<涸沢カール>山行4〜涸沢モルゲンロートをついにカメラに収める!〜

2016/10/6、4時50分に起床。夜来の猛烈な風雨はひとまず治まった様子ながら、白み始めた空はどんよりと重い雲に覆われ、鉛のように暗い印象を与えます。目は閉じていたものの昨夜は2時間くらいしか眠れなかったので、頭はぼーっとしたままです。この天気ではモルゲンロートはダメだろうと、ぼんやりした思考は早くも諦めモードに。

朝食は5時30分からなので、手早くザックを整理して出発の準備にとり掛かりました。2日分の持ち帰りゴミをコンパクトにまとめたり、当日分の行動食を用意したりしているうちに、慌ただしく時間は過ぎていきます。今回は「いろはす」を持参したのですが、飲んだ後、くしゃっとつぶして収納できる軽量ボトルの有難味を再認識しました。山行には環境に優しいペットボトルに限ります。

小屋の外へ出ると、すでに大勢の登山客が三脚をセットしてモルゲンロートの撮影準備を済ませていました。モルゲンロート(独語Morgen Rot)とは、夜明け前に高い屋根筋が真っ先に太陽の光を浴びて美しく輝く現象のことをいいます。朝焼けと解されることもあるようですが、空が赤く染まるわけではないのでモルゲンロートはあえて翻訳しない方が賢明です。

夜明け前の寒気を身体で受け止めながら、しばらく不安げに山肌を眺めていると、重く立ち込めていた雲が次第に風で流され視界が徐々に拡がり始めます。山肌の全容が顕わになるまでさほど時間はかかりませんでした(写真下)。涸沢カールに居合わせた誰もがモルゲンロートの到来を確信した瞬間です。

朝陽を浴びて、山嶺から中腹あたりまで一気に深紅に染まります。初めて見る涸沢のモルゲンロートのあまりの美しさに我を忘れました。真っ青な空と赤く染まった北アルプス稜線のコントラストは、日本の絶景のひとつだと思います。