金融・投資

日本株は「オワコン」なのか?

今日から師走入り。ようやく全国的に感染者数が落ち着いてきたかと思いきや、新型変異ウイルス<オミクロン>感染拡大懸念から11月最終営業日の内外株式市場は大荒れとなりました。日経平均は朝方400円以上値上がりして前日の買戻しの動きが活発化したのです…

「監視資本主義」社会の立役者デジタルプラットフォーマーの絶大なる影響力

2021年8月27日付け日経朝刊の<GAFA「日本株超え」>という見出しは衝撃的でした。2020年5月9日、同紙はGAFAの時価総額が東証一部(2170社)超えを報じてから、わずか1年あまりで日本株全体の時価総額を凌駕してしまったのです。足元、GAFAの時価総額は日…

超低金利時代に蔓延する金融ドラッグ汚染

最近、日経朝刊に<超低金利が招く老後危機>と題する記事が掲載されました。大規模な金融緩和のしわ寄せから、運用難に喘ぐ米国公的年金が運用成績を押し上げやすいレバレッジ運用(「梃子の原理」に倣い投資資金を借入金で膨らませること)に活路を見出し…

ソフトバンクG第5回劣後債の目論見書から分かる引受手数料~ソフトバンクGと金融機関の凭れ合い構造~

直近の日本国債10年物の年利回りは0.060%。100万円を10年国債に投資しても、年間わずか600円の利金しか得られない計算になります。一方、今月21日に発行される総額4050億円のソフトバンクグループ第5回利払繰延条項付・期限前償還条項付無担保社債(劣後特…

劣勢続きの日本の株式市場の見通しは昏いまま

5月29日付け日経新聞に掲載された<株失速が暴く企業の自力>と題する記事内容は目から鱗でした。かねてより日本企業の労働生産性の低さは指摘されていたものの、改めてOECD加盟37ヶ国中26位だと知らされると、一層、日本の株式市場への不信感が募ります。各…

小説家黒木亮さんの素顔

愛読者のひとりとして、日経夕刊の(全5回)に登場した黒木亮さんのインタビュー記事を興味深く拝見しました。10年前に読んだ『リスクは金なり』(講談社文庫)を慌てて引っぱりだしてきたら、かなり内容が重複していました。すっかり忘却の彼方だったので、読…

『お金の大学』に書き切れていないこと~フィナンシャルリテラシー獲得をめざして~

メルカリで買ったという『お金の大学』(定価1400円+税)と題する本を息子から手渡されました。投資銀行員だった父親の感想を聞きたいようです。著者である両@リベラルアーツ大学学長氏は、高校在学中に起業、20年以上にわたって本業(?)で稼ぎながらリべ大…

金投資が止まらない~足元の金先物価格は1860米ドル前後で推移~

凡そ3年半ぶりにほんの少し金地金を購入しました。先月8月4日終値でNY金先物価格が節目となる2000米ドル(=1トロイオンス)を突破し話題になりましたが、足元では1900米ドルを割り込み少し過熱感が和らいだからです。ニッセイアセットマネジメントのレポート(2…

貴金属価格が急騰~適正な金銀比価は奈辺にありや~

この1ヶ月で貴金属価格が凄まじい勢いで上昇しています。田中貴金属が毎日公表している1グラム当たりの円建て小売価格を7/28と前月末の6/30と比較してみると、急騰ぶりがよく分かります。特にこれまで60円前後で放置されてきた銀の価格上昇が突出しています…

やむなく損切り~伊藤忠によるファミマTOBの乱~

塩漬け銘柄のひとつ、ファミリーマート株(8028)が連日急騰しています。普段なら糠喜びするところですが、今回ばかりは、やるせない思いが募るばかりです。というのも、ファミマの筆頭株主で過半数の50.1%を握る伊藤忠が5800億円を投じ2300円でTOBを実施す…

米ブルックス・ブラザーズの経営破綻とWSの凋落

ブルックス・ブラザーズ(以下:「BB」)と聞けば、パリッとしたビジネススーツに身を包みウォールストリートを闊歩する投資銀行マンを思い浮かべます。ボタンダウンシャツを世に送り出したのもBBでした。古くはJFK、オバマ前大統領もBBを好んで着用するそうで…

物流系REITバブル~J-REIT市場の主役交代は本物か?~

今年に入って、J-REIT市場に大きな変化が見られます。2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大に端を発したJ-REIT市場の崩落は凄まじいものでした。3月19日の東証REIT指数終値は1145.53まで急落、2月末の指数が2017.50だったのでわずか3週間で43%も下落した…

米国社会を蝕むトリクルダウンというウイルス

暴行死したジョージ・フロイドさんへの抗議デモが全米で拡大しています。こうした「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」運動に対抗して、「オール・ライブズ・マター(全ての命が大切)」とのスローガンを掲げてフロイド氏を攻撃する動きが活発…

落日のひふみ投信

2018年12月下旬、東証マザーズに上場を予定していたレオス・キャピタルワークスは突如、コーポレート・ガバナンス上の問題が生じたとして、上場手続きの延期を決議、これを受けて東証は上場承認を取り消しました。某証券会社から100株の割り当てがあったので…

コロナショック: 世界同時株安の3月第2週を振り返る

昨日は13日の金曜日でした。11日にWHOがパンデミック宣言。コロナウイルスの世界的感染拡がりで3月第2週の世界の株式市場は凄まじい下げの連続、阿鼻叫喚の一週間となりました。13日に上場した3社はすべて公募価格割れ。アメリカでは「13日金曜日恐怖症( tr…

急騰するJ-REIT投資に死角はあるのか(2/2) ?~J-REIT投資の安全弁セイムボート出資に着目すべし~

最近、イオンリート投資法人(3292)の公募増資に応募して投資口数を買い増したので、一例として本銘柄について分析することにします。同投資法人のポートフォリオは、イオンが運営するイオンモールだけで構成されるので、まさにイオングループ一色(マスターリ…

急騰するJ-REIT投資に死角はあるのか(1/2)?

