「手取川 しぼりたて 純米生原酒」 X 鈴木都さんの鼠志野ぐい呑み

地球温暖化の影響からか12月になっても肌寒い日が少なくなりつつあります。冬至を過ぎると吐息が白くなるような日も次第に増えて鍋物が恋しくなります。普段の晩酌なら赤ワイン、夏場はスパークリングワインと相場が決まっているのですが、キムチ鍋やボタン鍋(写真は岡山県新見産の天然イノシシ肉)にはさすがにワインは不向きです。

年末が近づくと近所の酒屋さんに出向いて鍋物に合う日本酒を物色することにしています。一昨年、試飲して気に入ったのが石川県の銘酒「手取川」。手取川は、岐阜県との県境に位置する霊峰白山を源流とする石川県最大の急流河川です。「手取川」の醸造元吉田酒造店は2020年4月に創業150周年を迎えた老舗の造り手です。HPを覗くと、<一滴入魂>「お客様に美味しい酒を飲んで頂くため、 1本の酒にどれだけ思いを込められるか挑戦しています。仲間との楽しい一時や、一歩引いたところで 美味しい料理をより引き立てる酒を提供します」とあります。名水あるところに名酒ありと謂います。霊峰白山の雪解け水からは有機物は殆ど検出されず硬度も高めのため、手取川の伏流水は酒造りに理想的な水というわけです。最近、買い求めたのは「手取川 しぼりたて 純米生原酒」(720ml・1430円)。一気に飲まない場合は、冷蔵庫に立てて収納できる720mlがベターです。シーズン最初に登場する無濾過生原酒ですから、味わいはまさに搾りたてのジュースの如し、馥郁たる香りが鼻腔をくすぐり、口当たりがよくて和食との相性は抜群でした。5℃以下貯蔵が推奨されていますので、冷蔵庫で冷やしてから飲むと最高です。日本酒度は-1.酸度は1.8だそうですが、さほど甘さを感じない点を高く評価します。ワインと比べた場合、日本酒の最大の弱点は甘いこと。辛口で淡麗な味わいの日本酒が鍋物には相性が良さそうです。

昨年10月、贔屓にしている若手陶芸家の鈴木都さんの鼠志野ぐい呑みと注ぎ壺をしぶや黒田陶苑の個展で手に入れました。しばらく戸棚に飾って眺めていたのですが、「手取川 しぼりたて 純米生原酒」を注いで初使いしてみました。銘酒を名酒器で楽しむ、これこそ冬の愉しみではありませんか。