JR山手線やJR中央線の利用者であれば誰もが知っているJR東日本の液晶映像広告が『大人の60秒講座』です。筆者はこの講座の熱心な受講者のひとりです。斯く言う講座を提供するのは任天堂でビジネスマナーを中心にクイズ形式でビジネスマンやOLの知識や常識を問うというものです。乗降客の極めて多い路線ですので朝夕のラッシュ時は乗車率が軽く100%を超えているのではないでしょうか。携帯すら手に出来ないような殺伐とした出勤・帰宅途上にあってユーモア溢れるこのクイズがもたらすトランキライザー効果は抜群です。JR東日本のこうした企業努力は駅ナカと共に最大級の讃辞に値すると云っていいでしょう。車窓さえ遮りかねない混雑時の殺風景な車内に動画というインテリアを持ち込む企画力には脱帽です。今夜の60秒講座は<碁石の大きさは同じですか>と聞いてきました。黒が大きいことは知っていたので答えはNO.すると解説画面はすかさず<黒い碁石は直径が22.2mmで、白い碁石は21.9mmに作られています。ではなぜ同じ大きさにしていないのでしょうか。それは人間の目の錯覚によるためです。白色は膨張色とも呼ばれています。逆に黒色は小さく見える傾向があります。黒い碁石と白い碁石が全く同じ大きさだと、盤上の黒と白の碁石の数が同じでも、全体を見回した時に、なんとなく白のほうが多いような錯覚にとらわれます。その錯覚を解消するため、白い碁石をわずかに小さくしているのです>とのたまうではありませんか。ひとつ利口になりました。