ジャクソンホール会議(2023)直前の金現物買い|資産ポートフォリオにおける金の最適保有比率とは?

毎年8月下旬、リゾート避暑地として知られる米・ワイオミング州ジャクソンホールに各国中銀トップや経済学者が参加して経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催されます。主催はカンザスシティ連銀で今年の日程は24-26日の3日間です。パウエルFRB議長の発言に市場の注目が集まっています。というのも、昨年は同会議でパウエルFRB議長が「利上げ強化方針」を打ち出して米国株式市場が急落、「パウエルショック」と呼ばれたからです。今年もサプライズがあるやも知れません。Bloombergは、議論の焦点が「どこまで高く」から「どの程度の期間高く維持」に移ると報じています。インフレ水準が高止まりしていることから考えて想定し得るシナリオです。

先週、中国・恒大集団(エバーグランデ)がNY連邦裁判所に破産法第15章の適用申請をしました。超弩級の負債総額は邦貨換算48兆円です。中国2番目の不動産業者の経営危機ですから、チャイナショックへの警戒感が高まっています。世界経済への波及が懸念されるだけに「ジャクソンホール会議」でも議論の対象となりそうです。

先週末の日経平均は前月末比5.19%と大幅に下落。リスクオフ局面入りが濃厚です。コロナ禍が終息しインフレ懸念が叫ばれるなか、「安全資産」のとしての金の先物価格は1900ドル超えの高値圏で推移しています。そんな中、8月19日付け日経紙面が「中東、個人の金買い顕著」と足元の金需要について報じています。

記事はマーケットアナリスト豊島逸夫氏のコメントを次のように紹介しています。中国やインドの金選好は知っていましたが、中東において個人の金需要が高まっているとは初耳です。その背景に通貨価値の下落があります。トルコではリラが下落し、エジプトでも対米ドルで通貨エジプトポンドがこの1年半で半値以下まで下落しています。金買いは自国通貨への信認が揺らいでいる証左に他なりません。日米金利差の拡大で日本円も対米ドルで大幅に下落していますから、筋金入りの円安論者・豊島氏のポジショントークもすんなりと受け容れられる昨今の市場環境です。

ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル氏が提唱した『最適通貨圏構想』でも中東の基軸通貨は『金』といわれたほど」(豊島逸夫氏)

次のチャートは過去5年の金価格月次推移(提供:田中貴金属)です。米ドル建て価格の5年上昇率が46%に対して円建て価格は86%も上昇しています。対ドルで円安が進行し、円建て金価格は未曽有の水準に突入しているのです。

こうした状況下、真剣に考えなくてはならないのは資産ポートフォリオにおける金の最適保有比率です。1g当たりの円建て金価格はこの8月1日に史上最高値9946円を記録したばかりです。米国の投資家にあっては金の保有比率が平均14%だというレポートがあります。思ったより高水準の組み入れ比率です。「ジャクソンホール会議」を控え、3年ぶりに金の現物を購入することにしました。3年前と比べて金購入価格は37%も上昇しています。早晩、円建て金価格は1万円を超え、さらなる上昇に弾みがつくと思っています。追加購入してもマイ・ポートフォリオに占める比率はわずか2%。当面、5%を目標に「安全資産」の金組み入れを検討しているところです。