「銀座小十」で<ガイアの夜明け>TV取材に遭遇しました!

8月の終わり、単身赴任の大阪から帰省中の友人を誘って、銀座並木通りに移転した「銀座小十」を訪れました。

店主は『世界でいちばん小さな三つ星料理店』という著書もある奥田透さん、移転してもカウンター席はわずかに8席、隅々まで目配りができるようにという店主のこだわりは一貫して変りません。食とサービスのクオリティと引き換えに予約が困難なところも以前のままです。

その夜はカウンター右端に陣取って、とりあえずビールで乾杯。先客が嗜むワインが少し気になりましたが、芋焼酎と冷酒に切り替え、最高峰の和食を堪能しました。この日は初秋のメニューということになります。見事な大皿に盛られたお造りは、大間の大トロ、鯛にアオリイカ備前のまないた皿には和牛のローストに伏見とうがらし添え。炊き合わせのお椀が済むといよいよメインの大うなぎの登場です。

3年前に見たNHKの番組「しのぎあい、果てなき絆〜日本料理人・山本征治×奥田透〜」のシーンが脳裏をよぎりました。大うなぎの調理を極めるために兄弟子の山本征治さん(六本木「龍吟」店主)と凌ぎを削った奥田さんが、目の前で焼き上がったばかりの大鰻を手際よく串から外して、短冊状にさばいていきます。

焦げ目のついた皮の食感が堪りません。それでいてなかはふっくらと仕上がっています。うなぎが大好物なだけにすっかり大うなぎ(天然琵琶湖産)の虜になりました。伝統的な和食の世界にとどまらず、あらんかぎりの創造力を駆使してとことん革新を追求する奥田さんの姿に心底感服した一夜でした。


食事のさなか、店主から唐突に「テレビ取材が入りますが構いませんか?」と尋ねられ吃驚。9月下旬にパリ8区に出店することが決まって、取材が入ったようです。カウンター越しにずっとTVカメラが回っていたので、客のひとりとして映っているかも知れません。現地では福島原発事故の影響で日本の食材はNGだそうです。三つ星料理人が本場パリで挑む日本料理、想像するだけで胸が躍りますね。奥田さんなら、食通のパリジャンをきっと唸らせるに違いありません。

お勘定を済ませると、奥田さんは厨房のなかやテーブル席まで案内して下さいました。部屋の角に設えた中庭や内装に店主の細やかな心遣いが感じられました。のれんをくぐった瞬間から店を出るまで、店主の気配りは絶えることがありません。真のおもてなしとはこのことを云うのでしょう。


10月15日放送の「ガイアの夜明け」(東京12ch)にいよいよ奥田さんが登場します。以下、番組の概要です。

"本物の日本食"を世界へ

世界で今、"日本食ブーム"が起きている。海外にある日本食レストランの数は約5万5000軒、この3年で2倍近くに増えた。しかし、その多くが日本人とは関係のない海外資本の経営といわれる。なぜなのか・・・。欧州で拡大する日本食チェーンの驚きの戦略。一方、「本物の和食を知ってもらう」と、パリに出店を決めた銀座の三つ星料理人。そして日本の食材メーカー。世界市場をめぐる戦いを追った。

世界でいちばん小さな三つ星料理店

世界でいちばん小さな三つ星料理店

  • 作者:奥田 透
  • 発売日: 2009/10/08
  • メディア: 単行本