自治体 X コード支払い(PayPayやau PAY等)によるポイント還元キャンペーンの謎

地域経済活性化のためと銘打って、自治体が次々とキャッシュレス決済によるポイント還元事業に乗り出しています。今年4月、港区が<VISIT MINATO応援キャンペーン>と称したポイント還元事業を行った際の還元率は決済金額の50%(ひとり上限5000円まで)と実に剛毅なものでした。このとき対象となったキャッシュレス決済サービスは「LINE Pay」(2022年4月にPayPayに統合される予定)だけでした。一見、港区民でないと利用できないような印象を受けますが、利用対象者は区民以外でもOKです。区外からの集客が狙いだったのかも知れません。知名度が低い「LINE Pay」が認知度向上を狙ったにせよ、こんな美味しいキャンペーンは他にはありません。キャンペーン期間中に六本木ミッドタウンに足を運んで、上限まで買い物をして還元ポイントを有り難く頂戴しました。

さすがにこんな企画は一度かぎりだろうと思っていたら、PayPayと組んで、港区がまたもや<キャッシュレスで「トキメク、ミナトク。」地元応援キャンペーン(10月21日~12月26日)>を始めたことを知りました。還元率は少々低下したものの、それでも最大30%の還元です。港区ホームページを確認すると、付与上限は6000円/回および期間とあります。対象店舗へ幾度も足を運んでチマチマ買い物をしなくて済むので、使い勝手に優れたキャンペーンです。六本木ヒルズへ出掛けて、モンベル製グローブやOD缶を買い求め、蔦屋書店に行って還元上限に満ちるまで本を買いました。上限6000円の還元を受けるには総額2万円の買い物をすればいい計算です。

注意すべきはYahooカード以外のクレジットカードが対象外ということです。お得なキャンペーンだからといって無駄遣いをするのでは本末転倒です。本当に欲しいものや定期的に補充する必要のある日常生活用品などを購入するのが賢い消費行動です。足元の10年国債の利回りはたったの0.045%ですから、金融的に見ても、30%の還元率を享受しない手はありません。

還元率は自治体によってマチマチです。隣町の武蔵野市は「au PAY」や「d払い」と組んで20%還元キャンペーンを実施中です(12/1~12/28)。港区と比較すると、還元率が劣る上に付与上限3000円(1回あたり1000円まで)と制約の多さが気になります。裕福な自治体の方が利用者にとって使い勝手のいいキャッシュレス決済を後押しする傾向があります。人口の少ない自治体は新型コロナウイルスで打撃を受けた中小事業者の支援を優先する分、消費者の選択肢を狭めてしまいます。港区も成城石井や大手ドラッグストアなど大規模フランチャイズを対象から外してこそいますが、ユニクロ、DEAN & DELUCA、トモズなどが加盟店対象になっています。武蔵野市の場合、地域最安値での商品提供を標榜するOKストアが対象なので、地域住民は1回あたりの還元額を意識してこまめに利用すればいいと思います。

自治体によって運用方法が異なるので、利用者は自治体ごとのルール(特に対象店舗)をよく調べて利用するといいでしょう。予算との兼ね合いで期間中、早期に打ち切りになる可能性もあります。いまだに謎が解けないのは財源の問題です。自治体・加盟店・コード決済事業者の三者間の負担割合は一体どうなっているのか・・・・心にわだかまりを抱えながら、還元キャンペーンの動向が気になってしかたがない昨今です。