米ドル建て劣後債投資のススメ

新年に入り、米国株式市場の雲行きが怪しくなってきました。米長期金利が1.8%台後半へ水準を切り上げてきたことに伴い、将来収益で評価して割高感の出るグロース株を中心に売りが売りを呼ぶ展開となっています。19日後場、前日のダウ平均大幅下落を受けて、日経平均も下げ幅が800円に迫る大幅安になっています。この3月にも、米連邦準備制度理事会FRB)が50bpts利上げするという観測も広がっています。次のチャートは米国債10年物の直近1年の推移を示したものです。

日銀が異次元金融緩和政策を維持し金利が消失したままの日本と違って、12月にFOMCが公表したFF金利見通しによれば、2022年から2024年まで各年75bpts、75bpts、50bptsの利上げが示されています。2022年は内外の金利動向に目を光らせてかからねばなりません。

日本では、黒田日銀総裁主導で2013年4月から異次元金融緩和政策が続いていますので、円による分散投資を実現することが殆ど不可能な状況です。分散投資とは、預貯金・株式・債券・不動産の4つの資産カテゴリーに分散して投資することをいいますが、円の預貯金はほぼゼロ金利ですから預けておいても利息は微々たるものですし、日本国債(10年)は足元0.144%と超低空飛行を継続中ですから、実質的に運用対象が株式か不動産に限られてしまうからです。そうなると、国際分散投資しか選択肢がないわけですが、地域分散はあまり考えずに、米国債券市場に資金を傾斜配分するのが最善の策ではないかと考えてます。

なかでも投資妙味があると思われるのが日本の金融機関や生保が発行する米ドル建て劣後債です。安全性重視であれば米国債10年(ソブリン格付け|AA+/Aaa)、10万ドル以上のまとまった資金があれば、米国債の利回りに50~100bpts程度の利回り上乗せが期待できる新型劣後債バーゼルIII適格Tier2証券)がおススメです。円建て個人向け社債であれば最低投資単位は100万円ですが、ドル建ての場合、券面単位が10万ドル以上なので要注意です。過去2年、メガバンクや大手生保が発行した新型劣後債の証券情報(発行時)を参考までにご紹介しておきます。ちなみに、メガバンク劣後債参照格付は普通社債の長期格付から1notchダウンとなります。

  • 三井住友FG米ドル建て劣後社債10年(A2/BBB+)(2.142%)発行額850百万米ドル・2020年9月23日発行・2030年9月23日満期

  • 住友生命米ドル建て劣後特約付社債10年(3.375%)発行額920百万米ドル・2021年4月15日発行・2031年4月15日(初回コール)

  • みずほFG米ドル建て劣後社債10年(A2/BBB+)(2.564%)発行額1,000百万米ドル・2021年9月13日発行・2031年9月30日満期

  • 日本生命米ドル建て劣後特約付社債10年(2.90%)発行額900百万米ドル・2019年9月16日発行・2031年9月16日(初回コール)

証券会社で米ドル建て劣後社債の在庫の有無を確認して、セカンダリーで購入するといいでしょう。為替も金利も日々刻々変化しますから、少し円高になったときにドルを購入しておいて、米国債10年利回りが高止まりしている日を狙って米ドル建て劣後社債を買い付けられたらベストです。