コロナショック: 世界同時株安の3月第2週を振り返る

昨日は13日の金曜日でした。11日にWHOがパンデミック宣言。コロナウイルスの世界的感染拡がりで3月第2週の世界の株式市場は凄まじい下げの連続、阿鼻叫喚の一週間となりました。13日に上場した3社はすべて公募価格割れ。アメリカでは「13日金曜日恐怖症( triskaidekaphobia)」が1千万人以上いいますから、不吉な日の予言どおりとなりました。野村証券の高田氏によれば、ダウ平均週次リターンが統計学上の正規分布になると仮定して、今回の株安発生確率は「1600億年に1度」になるそうです。コロナショックは、2001年の9.11米国同時テロや2008年のリーマンショック級の大暴落に相当します。歴史は繰り返します。VIX(恐怖指数)は75.5、米同時多発テロ時の43.7を遥かに超えリーマンショック並みの数字です。ダウが週に2回も2000ドル以上下落、桁違いの下げに感覚は麻痺しつつありませす。リーマンショックでも下回らなかったPBR0.8倍が底値圏と言われますが、なんとか持ち堪えて欲しいものです。

今朝の最低気温は3度、東京では朝方から冷たい雨が降り、午後からは霙混じりになりました。松栄堂さんのインセンス(焚香)を焚いて気を鎮めながらiPadに向き合っているところです。日経平均株価はこの1週間で3318円の大幅下落、13日の終値17431.05円は前月末比17.6%減となります。13日ザラ場で記録した今年の最安値16690.60円は、2016年11月以来の安値です。こうなると16000円割れも視野に入ってきました。

この大暴落で量的緩和を継続する日銀のバランスシートは大きく毀損、下落局面でも買い支えしていますので加重平均簿価が明らかではありませんが、少なくとも3兆円程度の含み損を抱えたことになるでしょう。公的年金運用機関のGPIFも相当な痛手を負っているはずです。

ヘッジファンドやHFT(高速取引)業者の売り仕掛けはプログラム売買、下げればさらに売ってきます。経験則を超えたアルゴリズムが市場の混乱に拍車をかけた恰好です。アルゴが金融市場のコロナショックを異常なまでに増幅させた元凶なのです。もはや日銀の1000億のETF買いなど、火事に水鉄砲で火消しするかの如。日米欧の協調政策発動がない限り、コロナショックの半戻しさえ難しいでしょう。

もうひとつ、市場の混乱に拍車をかけたのは原油相場の下落でした。13日WTI原油先物終値は32.97ドル、OPECの協調減産継続に合意しなかったサウジアラビア原油生産量を4月に1230万バレルに引き上げると表明、先物価格は年初の60ドル超えから半分以下にまで下落しています。サウジアラビアとロシアの原油戦争に米国を巻き込んだ価格競争が始まっています、原油市場の調整役不在のなか、止まらない原油価格の下落が株式市場を撹乱する材料になっているのです。

為替相場もコロナショックで変調をきたしています。3/9にドル円が101円台に突入、肝を冷やしました。<有事のドル>というセオリーがまったく機能しません。リーブオーダーを忘れて4万ドルを107円台で買っていたことに気づいて、今朝、トランプの国家非常事態宣言間際にドル高に戻りなんとかプラスで決済したところです。代わって買われたのは金。2/25には1グラム当たりの税込小売価格が6484円の最高値を記録しました。30年前は1500円前後でしたから4倍強の価格に相当します。世界的低金利(日欧はマイナス金利)の影響で金は買われやすくなっています。

債券市場では行き場のないお金は、信用度の高い国債に向かいます。米国債10年利回りが1%を下回っています。日本国債はマイナス2%まで低下余地があると言われています。短期市場では流動性が低下しています。

13日の金曜日、もうひとつ驚いたのがJ-REITの急落。リート指数は1596.30、前月末比20%の下落となりました。前週2043.04でしたから、外国人投資家が損失穴埋めの換金売りに出たのは間違いありません。この日、先物指数にサーキットブレーカーが発動したそうです。複数の個別銘柄でストップ安、初めて経験しました。J-REITはかなり保有しているので個人的にはコロナショックの傷口を広げてしまいました。東京五輪の中止ないし延期が不動産市況に深刻な影響を及ぼす可能性も取り沙汰されています。

今日東京時間4:30過ぎ、トランプ大統領が国家非常事態宣言を行い、連邦政府資金最大500億投入を発表。ひとまずドルダウは前日の下げを帳消しにする大幅反発。今夕18:00から、安倍総理もおそらく追従するのでしょう。週明けの東京市場、ひとまず沈静化すればいいのですが。

最後に個別の懸念材料に言及しておきます。
ドイツ銀行〜偶発転換社債CoCoの一種ATI債1200億円の4/30返済を見送りました。権利上、期日延長できるので厳密には債務不履行(デフォルト)には当たりませんが、同行への資金繰りが浮上、株価が急落しています。
ソフトバンク〜株価下落で自己株式買い500億円を発表。借金まみれのソフトバンクG(9984)は本業の携帯事業は好調でも、今回のコロナショックでウィーワークに代表される投資事業はさらに厳しい状況に追い込まれていると考えられます。個人向け社債も次々と満期が到来します。これまでのように高い金利個人投資家を惹きつけられるのでしょうか。日経平均採用銘柄のソフトバンクGの財務状況から目が離せません。