我が家の食卓を揺るがす<ゆるヴィーガン>の日

一番付き合いにくい人種がお酒の苦手な人やベジタリアン。最近はヴィーガンを自称する友人も現れ対応に苦慮しています。緊急事態宣言が解除されたので、10月以降、会食機会は増える一方です。ところが、ベジタリアンヴィーガンとの会食は場所を選ぶので、勢い彼らとの付き合いは疎遠になりがちです。

すべての動物性食品を食べない完全菜食主義者は、ヴィーガンVegan)と呼ばれます。Veganはvegetable+anの合成語で、1944年にこの造語を拵えたのイギリスの菜食主義者ドナルド・ワトソンだそうです。『イタリアに行ったらイタリア料理を、フランスに行ったらフランス料理を、イギリスに行ったら中華料理(インド料理)を食べろ』とか『イギリス人の忍耐強さは、毎日の食生活によって養われる』といった皮肉たっぷりのジョークが数多あるくらいですから、ヴィーガンは料理の不味い英国民が考えつきそうな言葉です。日本ベジタリアン協会によれば、ラテン語の”vegetus”(「心身ともに健康で生き生きしている」)に由来するそうです。

諸説あるヴィーガンの語源はさておき、近年は深刻化する地球環境を守ろうという観点から、菜食主義への支持が高まっています。人為的に発生する温室効果ガスの1/4以上が世界の食糧システムから吐き出されているのです。広大な土地に水や飼料を必要とする畜産業さえ、必要悪として放置するわけにはいかなくなったということです。食べ物による環境負荷という視点はこれまで見落とされがちでした。こうした地球環境への配慮のみならず、動物愛護や健康保持の観点から、菜食主義へ傾斜する人も増えているようです。ハリウッドセレブに菜食主義者が増えていることが庶民への普及にひと役買っているのかも知れません。元ビートルズポール・マッカートニーと娘さんのステラ・マッカートニーは、地球環境保護のために"Meet Free Monday"という活動に積極的に取り組んでいます。

地域別では菜食主義者が圧倒的に多いのはインド(28%)、日本は4%台です。先月、米マクドナルドが代替肉バーガーを試験販売するというニュースが話題になりました。お肉をたらふく食べているアメリカ人の間でも菜食主義者が増えている証拠だと思いました。近いうちに日本マクドナルドや他のファストフードが代替肉を使用した商品を提供し始めたら、瞬く間にヴィーガンな暮らしが浸透するのかも知れません。

専ら健康増進の見地から我が家の夕餉でもヴィーガンベジタリアン)が話題になり始めました。食いしん坊ばかりの我が家ではヴィーガンなどもってのほか。弥縫策として週に1日、<ゆるヴィーガン>の日を設けてはどうかと提案したら、早速家内が食材を揃え、写真のようなスパゲッティ・ミートソースが食卓に登場しました。豚肉の代わりに使われたのは「大豆のお肉」(マルコメ製)。歯ごたえがイマイチでパンチに欠けるキライは否めませんが、まずまずの出来栄えです。バターや生クリームに加え、パルメザンチーズを使っているので、初回は<ゆるベジ>か<ゆるゆるヴィーガン>あたりかも知れません。それでも、我が家の食卓革命に等しい歴史的快挙!?には違いありません。週1日<ゆるヴィーガン>ならストレスなく続けられそうな気がしてきました。