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ナチス映画が流行る理由(わけ)


近年、ナチスヒトラーを扱った映画が次々と劇場公開されています。今年に入ってもその勢いは止まらず、すでに封切された「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」をはじめ、2月には「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」、夏にはエンスラポイド作戦をテーマにした作品の公開が予定されています。

ヒトラーならまだしも、日本ではあまり知られていないナチス高官や地雷除去に従事したドイツ軍少年兵を題材にした作品(「ヒトラーの忘れもの」)までもが制作される背景に、何か特別な事情でもあるのでしょうか。2015年以降、日本で公開されたナチス関連映画は10本を超えるといいますから驚きです。以下、列挙してみます。

2015年 ふたつの名前を持つ少年たち
    顔のないヒトラーたち
    ヒトラーの暗殺 13分の誤算
2016年 サウルの息子
    アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち
    帰ってきたヒトラー
    栄光のランナー/1936ベルリン
    手紙は憶えているもの
    ヒトラーの忘れもの

ドイツ降伏から今年で72年目、ドイツ国内でタブー視されてきたナチスドイツの実像に迫ることに抵抗感が少なくなってきたことも理由のひとつではないかと推測しています。そして何より、第二次世界大戦を経験した世代は年を重ねるにつれ減るばかり、戦争の生き証人(目撃者)に取材した映画を記録として後世に遺したいという機運の高まりが、映画関係者の制作意欲を搔き立てたからではないでしょうか。

昨年、オバマ大統領と安倍首相がぞれぞれ広島と真珠湾を歴訪したように、世界的に戦争の歴史の風化に危機感を募らせる動きが活発になっていると見ることもできます。第二次世界大戦中、大本営ナチスドイツもメディアを統制し、戦意発揚の映画を多数制作してきました。メディアが戦争に加担した結果、真実は隠ぺいされてきたのです。ヒトラーを風刺的に描く作品から史実を踏まえたドキュメンタリータッチまで、多様な作品が生まれていることをポジティブに受け止めています。教科書に書かれた歴史だけが真実ではありません。異なった視点から歴史を問い直す意味でも、話題作を鑑賞してみようと思っているところです。