激アツ初物IPO|史上初の民間月面着陸をめざすispace(9348)

4月12日、東証グロース市場にispace(9348)が上場します。「貯蓄から投資へ」の政府主導スローガンの下、近年、初値高騰が期待できるIPOに対する一般投資家の関心も強まっているように思います。しかし、ひと口にIPOといっても玉石混淆です。選球眼ならぬ選別眼を養っておかないと痛い目をみる可能性大です。あらかじめ目論見書をよく読んで、上場ゴールと思しき銘柄に絶対に手を出さないことです。

ispaceが手掛けるのは、月への物資輸送サービスをはじめとした月面開発事業です。これまで、宇宙開発事業の担い手はNASAアメリカ航空宇宙局)やJAXA宇宙航空研究開発機構)のような国家機関でした。米中など海外では、ロケット打ち上げなど多方面で大手企業からベンチャー企業まで民間企業が宇宙ビジネスに乗り出しています。2040年には宇宙産業の市場規模は100兆円規模まで拡大すると云われています。

昨年12月11日、テスラ創業者のイーロン・マスク氏が設立したスペースX社(2002年設立)がロケット「Falcon9」を打ち上げました。現在、月に向かって安定航行中だそうです。「Falcon9」にはispaceが開発したランダ―(着陸船)が搭載されています。ispaceの目論見書を読むと、今月下旬にミッション1の最終ステージ(success 8~10)をクリアすることになっています。実現すれば、ispaceは<世界初の月面着陸を成功させた民間企業>という栄誉ある称号を掌中にすることになります。公開直後に世界初のイベントが待ち受けているのですから、採算度外視で投資したくなるというものです。

目論見書訂正事項分によれば、新規募集株式数は19,309,700株(1株254円換算49.0億円)、海外募集株式数は7,209,800株(1株254円換算12.1億円)とあります。海外募集が27%に増えて、異例なことに15,744,000株が親引けされていますから、需給は大幅に改善しています。

初物で前例のないスタートアップ企業ですから、適正株価はあってないようなものです。同社12期目の2022年3月決算は先行投資が嵩み、売上げ5.7億に対して当期純損失が41.4億円が計上されています。宇宙ビジネスの潜在成長力や話題性を思えば、S級のIPOであることは明らかです。最近の調査で月には数億~60億トンもの水資源が存在することが分かっています。

ispaceは、2024年にミッション2(月面探査ミッション)、2025年のミッション3においてNASAの国際協力有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」に参加する予定です。わくわくさせるミッションが目白押しなのです。割り当てられた公募株を握りしめながら、上場日にセカンダリーで株式の追加取得をめざそうと企んでいるところです。