前泊先・田沢湖レイクリゾートを早朝5時ジャストにチェックアウト。田沢湖駅前6:00発の路線バス(羽後交通・駒ヶ岳線)に乗車するためです。直前手配だったにもかかわらず快適な宿泊先だったので、早々にチェックアウトするのが勿体ない位でした。外観こそ古びた印象を与えますが、内部はしっかりリノベーションされています。露天風呂・大浴場で入浴後、広々としたラウンジで寛いでいると時の経つのを忘れてしまいそうになりました。秋田駒ヶ岳といえば、紅葉だけでなく、6月下旬のムーミン谷のチングルマが有名です。チングルマの見頃に田沢湖レイクリゾートを再訪するつもりです。
前日の雨はあがり、心配だった駅前駐車場を難なく確保。ところが、田沢湖駅前からバスに乗り込んだのは10人足らずでした。拍子抜けしたのは束の間、各停留所で次々と登山者が乗車、中間地点の「アルパこまくさ」(2006年6月オープン)で15人ほどが大挙して乗車しとうとう満席に。登山口のある八合目まで駅前から小一時間ですから、始発バスに乗ったのは正解でした。山小屋風の観光施設「アルパこまくさ」は、240台収容可能な広い駐車場を併設しています。次回は「アルパこまくさ」に近い温泉施設に前泊するのも一案かも知れません。
阿弥陀池から男女岳を望む
7時過ぎに入山、新道の片倉コースを進みます。20分ほどで開けた片倉岳展望台(1456m)に到着。タイミング悪く、展望台から見えるはずの岩手山や烏帽子岳(乳頭山)に田沢湖は、ガスで完全に遮られていました。木道を歩き続けると、ほどなく阿弥陀池西端にたどり着きます。登山口から約1時間です。分岐を右手へ進めば男岳(おだけ)です。真っ直ぐ阿弥陀池避難小屋方向へ進むうちに、少しずつガスが移動していきます。最高峰・男女岳(おなめだけ・1637m)登頂後、直下の避難小屋まで戻ってひと息入れていると、登ったばかりの男女岳が全貌(写真・上)を現しました。晴れ間が広がっているうちにと池畔の景色を撮影します。
阿弥陀池分岐まで戻って、細い山稜道を進むと男岳(1623m)です。山頂の祠前でお参りして、いよいよ<ムーミン谷>へアプローチです。日帰り周回コース最大の難所は、男岳から<ムーミン谷>(馬場ノ小路)までの勾配のきつい下りです。足場が悪いので落石に注意しながら、慎重に下ること約半時。すると、視界が一気に拓け、見通しの利くポイントに出ます。そこが<ムーミン谷>です。視界の先には緩やかに蛇行する木道が駒池に沿って延々と続いています(写真・上)。太陽光線がもう少し注いでくれたなら、息を呑むような景色に出会えたはずです。火口丘・女岳(1512m)の全容が見えなかったのが残念でなりません。
国見分岐手前からムーミン谷を振り返る
国見分岐手前から火山灰地の斜面が現れ、右手にカルデラ地形を俯瞰しながら、トラバースします。振り返れば、まるでカットが切り替わるように<ムーミン谷>とは対照的な景色の出現したことが分かります。男女岳を中心とする秋田駒ヶ岳は、気象庁の常時観測対象の火山です。国見分岐から横岳(1582.5m)までの荒々しい火山性砂礫の上りは、その証左です。横岳山頂でランチ休憩していると、馬ノ背方面からも登山客が次々とやって来ます。
焼森コース下りから阿弥陀避難小屋を仰ぎ見る
横岳から灌木帯の稜線を北東に下り始めると、丸く盛り上がった焼森(やけもり)が姿を現します。烏帽子岳(乳頭山)方面へ向かう縦走路も広がり、再び紅葉の景色にカットが切り替わります。焼森コースを下る途中、左手を仰ぎ見ると阿弥陀池避難小屋が見えました。<ムーミン谷>と並ぶ周回コースの絶景ポイントです。
13時前に八合目登山口に戻って、無事、下山完了です。帰りのバスの出発時刻まで約1時間あったので、八合目休憩所売店の女性と少し話をしました。例年、9月下旬の紅葉が今年は1週間ほど遅れたため、10月最初の週末が紅葉見頃になったのだそうです。今回歩いた日帰り周回コースは、火山特有の変化に富んだ地形が楽しめるだけでなく、視界が利いている時間帯が長いので、満足度はかなり高めでした。来年、また訪れたい山です。