劣勢続きの日本の株式市場の見通しは昏いまま

5月29日付け日経新聞に掲載された<株失速が暴く企業の自力>と題する記事内容は目から鱗でした。かねてより日本企業の労働生産性の低さは指摘されていたものの、改めてOECD加盟37ヶ国中26位だと知らされると、一層、日本の株式市場への不信感が募ります。各種指標を海外企業と比べてみると、日本企業の競争力の低下は顕著なのです。

日本企業のEBIT増加率22%(米国38%・欧州37%)
日本企業のROE5.7%(米国10.5%・アジア7.7%・欧州6.4%)

海外ではワクチン接種が進み、米国ダウ平均は年初来+13.5%。一方、日経平均は+5.1%と相当に出遅れているのです。記事の筆者梶原誠本社コメンテーターによれば、PBR(1%を割ると企業の清算価値を下回る)が0.80%どまりなのは市場が成長性に懐疑的だからだそうです。金融緩和の縮小即ちテーパリング(tapering)が進めば、ますます、グローバル市場における企業の投資選別は厳しくなるのでしょう。

今日6月1日付け日経朝刊は<揺らぐ「リスク回避の円買い」>と題して、通貨円に対する投資妙味が衰えていると指摘しています。これまでとは様相が明らかに異なってきているのです。国際紛争や経済危機のリスクに強い通貨は、主要3通貨で見れば、米ドル、ユーロ、日本円の順番だそうです。日本は30年連続で対外純資産残高世界1位(356.9兆円)をキープしてきましたが、この10年でドイツが猛追、肉薄してきています。

こうした点を踏まえると、公的年金はもとより私的年金株式投資が向かう先は圧倒的な成長率を誇る米国市場一択しかないと思えてきます。足元、2010年の欧州債務危機時期に仕込んだ虎の子サムライ債の満期償還が始まっています。マイポートフォリオのおける対外資産比率を50%以上にすべき時期が到来しているのだと自分に言い聞かせているところです。