大波乱の2022年株式市場を振り返る~急激な世界的金利上昇に冷え込む株式市場~

12月30日の日経平均株価終値は26,094.50円、昨年末と比べると、-9.37%の下落になりました。7月8日に安倍元首相が凶弾に斃れ、異例の再登板でアベノミクスを牽引してきた黒田日銀総裁は2023/4/8に任期満了の予定です。任期満了まで大人していてくれれば、穏やかな年末が迎えられるはずでした。ところが、任期満了まで3ヵ月余りと迫った12月20日金融政策決定会合においてYCCの変動幅を0.25%拡大し、日経平均株価は一時前日比800円を超える大幅下落となり、結局12月単月で日経平均は6.7%の大幅安となりました。

金融政策決定会合後の総裁記者会見で黒田総裁は「YCC変動幅拡大は利上げではなく景気にマイナスにならない」と強弁したものの、市場は「利上げ」即ち明らかな政策変更と受け止めたわけです。以降、大納会まで日経平均は大きく反発することなく沈みこんだままで推移しました。次期新総裁(現雨宮副総裁の昇格が濃厚)への置き土産にしては、市場との対話を欠いた荒療治もいいところです。この異次元金融緩和策修正は、為替相場を一気に円高・ドル安へ導き、電機や自動車など輸出企業の株価を大きく凹ませる結果となりました。バブル退治に失敗し「失われた20年」を招来したA級戦犯・日銀が、異次元金融緩和政策の出口に向かって、同じ轍を踏むような胸騒ぎがしてなりません。超低金利環境が是正されること自体はポジティブに受け止めています。留意すべきは、アベノミクス終焉が株式市場に予期せぬ波乱をもたらす可能性があることです。

日経新聞によれば、米長期金利に目が行きがちですが、世界の平均国債利回りはこの1年で2.4%上昇したそうです。米長期金利の上昇幅は1954年以降最大、日本でも2003年以来19年ぶりの大幅な金利上昇となりました。

世界的金利上昇の反作用は大きく、株式や債券の時価は45兆ドル(約5900兆円)、パーセンテージにして17%が消失した恰好です。ハイテク銘柄中心のNASDAQ100はこの1年で3分の1の価値を喪失しています。こうして見てくると、2022年はリーマンショックに匹敵する大波乱の年だったことがよく分かります。確率分布のテール部分の事象が起こることをテールイベント(=ブラックスワン・イベント)と云いますが、2022年はテールリスクにもろに晒された1年だったわけです。