5年ぶりの再会|東福寺の大涅槃図

5年ぶりに東福寺の大涅槃図と再会しました。初めて対面したのは2018年の涅槃会のとき。その翌年から4年の歳月をかけ約100年ぶりの令和の大修理が行われていたことを、つい最近まで知りませんでした。久しぶりに京都を訪れたタイミングで、修理完成特別公開の初日に立ち会えるとは僥倖でした。公開期間は4月15日から5月7日まで。秋季にも特別公開が予定されています。普段なら一年のうち涅槃会の3日間だけの公開ですから、この機会を逃す手はありません。入場料は大人1000円です。

若い僧侶が涅槃図前に控え、グループごとに解説をして下さいます。沙羅双樹の四枯四栄(しこしえい)や薬袋と猫の関係、極楽浄土に棲む人頭鳥身の迦陵頻伽など、爲になる話が聞けました。写真(下)は東福寺のHPから拝借したものです。縦11m・横6mもの巨大な涅槃図は、画僧・吉山明兆(1352-1431)が57歳のときに制作したものです。お釈迦さまのご臨終に馳せ参じた菩薩・天部・阿羅漢のほかに、最下段には数多くの動物が描き込まれています。本来なら描かれることのない猫が象の足元に鎮座していたり、表具部分に牡丹や唐草模様が描かれているなど、見どころたっぷりです。仔細に観察するためにもオペラグラスは必携です。

受付を済ませると、令和の大修理の過程や大涅槃図の来歴や逸話を克明に解説したA2サイズの特大パンフレットが手渡されます。4つ折りになったパンフレットを拡げたところ、色鮮やかな大涅槃図が現れました。思いがけない東福寺の計らいに感激しながら、雨に烟る東福寺を後にしました。