今年も9ヶ月が経過し、日経平均がやっと年初来高値を更新。10/16終値ベースで昨年末比+12.2%の上昇です。といっても去年の通年下落率が-10.45%でしたから、ベンチマークは昨年度の凹みを取り戻したに過ぎません。一方、好調なのはJ-REITです。東証REIT指数…

メガバンクはひとつあれば足りる〜三菱UFJ・三井住友 ATM共通化は序幕に過ぎない〜

9/22からメガバンク2行でATMの無料相互利用が可能になりました。これまで108円かかっていた手数料が無料になります。ATMの数は三菱が8000台、三井住友が6000台。一見、便利になったような錯覚に囚われますが、ATM利用者の便宜を考慮した結果ではありません。…

日経ヘッドライン:水没する世界の金利を読み解く

2019/9/8付け日経朝刊のヘッドラインは「水没する世界の金利」!長年、世界の債券市場をウオッチしてきただけに、水没という形容に至極頷いてしまいました。金利0%がまさに水面というわけです。金利の下限は0%だと思っていた大多数の日本人が、2016年1月29日…

キーコーヒーの2019年株主総会と2000万円不足する年金ライフ

上場各社の株主総会が集中する6月最終週を迎え、家内がキーコーヒーの株主総会に出掛けました。そもそも、最低投資単位かそれに毛の生えた程度の株数しか持たない個人投資家にとって、退屈な株主総会に出席するメリットは殆どありません。野次馬根性旺盛な株…

史上最大IPOソフトバンク上場の冬景色

これほど下馬評の悪かった大型IPOは近年ではジャパンディスプレイ(6740)以来でしょうか。2014年3月19日に上場したジャパンディスプレイの公募価格は900円。店頭で2000株(三菱UFJM)、ネット証券で400株の計2400株を引き受け、初値769円(公募価格比-14.6%)で…

ユニコーン・メルカリがいよいよ東証マザーズ上場へ

昨日、主幹事証券から6/19に東証マザーズ上場予定のメルカリの目論見書が送られてきました。以前、インベストメントバンカーとしてこうした届出目論見書を準備する側だったので、大抵の人がポイ捨てする分厚い書類に目を通すのが習慣になっています。今回の…

みちびき銘柄〜4号打ち上げ成功〜

10日、準天頂衛星みちびき4号が打ち上げられ、4機体制が整い、来年にも日本版GPSの運用が開始されます。天頂とは日本の真上のこと、準天頂衛星とは日本のほぼ真上の軌道を通過する衛星ということになります。みちびきの役割は、米国のGPSを補う信号を発信し…

相続した地方不動産の処分〜体験的負動産(実家)処理〜

両親が今の平均寿命より10歳以上早く他界したため、親族が住まなくなった実家の扱いにはかなり悩まされました。地方に実家があって、進学・就職先が東京あるいは首都圏の住人は多かれ少なかれ、<負動産の時代>を迎え、実家の取り扱いに苦悩されていること…

官製相場の顛末や如何に?〜日本郵政の追加売出し〜

日本郵政の売出価格は最短で25日に決まります。2015年11月の株式公開から1年10ヶ月、東日本大震災の復興財源に充てるべく、政府財務省が1兆3千億円にのぼる巨額の追加売出しを決めたのは1日のこと。公開初値こそ上々の滑り出しだったものの、直近決算では豪…

PKSHA Technologyのマザーズ上場で感じること

長年IPOマーケットをモニターしていると、ときどき、知った名前が創業者だったりして驚かされることがあります。マザーズを中心とする新興市場に上場する会社は年間多くて70〜80社程度、近年上場審査基準が緩和されてきたとはいえ、企業経営者にとって上場は…

増殖する非正規労働者

最近、メットライフ生命から送られてきた「私たちの日本とお金のはなし」という小冊子を読んで、働く人の約37.5%が「非正規労働者」だという現実を知りました。80年代後半には10人に1人程度でしたから、雇用形態はこの20年あまりで激しく変化したことになり…

バフェットも投資するアップル株の魅力〜期待が高まるiPhone8は今秋発表〜

NASDAQ市場に上場するアップル社の株価は5/10終値で153.26米ドル、今週の週刊エコノミストは特集<アップルと世界経済>と題して高騰するアップル株を取り上げています。年初の株価は116米ドルでしたから直近4カ月で30%以上も上昇したことになります。時価…

仏大統領選決選投票は5/7〜事実上のEU信任投票へ〜

昨年6月のBREXIT以来、欧州情勢は一変、ドイツと並ぶEU盟主の双璧フランスでFNのマリーヌ・ルペン党首(48歳)が来る5/7に行われる仏大統領選決選投票への進出を決めました。ルペン女史の得票率は中道派マクロン氏(39歳)(得票率23.9%)に次いで21.4%、20…

「有事の金」投資(最終回)〜世界で一番美しい金貨〜

昨日は税理士と会社決算の最終打ち合わせ。席上、たまたま「有事の金」の話になって、今や「有事の金」ではなく「有事の円」なのですよと所長に囁いたらずいぶん驚いておられました。地震国日本の頼りない「円」が安全逃避先として買われるなんて俄かに信じ…