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「天皇陛下万歳」三唱への違和感

2019年11月9日、夕刻から開催された天皇陛下即位を祝う「国民祭典」祝賀式典の最後に、伊吹文明・奉祝国会議員連盟会長による万歳三唱があり、参加者の唱和が続きました。天皇皇后両陛下が退出されるまで幾度となく繰り返された万歳三唱。この異様な光景を見て、太平洋戦争が始まり次々と若者が戦地に送り出されるとき、無事を祈る出征旗を掲げて「○○君万歳」を三唱した人たちの姿が思い出されました。「天皇陛下万歳」という言葉に忌まわしく思い出したくない過去が常につきまとっていると感じるのは、決して自分だけではないと思います。

11月12日付け朝日新聞朝刊は、「しつこい」、「怖い」、「不気味さしか感じない」といったSNS上のネガティブな投稿を紹介しています。一番、困惑したのは、ほかならぬ天皇皇后両陛下だったのではないでしょうか。戦後74年、我が国はいまだに近隣アジア諸国から侵略戦争の責任を償っていないと批判されています。天皇皇后両陛下はそうした状況を憂え、胸を痛めているはずです。なにより、太平洋戦争中、数知れない出征兵士たちが「天皇陛下万歳」を叫んで死地に赴いた天皇制の負の歴史を、おふたりは深く胸に刻んでいるからに違いないと考えるからです。

万歳高唱の嚆矢は、明治22年2月11日に行われた大日本帝国憲法発布の盛典に遡るのだそうです。石井研堂の『明治事物起原』によれば、大日本帝国憲法発布の式典に際し天皇の観兵式という陸軍を観閲するセレモニーがあり、そのとき大学生たちが天皇の行列に対して「万歳」を歓呼したのが始まりだということです。

10月22日の「即位礼正殿の儀」において、安倍総理大臣も万歳三唱を行っています。この「即位礼正殿の儀」はかつての国家神道を彷彿させることから、憲法上の政教分離の原則に反するという議論もあるくらいです。個人的には、象徴天皇制度の下、儀式自体は容認できると考えますが、「御即位誠におめでとうございます」で十分祝意は伝えられるのではないのでしょうか。

平和主義に立脚する日本であればこそ、軍国主義への回帰と受け取られかねない「天皇陛下万歳」高唱は現に慎むべきです。