもいいでしょう。

なかでも、「絶景本」と呼ばれる分厚い事典形式の本が巷で好評を博しているようです。この3年、コロナ禍の影響で渡航制限が敷かれ、自然、国内各地の名所に目が向くようになりました。旅のさなか経験しがちなのは、ご当地で絶対見逃してはいけない観光スポットを素通りしてしまうことです。下調べ不足が最大の原因です。

一度、図書館で借りてきて、手元に置きたいと思って購入したのが『今、行きたい!日本の絶景大辞典1000』(朝日新聞出版・2019)です。帯には<圧倒的迫力。これぞ絶景完全版。47都道府県一度は行きたい>とあります。1000ヶ所には、海、山川、滝、湖といった自然景観から、建築、古墳、街並み、お祭り、果ては食べ物までが取り上げられています。そのうち、半分も制覇していないのではないかと思います。「絶景本」に目を通しておけば、旅先で見落としや素通りをすることは避けられます。

類書に『日本の絶景 超完全版1120』(JTBパブリッシング・2020年)があります。『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』と称した本も刊行されています。「絶景本」を知らない貴方、手元に一冊買っておくことをお薦めします。