仕組債の終焉〜主犯格はEB債〜

証券会社が相次いで日経リンク債やEBに代表される仕組債の販売停止に踏み切っています。先行したのはメガバンク傘下のSMBC日興証券みずほ証券。ブロックトレードで重大な法令違反をやらかしたSMBC日興証券は、早々と金融庁に白旗を上げた格好です。これまで、高齢者を中心に多大な損失を被った個人投資家は数知れません。今年に入ってからの米国株の暴落は凄まじいの一言に尽きます。退職金を米国個別株EBに投じて大損した方にはお気の毒としか言いようがありません。数年前から金融庁が本腰を上げて仕組債の規制強化に取り組んできたのは承知していましたが、とうとう、野村と大和も個人向け仕組債(公募)の販売を原則停止するそうです。10月6日付け日経電子版がそう伝えています。

仕組債の最大の問題は、内在するリスクに対して投資家が享受できるリスクが見合っていない点にあります。仕組債を組成・販売すれば最低でも数%の手数料が証券会社に転がり込みます。背後でデリバティブを提供する外資系証券会社も必ず中抜きしますから、仕組債の利回りはもっと高くていいはずなのです。もう1点、仕組債は償還するまで転売できません。流動性の欠如は、個人向け投資商品として致命的な欠陥なのです。仕組債の時価評価を眺めていると腹立たしく思えてくるはずです。

マイポートフォリオにも一定割合の公募や私募の仕組債が組み込まれています。過去、損失を被ったことのある仕組債の殆どがEBでした。日経平均やSP500など指数を参照するリンク債は3~5%の運用になっているので比較的安心です。トリガーはかなり低めに設定してあります。上客には証券会社はプラチナチケットのIPOを配りますから、高リスクの見返りさえあれば、仕組債による運用もある程度許容することにしています。

今年になって日米共に株価が低迷しているため、指数リンク債にかぎっては早期償還条項に抵触せず、仕組債の回転商いが効かなくなっていることも、証券会社が仕組債販売停止に踏み切った理由のひとつだと睨んでいます。

日本だけが置き去りにされているものの、米国を中心に世界的インフレが進行するなか、ようやく、債券に真っ当な金利がつくようになってきました。仕組債とおさらばするいいタイミングだと思っています。向こう数年で公募の仕組債をポートフォリオから駆逐し、ドル建債券への運用を加速させるつもりです。

稼ぎ頭のリテール商品を喪って証券会社がこれからどうやって稼いでいくのか。同じようなリスクを内包した投資信託でも作る気でしょうか? 他人事ながら気になるところです。