2018年東福寺の涅槃図を見て三大涅槃図を完全制覇!


泉涌寺から東福寺まで徒歩で約20分。泉涌寺山門右手から緩やかな坂を下り総門をくぐって更に進むと東大路通にぶつかります。この趣のある参道は泉涌寺道(せんにゅうじみち)と呼ばれ、両側には泉山七福神を含む泉涌寺塔頭が立ち並びます。時間があれば塔頭群も見どころのひとつです。

数年前、本法寺長谷川等伯作大涅槃図を拝んでいますので、今回、泉涌寺東福寺の大涅槃図を見れば三大涅槃図を完全制覇することになります。両寺の大涅槃図は涅槃会の3日間しかご開帳されないので、この日は泉涌寺から東福寺へ向かう参拝者と東福寺から泉涌寺へ向かう参拝者がすれ違う場面によく出くわしました。JR奈良線に寄り沿うように伏見稲荷大社へ向かう参拝者も見かけました。

東福寺の伽藍面>というだけあって、同寺の三門と本堂(仏殿)の存在感は圧倒的です。威風堂々という言葉がぴったりです。心地よい風に吹かれながら、靴を脱いで本堂に上がります。本堂入口の三色幕(五正色幕ではありませんでした)も気持ちよさそうにたなびいていました。

泉涌寺と異なる点は、大広間に正座してゆっくり時間をかけて大涅槃図(縦15メートル、横7.3メートル)を鑑賞できることです。泉涌寺の場合は後ろから押されるように立ち進みながらの鑑賞になるので少し落ち着きません。その上、軸が畳まずに天井から吊るされているので、祭壇で陰に隠れる箇所以外はすべて視界に入ります。振り返ると、若い別院の禅僧ふたりが読経しながら、涅槃図を凝視しています。


オペラグラス片手に仔細に観察すると泉涌寺版と異なりたくさんの動物が描かれています。特筆すべきは罪業深重と云われる猫(写真は東福寺HPより拝借しました)が描かれていることです。一般的に涅槃図に猫は描かれません。というのも猫は、お釈迦様のご母堂摩耶夫人が天から救いの手を差し伸べようと地上に投げた霊薬(沙羅樹にひっかかってしまいます)を取りに向かうネズミの行く手を阻んだからです。

堂内の僧に理由を尋ねると、<魔よけの猫略縁起>を渡されました。どうやら、画僧明兆が涅槃図を描いていると、裏山から絵の具を咥えた一匹の猫が現れ完成に尽力した故に、魔除けの猫として珍重されるようになったのだと書かれています。東福寺の大涅槃図にはこんな逸話があったのですね。

本堂(仏殿)の涅槃図は無料で鑑賞できます。ひとしきり大涅槃図を見たあと堂外へ出れば、甘酒の接待が受けられます。それだけではなく、禅堂と経蔵も特別公開されていたので、こちらも有り難く拝観させて頂きました。至れり尽くせりの涅槃会にその日は感慨ひとしおでした。