楽天Gが個人向け社債2500億円発行へ

日本の家計金融資産構成比率(2021年)を見ると、現預金が54.7%を占めトップ、次いで保険・年金が23.4%。株式の構成比はわずか10.5%に過ぎません。株式以外の債券になると2.2%とカウントに値しない比率です。

昨年12/20、日銀が実質的に金融政策を転換したため今週の長期金利は誘導目標の0.5%に到達。地を這うような金利しかつかなかった預貯金にも、漸く明るい兆しが見えてきました。これまで超低金利の恩恵に浴してきた借金漬けの会社は、危機感を強めていることでしょう。

新年早々、楽天Gが個人向け社債2500億円を発行すると発表しました。昨年11月、楽天Gは期間2年の米ドル建てディスカウント債5億米ドルを発行したばかり。最終的な調達コストは12%だったと報じられています。円換算で年70億円以上の利払い負担になります。翌12月は楽天カードが12月に500億円の個人向け社債(5年)を発行しました。

楽天は、eコマース事業や好調なフィンテック事業で稼いだ利益を不振続きのモバイル事業に湯水の如く注いでいて、2022年12月期3Qは2580億の赤字を計上しています。前年同期の赤字額1039億を大きく上回る数字で出血が止まりません。次なる成長ドライバーのプラチナバンド移行も依然不透明な状況です。

金融機関が楽天Gへの融資に二の足を踏んでいるのは明らかです。窮余の策として、個人投資家の懐を狙って大型起債を決めたのでしょう。期間は2年、利率の仮条件は2〜4%。つい最近S&PがBB+から格下げしたばかりで、楽天Gの格付けは投機的水準のBBです。長期債ではなく2年債だという点からも切羽詰まった経営状況が窺われます。一方、仮条件のレンジは個人投資家を馬鹿にしたような発行体寄りの設定になっています。知名度の高い楽天なら、個人投資家はついて来るはずだと幹事証券が判断したのでしょう。

海外格付会社からは投資不適格の烙印を押されながら、巨額の個人向け社債を発行し続ける借金漬けのソフトバンクGを追従するような資金調達ではありませんか。三木谷代表兼CEOは宛ら孫ジュニアのようです。満期到来時のリファイナンスは既定路線でしょう。営業CFのマイナスが続けば、早晩、楽天Gは債務超過に転落します。倒産懸念さえ頭をよぎる楽天Gの個人向け社債には手を出さない方が賢明です。